USB3.0で驚異の転送速度! トランセンドUSBメモリ「JetFlash 780 64GB」を徹底検証

レビュー

2013/07/31 19:54

 プライベートでもビジネスでも大容量データを扱う機会が増えている。大容量データの保存や受け渡しに便利なのが、USBメモリだ。データの読込み/書込みをスピーディに行いたいなら、USB2.0の約10倍の速度で転送できるUSB3.0対応モデルを選びたい。

超高速USBメモリ「JetFlash 780 64GB」と「JetFlash 700 32GB」、ポータブルSSD「ESD 200 256GB」

超高速USBメモリ「JetFlash 780 64GB」と「JetFlash 700 32GB」、ポータブルSSD「ESD 200 256GB」

大容量化と高速化が進むUSB3.0対応のUSBメモリ



 高画素のデジタルカメラで撮影した写真やアニメーションつきのパワーポイントデータなど、プライベートでもビジネスでも、取り扱うデータは大容量になっている。大容量データの一時的な保存や受け渡しに多くの人が利用しているのがUSBメモリだ。ほぼすべてのPCがUSBポートを備えているので、差し込むだけでデータの読込み/書込みができるUSBメモリはとても使い勝手がいい。

 USBメモリは、ここ10年ほどは、USB2.0対応で容量4~8GBのモデルがほとんどだった。Windows 7の登場以降、PCは転送速度が速いUSB3.0対応のUSBポートを標準搭載するようになり、USB3.0対応のUSBメモリが増え、また大容量化も進んでいる。

 USB2.0とUSB3.0は、どちらも同じUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)規格で、コネクタやポートの形状は基本的に同じ。何が違うかというと、データの転送速度だ。USB2.0は、データ転送速度が480Mbps(理論値)なのに対して、USB3.0はその約10倍の5Gbps(5120Mbps/理論値)の高速転送が可能。PCのUSB3.0に対応するポートは、端子部分を青く着色していたり、「SS」(Super Speed)の刻印があったりするので、ひと目で区別がつく。

USB3.0対応のポートは端子部分が青い

USB3.0対応のポートは端子部分が青い

 さらにいえば、USB3.0に対応しているUSBメモリならどれも転送速度は同じかというと、実はそうではない。内蔵しているフラッシュメモリの読込み/書込み速度が転送速度を大きく左右するので、モデルによって転送速度が異なる。では、実際のどのくらいの差があるのか、実際に比較しよう。

同じUSB3.0対応USBメモリでもここまで違う転送速度



 比較に使用したのは、トランセンドのUSB3.0対応のUSBメモリ。一般的なモデルとして、読込み70MB/秒、書込み18MB/秒の「JetFlash 700 32GB」を、高速モデルとして読込み210MB/秒、書込み140MB/秒の「JetFlash 780 64GB」を用意した。「JetFlash 780 64GB」は読込みで3倍、書込みで約7.8倍速いということになる。

高速モデルの「JetFlash 780 64GB」(左)と「JetFlash 700 32GB」(右)

高速モデルの「JetFlash 780 64GB」(左)と「JetFlash 700 32GB」(右)

 では実際の転送速度はどうだろうか。測定には、ベンチマーク測定でよく使われているフリーソフト「CrystalDiskMark」と、レノボのウルトラブック「IdeaPad Yoga 13」を使った。転送するデータサイズは1000MB、転送回数は5回とした。

 一般的な「JetFlash 700 32GB」の転送速度は、読込みが85.6MB/秒、書込みが20.08MB/秒で、高速モデルの「JetFlash 780 64GB」は読込み213.8MB/秒、書込み144.7MB/秒だった。読込みで約2.5倍、書込みで約7.2倍速い結果になった。

「JetFlash 700 32GB」と「JetFlash 780 64GB」のベンチマーク結果

「JetFlash 700 32GB」と「JetFlash 780 64GB」のベンチマーク結果

実際のファイル転送でさらに速度の違いが明らかに



 次に、デジタル一眼レフカメラで撮影した画像ファイルを転送して、読み書きにかかった時間をストップウォッチで計測した。データの転送が始まったことを知らせるウインドウが開いたところで計測を開始、転送が完了してウインドウが閉じたところでストップウォッチを止めた。転送したデータは、4つのフォルダに保存した計631点のJPEGとRAWの画像ファイルで、合計サイズは16.3GBだ。

 USBメモリからPCへの読込みにかかった時間は、一般的なモデルの「JetFlash 700 32GB」が3分42秒、高速モデルの「JetFlash 780 64GB」が1分37秒だった。つまり約2.3倍速く転送が終了した。実際のファイルの読込みでも、ベンチマーク測定の結果に近いことがわかった。

USBメモリ→PCへ。完了までにかかった時間を実測した

USBメモリ→PCへ。完了までにかかった時間を実測した

 続いて、PCからUSBメモリへのデータ転送にかかった時間を計った。読込みに比べて書込みは時間がかかり、一般的なモデルの「JetFlash 700 32GB」は16分07秒、高速モデルの「JetFlash 780 64GB」は約5.9倍速い2分45秒だった。実際のファイルの書込みではベンチマーク測定の結果よりもやや差は縮まったが、それでも16分と3分弱の違いは大きい。3分弱ならPCの前で待っていられるが、16分もかかってしまうと待つのも苦痛になる。

PC→USBメモリへ

PC→USBメモリへ

 トランセンド「JetFlash 780 64GB」のデータ転送速度の速さは、瞠目に値するものだった。同じUSB3.0対応でも、これほど違いがあるとは驚きだ。

 大容量ファイルや大量のデータを一時保存したり、受け渡したりするときには、超高速のUSB3.0対応のUSBメモリを使うほうが断然ストレスが少ない。大容量ファイルに限らず、ちょっとしたデータの転送でも、超高速USB3.0対応のUSBメモリのほうが快適なのは間違いない。これからUSBメモリを選ぶときは、容量やUSB3.0対応を確かめるだけでなく、データの読み書き速度もしっかり確認したい。

データ転送速度の速さが確かめられたトランセンドの超高速USB3.0対応のUSBメモリ「JetFlash 780 64GB」

データ転送速度の速さが確かめられたトランセンドの超高速USB3.0対応のUSBメモリ「JetFlash 780 64GB」

もっと大容量が必要ならポータブルSSDがおすすめ



 扱うデータがさらに大きくなっていくと、USBメモリでは容量が足りなくなる可能性も出てくる。また、大容量データのやりとりをするために、さらに高速のデバイスを求める人もいるだろう。そんな人におすすめしたいのが、外付けSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)である。HDDに比べてデータの読み書きがはるかに高速で、物理的な衝撃にも強い。

ポータブルSSD「ESD 200 256GB」とUSBメモリ「JetFlash 780 64GB」

ポータブルSSD「ESD 200 256GB」とUSBメモリ「JetFlash 780 64GB」

 トランセンドのUSB3.0対応のポータブルSSD「ESD 200 256GB」は、データ転送速度が高速USBメモリ「JetFlash 780 64GB」よりも速く、読込み260MB/秒、書込み225MB/秒を実現する。「CrystalDiskMark」によるベンチマーク測定の結果は読込み248.2MB/秒、書込み218.8MB/秒と、書込み速度の速さは際立っていた。また、「JetFlash 780 64GB」と同じ条件で行った転送時間測定テストでは、読込み1分25秒、書込み1分41秒だった。

「ESD 200 256GB」のベンチマーク結果

「ESD 200 256GB」のベンチマーク結果

 大容量データを扱う人、データ転送のイライラを解消したい人は、高速転送ができるUSB3.0対応のUSBメモリかポータブルのSSDを使おう。(フリーライター・榎木秋彦)