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<家電激戦区を歩く>北海道・札幌市(1) 札幌駅再開発で駅前店舗が伸びる 郊外では激しい攻防戦

特集

2013/06/17 10:46

 190万人を超える人口を抱え、北海道の行政・産業・観光の中心地である札幌市。札幌駅周辺は再開発によって賑わいを増し、駅前の家電量販店やパソコン専門店は新たなビジネスチャンスを迎えている。一方、郊外の店舗は地域密着型で近隣住民をお客様として確保しているが、新しいお客様を獲得しようと、激しい攻防戦も繰り広げている。(取材・文/佐相彰彦)

→北海道・札幌市(2)へ続く

<街の全体像>

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大丸の進出で活性化した札幌駅前



 札幌市の人口は193万3789人(5月1日時点)で、全国の政令指定都市で第4位の規模。最も人口が多い区はターミナル駅の札幌駅がある北区で、28万1348人。駅周辺にはオフィスビルが建ち並び、また再開発事業で2003年に駅ビルのJRタワーが開業するなど、ショッピング街としても賑わいをみせている。

全国の政令指定都市で第4位の規模

全国の政令指定都市で第4位の規模

 JRタワーには、約200店舗のテナントが入る複合商業施設の札幌ステラプレイスと、百貨店の大丸が札幌店を出店。とくに大丸札幌店は、2003年の開業以来、業績が右肩上がりに伸び、曜日を問わず常に多くの来店者で賑わっている。

 駅周辺の活性化には、複数の家電量販店やパソコン専門店の存在も寄与している。駅前には、ヨドバシカメラマルチメディア札幌、ビックカメラ札幌店、DEPOツクモ札幌駅前店、ドスパラ札幌店があるほか、少し離れた市営地下鉄大通駅近くにはヤマダ電機テックランド札幌本店がある。

 ヨドバシカメラマルチメディア札幌は1995年のオープン。当時はヨドバシカメラ札幌店の名称で高架下での出店だったが、2000年にマルチメディア札幌として札幌駅北口に移転した。ビックカメラ札幌店は、ターミナルビルのESTA内に2001年にオープンした。ヨドバシカメラとビックカメラの2店舗は、駅前の大型店舗として、JRタワーの開業前から店を構えていたことから、家電・デジタル機器の購入者を札幌駅に呼び寄せる役割を果たしていた。また、ドスパラ札幌店やDEPOツクモ札幌駅前店は、札幌市で数少ないパソコン専門店として、パソコンマニアを札幌駅へと向かわせている。ヤマダ電機テックランド札幌本店は、ヨドバシカメラやビックカメラより後発で2009年のオープン。大手3社と専門店が集結している札幌駅周辺は、いわば北海道の電気街のような様相を呈している。


確実にリピーターを確保する郊外店



 駅前と比べると人が少ない郊外だが、札幌市の場合は東区や白石区、豊平区など、人口20万人を超えるいわば衛星都市のような区があって、ほかの地域の郊外と比べるとお客様の数は多い。郊外の家電量販店は、できるだけ多くのリピーターを獲得し、安定した収益の確保に力を入れている。

 札幌市内10区のうち、最も家電量販店が密集しているのが西区だ。ケーズデンキが発寒店の1店舗、コジマがNEW札幌琴似店の1店舗、ヤマダ電機がテックランド札幌発寒店とテックランド札幌琴似店の2店舗を構えている。また、隣接する手稲区には、パソコン専門店のパソコン工房が手稲前田店を出店しており、西区や北区からパソコンユーザーを取り込んでいる。

 中心地・北区のなかでも住宅地とされる地域では、ヤマダ電機が屯田の国道128号線沿いにテックランド札幌屯田店、ケーズデンキが琴似栄街通(道道277号)に麻生店、札幌新道の札幌北インター近くにベスト電器がB・B札幌本店を出店。北区と隣接する東区では、ヤマダ電機テックランド札幌苗穂店とケーズデンキ東苗穂店が激しい競争を繰り広げている。

 狭い地域で競争しているのが、豊平区・白石区・清田区だ。隣接する3区の区境を中心に、半径5km内にヤマダ電機がテックランド札幌月寒店とテックランド札幌白石店、テックランド札幌清田店の3店舗、ケーズデンキが月寒店の1店舗、コジマがNEWイオン西岡店の1店舗、パソコン工房がイオンタウン平岡店の1店舗を出店している。また、白石区と清田区に隣接する厚別区は、ヤマダ電機テックランド札幌厚別店とベスト電器大谷地店、豊平区に隣接する南区にはヤマダ電機テックランド札幌南川沿店とベスト電器川沿店があり、ヤマダ電機グループが押さえている。

駅前の賑わいは繁華街をしのぐ 郊外は新規出店でシェア拡大へ
 ――クロス 得平 司代表取締役



 札幌市の家電量販市場について、家電量販店のコンサルタントであるクロスの得平司代表取締役は「駅周辺は、大丸札幌店が開業してから10年が経過した今でも、多くの人で賑わっている。逆に、繁華街のすすき野や大通は地盤沈下が進んでいる」と前置きしたうえで、「今後も、札幌駅周辺への一極集中は続くだろう。駅前の家電量販店にとっては大きなビジネスチャンスになる」という。札幌駅には市民だけでなく、市外からも多くの人が訪れ、商圏人口は300万人程度といわれている。得平代表取締役は、「駅前の店舗が新たなお客様をどのくらい獲得するかが会社全体の売り上げを左右する」としている。さらに、ヨドバシカメラとビックカメラ、ヤマダ電機と、駅前には大手3社が旗艦店を出店していることから、「駅前で買い回りすることがお客様のなかに根づいているので、競争がますます激化する」と分析する。

 札幌市に限らず、最近ではインターネット通販が実店舗を脅かしているといわれる。得平代表取締役は、「単にモノを売るだけでなく、お客様が『あの店に行くと楽しいことが待っている』と意識するような工夫を施すことが重要になってくる」と指摘する。その点では、「業種は異なるが、成長を続けている大丸札幌店を見習うのもいいだろう」という。

 郊外に関しては、「ほかの地方都市と同様に札幌市もクルマ社会。土地が余っていて、まだ出店の余地はある。郊外でシェアを高めることができる」という。現在、新規出店に力を注いでいるケーズデンキと、現段階で店舗の多いヤマダ電機とが、真正面からぶつかることが多くなりそうだ。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年6月10日付 vol.1484より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります