AMD「Fusion APU」搭載PCが大ブレーク、省電力×高性能×ハイコストパフォーマンスが武器

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2011/09/02 18:13

 AMDのプロセッサを搭載したPCが売れている。起爆剤は、CPUとGPUを融合した「Fusion APU」だ。2011年1月に第一弾として「AMD E/Cシリーズ」が登場したFusion APUは、PCメーカー各社が相次いで自社PCに採用。PCのラインアップが充実しつつある。日本AMDでは、デスクトップやノートに加え、タブレット端末への搭載にも力を入れている。

AMDプロセッサ搭載PCが続々と発売

 BCNランキングによれば、デスクトップPC、ノートPC、ネットブック、タブレット端末を合わせたAMD製プロセッサ搭載モデルの販売台数は、Fusion APU搭載モデルが登場した今年1月、前年同月比で119.6%となった。2月は、搭載モデルが増えたことで166.6%に伸び、さらに6月には186.9%まで成長した。直近の7月は、ほかの月と比べると成長率は鈍化しているものの、116.1%と前年からの伸びは保っている。


 Fusion APUは、今年1月にAMD Eシリーズの「E-350」「E-240」、AMD Cシリーズの「C-50」「C-30」が登場。業界初のCPUとGPUを組み合わせたAPU(Accelerated Processing Unit)として注目を集めた。PCの省電力・省スペースを実現しながら高い動画性能をもち、しかもコストパフォーマンスが高いという特徴をもつ。

 搭載モデルの増加に伴って、Fusion APU搭載モデルの売れ行きは爆発的と呼べるほどの勢いをみせている。BCNランキングで、Fusion APU搭載モデルに絞って今年1月の販売台数を1とした指数をみると、2月が13.7、3月が37.0と急上昇。以降も指数の上昇は続き、7月には何と152.9に達している。


 日本市場でAMDのプロセッサを採用しているメーカーは、外資系ではASUSTeK Computerや日本エイサー、レノボ・ジャパン、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、デルなど。国産では、ソニー、富士通、オンキヨーなどから発売されている。6月には、Fusion APUの第二弾として「AMD Aシリーズ」が登場。8月に「AMD E/Cシリーズ」で「E-450」「E-300」「C-60」がラインアップに加わったことで、今後、さらにFusion APUを搭載したPCは増えていくだろう。

 日本AMDは、今後、デスクトップやノートに加え、タブレット端末へのFusion APUの搭載を促していくという。現段階では、Fusion APUを搭載したエイサー「ICONIA TAB W500」が人気を博しているが、省電力と高性能、ハイコストパフォーマンスを兼ね備えたFusion APUが、市場をどのように活性化していくのか、注視したい。(BCN・佐相彰彦)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。