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<インタビュー・時の人>パイオニア販売 営業統括部マーケティング部 部長 福田俊一

特集

2011/06/28 11:30

 若者のクルマ離れなどを背景に自動車の販売台数が伸び悩んでいる状況は、カーナビ市場にとっても深刻な問題だ。こうしたなかで、「カロッツェリア」ブランドで市場をけん引してきたパイオニアは、どのように需要を喚起していくのか。パイオニア販売の福田俊一・営業統括部マーケティング部部長に聞いた。(取材・文/田沢理恵)

◎プロフィール
(ふくだ しゅんいち)1961年生まれ、大分県出身。85年、パイオニア入社。市販のカーエレクトロニクスの営業とマーケティングをそれぞれ10年以上経験。10年5月から現職。

スマートフォン対応で若者を吸引
AV一体型ナビはARで新奇性をアピール



Q. AV一体型ナビは、クルマの購入をきっかけに購入するケースが多い。今、自動車自体の販売台数は伸び悩んでいるが、この先どのようにカーナビを拡販していくのか。

A.
 拡販には、大きく二つのテーマがある。一つは、若年層の開拓だ。若者に人気のスマートフォンを切り口に、カーエレクトロニクスの楽しさを伝えていく。そのための取り組みが、4月に発表したNTTドコモのスマートフォンとの連携だ。スマートフォンに「ドコモ ドライブネット powered by カロッツェリア」をインストールすることで、最新のドライブ専用地図や自車位置の表示、周辺施設検索などのサービスが利用できる。当社が発売するナビクレイドル「SPX-SC01」をクルマに設置すれば、GPS電波が届きにくいトンネルの中や高架下の道路でも正しく自車位置を表示してルート案内する。カーナビで長年培ってきた技術を搭載し、多くの地図アプリがあるなかで、パイオニアだからこその強みを生かしていく。


Q. もう一つの取り組みは?

A.
 新奇性のある製品を投入し、市場全体に魅力を与えることだ。5月26日に発売したAV一体型HDD搭載ナビ「カロッツェリア サイバーナビ」の新製品がそれだ。専用車載カメラで撮影したフロントガラス越しの映像に、ルート案内の情報を重ねて表示する「AR(拡張現実)スカウターモード」を搭載した最上位モデルだ。前方を走行しているクルマとの適正な車間距離を通知するなど、ARの採用によって、快適で安心なドライブをアシストする各種の機能を備えた。また、地図にない道を走ると、リアルタイムで道路を自動生成する「ロードクリエイター」を初めて搭載した。これは、われわれにとって長年の夢だった機能で、ARの採用を含めて他社にはない差異化ポイントだ。そのほか、カーオーディオの技術者が開発に加わるなど、音質にも自信がある。

Q. 確かに、サイバーナビの新製品は、発売前から大きな話題を呼んだ。販売拡大に向けて、消費者にどのように訴求していくのか。

A.
 ARの魅力は、映像でないと伝えにくい。6月18日からは、「カロッツェリア サイバーナビ」として3年ぶりのテレビCMを放映するほか、カー用品店でも映像を使ったツールで訴求していく。今回の新製品は、発表後に当社ホームページのアクセス数が通常の10倍を記録するなど、アクセスが集中したことや、発売直後にYouTubeにレビューを掲載するユーザーが現れるなど、多くの方々に注目していただいている。実売についても、昨年のモデルに比べて増加傾向にある。実は、ここ数年のパイオニアは、新奇性のある製品を提案できていなかった。今回の新製品で、AV一体型ナビの魅力を再度アピールしていく。

・Turning Point

 営業とマーケティングでそれぞれ10年以上の経験を積んだ福田部長。マーケティングは、エンドユーザーにどのような価値を提供するかを考える仕事である。しかし、そのエンドユーザーにじかに接するのは販売店であり、その販売店に接するのは営業。営業現場を理解したうえでのマーケティングを心がけることがモットーだ。

 「すべてのドライバーに幸せを提供したい」という福田部長。過去にドライブの不満を調査した時、カーナビを付ける前までは、道案内を間違えてケンカになることを不満に思う夫婦が多かったという結果が出たそうだ。しかし、カーナビがあれば、情報をインプットすれば目的地に行けるので、ケンカにはならない。道案内だけでなく、夫婦円満にも貢献する。

 ※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2011年6月27日付 vol.1388より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは