セキュリティが生産性の向上につながる、マカフィーが新戦略

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2011/02/28 11:04

 SaaSビジネスの拡大に向け、マカフィー(加藤孝博会長兼社長)が新しい戦略を打ち出した。顧客企業の生産性の向上につながる包括的なセキュリティを提供し、利便性を訴える。

SaaSビジネスのポートフォリオを確立、包括的にサービスを提供



 今年1月、マカフィーはSaaS型セキュリティビジネスのポートフォリオを発表した。メールやウェブプロテクション、メールアーカイビングサービス、メール継続サービス、エンドポイントプロテクション、脆弱性管理などのサービスを、包括的に提供するものだ。一昨年、MX Logicを買収したことで、この包括的な提供が実現した。2月21日には、メールセキュリティサービス「McAfee SaaS Email Protection」とウェブセキュリティサービス「McAfee SaaS Web Protection」を発売している。

 マーケティング本部プロダクトマーケティング部の近藤学マネージャーは、「このサービスは、ワールドワイドで利用企業が増加し続けている。日本でも、100~1000人規模の中堅・中小企業で顧客を獲得できる」と自信をみせる。

近藤学マネージャー

 「McAfee SaaS Email Protection」は、スパムメールのブロック、ウイルスとワームのスキャン、フィッシング詐欺対策などを提供。スパムと判別したメールを、いったんクラウド上の隔離領域に保管し、管理者が専用のポータルサイトからアクセスして、必要なメールが誤ってブロックされていないかどうかを確認できる。スパムではないメールが隔離されていた場合、手動で解除することができる。

McAfee SaaS Email Protectionの画面

 近藤マネージャーは、「大量に送られてくるメールのなかから、クライアント端末でスパムと思われるメールを削除するのは手間がかかる。社員一人ひとりがスパム削除にあてる時間を考えると膨大になる。SaaSで手軽に使えるのは大きなメリット」という。また、「システム管理者がクライアントごとに細かくポリシーを設定できるので、利便性が高い」としている。

 「McAfee Web Protection」は、ウェブレピュテーションやコンテンツカテゴリー判定によるフィルタリング、コンテンツスキャンなどを提供。クラウドベースのセキュリティ基盤「GTI(Global Threat Intelligence)」に蓄積している世界中の脅威動向をもとに不正なアクセスをブロックするほか、コンテンツスキャンによって未知の脅威や動的に変化するスクリプトを検出することができる。

McAfee Web Protectionの画面

統合スイートにも根強いニーズ、サービスとソフトの両輪で拡大



 包括的にSaaSを提供できるようになったからといって、「SaaSだけに固執しない」と、近藤マネージャーは断言する。マカフィーは、エンドポイントのセキュリティをすべて網羅することをコンセプトにしたセキュリティスイート「McAfee Total Protection for Endpoint Enterprise Edition(TPE)」を提供している。「大企業では、ウイルス対策などの基本的なセキュリティをはじめ、包括的な機能を搭載した統合スイートが依然としてニーズが高い」として、「包括的なSaaSと統合スイートの両輪でビジネスを手がけていく」としている。

 マカフィーでは、「McAfee SaaS Email ProtectionやMcAfee SaaS Web Protection」を手始めに、中堅・中小企業に対してSaaSを普及させ、包括的なサービスの利用へとつなげる。また大企業に対しては、統合スイートで包括的な機能を提供する。「包括的なセキュリティは、システム管理者や一般社員の業務効率化につながることを訴えていく」と近藤マネージャー。製品・サービスのラインアップを強化するとともに、セキュリティの新しい提案を行い、事業拡大を図る。