約8割がデジカメで動画を撮影、HDの広がりで大容量SDカードの需要が拡大

特集

2010/12/14 18:15

 12月1日の家電エコポイント制度の改定を前に、最近薄型テレビを購入したという人も多いだろう。家にやってきたハイビジョン(HD)対応テレビで観る地上デジタル放送は、やっぱり鮮明で美しい。となれば、自分で撮影する動画もHD画質で楽しみたいと思うのは、自然な流れだ。以前は動画を撮影するとなると、真っ先にデジタルビデオカメラを思い浮かべたが、今ではコンパクトデジタルカメラやデジタル一眼もHD動画撮影ができる機種が多い。11月の「BCNランキング」では、99.4%が対応している。その影響からか、デジカメに不可欠なSD系メモリカードの容量に変化が現れている。2010年8月から主流は2GBから4GBへと移り、8GBが徐々に拡大。大容量化に拍車がかかっている。


 メモリカードのトップメーカーであるサンディスクが、18歳以上の動画対応デジカメとSD系メモリカードの同時購入者1000人を対象に9月に実施したインターネットアンケートによると、77%の人がデジカメで動画を撮影。また、27%の人が動画撮影を主目的にデジカメを購入しているという。この結果から、動画機能の搭載だけでなく、デジカメで動画を撮影するという行為が定着しつつあることがわかる。

2010年9月 サンディスク調べ

 デジカメの動画撮影機能は、HD画質に対応しているものがほとんど。先述のアンケートによると、同時購入者の7割がHDモードで撮影を楽しんでいる。また、デジカメでの動画撮影は、ビデオカメラとは違い、5分以下の撮影が主流。ユーザーは、旅行での思い出や子どもの成長を、HDショートムービーで記録しているようだ。

2010年9月 サンディスク調べ

 この結果をみると、SD系メモリカードの売れ筋が大容量化していることもうなずける。例えば、1200万画素クラスのカメラで、最高画質の静止画とHD画質の動画を撮影するとする。4GBで同時に記録できるのは、動画が約20分、静止画が230枚程度。静止画の230枚は最低確保しておきたい。その上で3分程度のショートムービーを撮影するとしたら、約6回しか撮影できないことになる。これでは、ヘタをすると、1回の旅行でメモリカードの容量がいっぱいになってしまう。

 これに対して8GBのカードなら、動画を約45分(1回3分なら15回)、静止画を約470枚撮影できる。16GBまでいくと、動画を約90分(1回3分なら30回)、静止画を約940枚撮影できる。一眼なら、最低でもこれくらいの容量は欲しいものだ。

サンディスク エクストリーム HDビデオ SDHC カード(8GBと16GB)

 さらに、メモリカードは、容量が大きい製品のほうが割安。例えば、サンディスクのデータの読み書き速度が最大20MB/秒の「サンディスク エクストリーム HDビデオ SDHC カード」の11月の税別平均単価で比べると、8GB製品は1GBあたり582.6円で、4GB製品より86.2円お得だ。

 サンディスクのアンケートによると、動画対応デジカメとSD系メモリカードの同時購入者の約60%が、4GB以下の製品を購入している。しかし、同時購入者の66%は、撮影できる枚数が少ない、録画できる時間が短いなどの理由で、1年以内にメモリカードを追加で購入しているという。デジカメで静止画も動画撮影も楽しむなら、できるだけ大容量の製品を選んだほうが、経済的だ。

 メモリカードを選ぶときには、容量だけでなく、データの読み書きスピードの確認も大切だ。SD系メモリカードのデータの読み書きスピードは、「SDスピードクラス」でチェックできる。これは、業界団体「SDアソシエーション」が定めるデータ転送速度の基準で、「CLASS2」では2MB/秒、「CLASS4」では4MB/秒、「CLASS6」では6MB/秒、「CLASS10」では10MB/秒の最低転送速度を保証している。動画で使う場合には、なるべく「CLASS6」以上のものを使用したい。

 HDテレビが普及したいま、自分で撮影する動画もHD画質で記録しておけば、テレビの大画面で高精細に楽しめる。静止画に、動画に、デジタルカメラの性能をめいいっぱい生かすなら、メモリカードはじっくり吟味して、大容量で高速な製品を選ぼう。(BCN・武井美野里)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。