映画配信、Apple TV、iOS 4.2……、加速度を増すアップルの意図を探る!

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2010/12/08 11:44

 映画配信やApple TVの発売、そしてiOS 4.2へのアップデートなど、アップルによる日本市場での新しい製品やサービスの提供がますます加速度を増している。製品やサービスを使う人に対して価値を提供するというのが理由の一つだが、そこには大きな狙いが隠されている。最近のアップルの動きから探った。

 2010年11月、アップルは、これまでにも増して多くのサービスを発表した。まずは11月11日、自社運営のオンライン音楽配信サイト「iTunes Store」で映画配信のサービスを開始。購入型(1000円~)と、レンタル型(200円~)を用意し、洋画や邦画、1000以上のタイトルを揃えている。

「iTune Store」による映画配信サービスのトップページ

 最近は、インターネットを使った映画コンテンツのダウンロード販売やレンタルサービスが盛んになっている。音楽CD、DVDやBD(ブルーレイディスク)のレンタルショップによるネットサービスなどもあるほどだ。徐々にではあるものの、PCで映画を視聴する人が多くなっている。アップルは、利用者が多いプラットフォーム「iTunes」を通じて、誰でも気軽に映画を視聴できる環境を整え、変革しつつある映画コンテンツの視聴スタイルを根付かせようとしている。

「Apple TV」

 iTunes Storeでの映画配信のサービス開始と同時に発売したのは、MacやiPhoneに保管しているデータを薄型テレビでも閲覧できるApple TVだ。  Apple TVは、映画コンテンツの視聴をはじめ、iPhoneやデジタルカメラで撮影した画像、デジタルビデオカメラによる動画、ウェブサービスなどが使える。専用リモコンで操作は簡単。リビングのテレビで大勢で楽しめるよう、アップルはテレビとの連係を追求したのだ。

ハイビジョンテレビで映画配信の閲覧ができる

 11月23日には、新OSのiOS 4.2の提供を開始。iOS 4.2はこれまでできなかったマルチタスクに対応し、例えばiPadでインターネットラジオを聴きながらアプリを動かすことができる。また、iPhoneやiPad、iPodのデジタルメディアをApple TVを通じてワイヤレスでストリーミングできる「AirPlay」、eメールや写真、ウェブページ、書類などがプリントできる「AirPrint」などを追加した。

「AirPrint」でウェブページの印刷ができる

 インターネットを通じて、多くの端末がつながりつつあるいま、課題となっているのは、使う側の利便性や操作性、いわゆるユーザーインターフェースの部分だ。アップルは、“使い慣れた”iTunesをプラットフォームと位置付けて、さまざまなデバイスが簡単につながることをアピールしながら、MacやiPad、iPhoneなどの製品を浸透させていく。直近の新しい製品・サービスの立て続けの提供は、ここで一気に“アップルファン”を確保することが狙いなのだ。

映画配信、Apple TV、iOS 4.2……。
アップルは一つのプラットフォームでさまざまな端末をつなぐ