BCN、PCは台数・金額で二桁増、デスクは好調、ノートはネットブックに陰り

特集

2010/09/08 18:47

 BCNは9月8日、「なぜ好調デジタル家電――エコポイント以外にもある消費拡大の要因」をテーマに記者会見を開催した。薄型テレビやレコーダー、デジタルカメラ、PCの市況を「BCNランキング」を用いて分析した。

 液晶テレビとプラズマテレビを合算した薄型テレビ市場は、家電エコポイント制度の特需で盛り上がりをみせた2010年3月以降はやや落ち着き、8月の対前年同月比は販売台数163.5%、販売金額119.4%だった。また、平均単価(税別、以下同)の下落が顕著で、1年前の09年8月は10万4000円程度だったが、10年8月には7万6000円と3万円近く下がっている。

会場には約50名のマスコミ関係者が集まった

 このほか、バックライトにLED(白色/RGB合算)を採用したモデルの構成比が拡大し、8月は全販売台数のうち43.3%を占めた。これまで主流だった、CCFL(蛍光ランプ)は同月56.7%で、道越一郎エグゼクティブアナリストは「LEDバックライトは標準の機能になってきた。LEDとCCFLの比率は年内に逆転するだろう」とみる。

 また、4月に市場が立ち上がった3D対応テレビは、8月の販売台数構成比は1.4%と、大きな存在感を示すには至っていない。 



 レコーダー市場も好調で、対前年同月比で8月は販売台数144.5%、販売金額119.7%だった。BDとBDXLを合算したBDレコーダーの割合は、8月は81.5%で、年内にも9割を超すとみられる。

 デジタルカメラ市場は、販売台数は堅調な成長をみせているが、薄型テレビ同様、平均単価の下落が目立つ。8月の対前年同月比は、販売台数114.8%、販売金額102.6%だった。平均単価は、1年前の09年8月で2万8000円程度だったが、10年8月は2万5000円程度に。レンズ一体型(コンパクトデジタルカメラ)の単価が下がり続けているのが原因だ。

 一方、レンズ交換型(デジタル一眼カメラ)は勢いがあり、8月の対前年同月比は、販売台数161.8%、販売金額137.2%。ソニーが6月に参入して活況を呈しているミラーレス一眼は、レンズ交換型での割合が販売台数で31.2%、販売金額で26.3%を占め、市場全体の伸びを牽引している。 


 デスクトップPCとノートPC、iPadなどのスレート(※)を合算したPC市場は堅調で、6月以降、販売台数・金額ともに二桁増を維持している。8月の対前年同月比は、販売台数121.1%、販売金額131.7%だった。とくにデスクトップPCは、Windows 7の発売後、PC全体での割合が増えており、8月は20.4%(販売台数)だった。

 デスクトップPCの構成比が増加している理由として、森英二チーフアナリストは、「自宅のメインマシンをWindows XPからWindows 7に切り替えたユーザーが多いことが影響している」と分析。また、道越エグゼクティブアナリストは、「液晶一体型のデスクトップPCを“大きなノートPC”として捉えたり、地デジチューナー搭載モデルをサブテレビとして認識したりしているユーザーもいる」と伸長の背景を語った。


 一方、ノートPCは、ネットブックが縮小し、ノートPC全体での構成比が減少している。1年前の09年8月は販売台数で29.8%だったのに対し、10年8月は12.0%まで下がっている。この傾向について、森チーフアナリストは、「携帯電話の販売店など、量販店以外のチャネルでも販売していることに加え、製品数の減少や、ユーザーがスマートフォンにシフトしていることがある」と分析している。


※BCNでは、2010年以降に発売された製品で、画面サイズが5型以上12.1型以下、Wi-Fiや3Gなどによるインターネット接続が可能で、タッチパネルを搭載した板状の汎用モバイル端末を「スレート」と定義している(電子書籍専用端末、PNDなどは除く)。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。