ソニー、武器は「フルHD動画」、コンパクトデジカメ市場の拡大を目指す

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2010/07/08 18:02

 ソニー(ハワード・ストリンガー会長兼社長CEO)は、7月8日、コンパクトデジタルカメラ「Cyber-shot(サイバーショット)」の新製品発表会で、カメラ事業の製品・販売戦略を発表した。コンパクトデジタルカメラは、3D写真が撮影できる「DSC-WX5」など4モデルを投入。フルハイビジョン(フルHD)動画対応を軸に、販売台数でシェアNo.1を目指す。

 ソニーマーケティングのコンスーマーAVマーケティング部門デジタルイメージングマーケティング部の下野裕統括部長が戦略を発表。3D対応のコンパクトデジタルカメラ「DSC-WX5」「DSC-TX5」は、映画などの3D作品だけではなく、ユーザーが「3Dのパーソナルコンテンツを楽しめるようにする」ための重要なツールとして位置付ける。これに伴い、すでに発売している3Dテレビだけでなく、デジタルフォトフレームなどの周辺機器の投入も検討する。 

ソニーマーケティングのコンスーマーAVマーケティング部門デジタルイメージングマーケティング部の下野裕統括部長

 また、「DSC-WX5」「DSC-TX5」でフルHD動画が撮影できるモデルのラインアップを拡充し、新たな市場を構築する考えを示した。フルHD動画撮影は、現在、デジタルビデオカメラやデジタル一眼カメラ携帯電話など、対応製品が増えてきている。この市場環境のなかでは、「それぞれで撮影するメリット、アフターソリューションをどのように提案していくか」が課題になるという。

 「BCNランキング」で2010年のコンパクトデジタルカメラ市場をみると、対前年同期比では、2010年4月から販売台数・金額ともにプラスに転じて推移。しかし、6月は台数112.6%、金額97.7%と金額で再び前年を割り込み、陰りがみえ始めた。市場動向について、下野統括部長は「決して楽観視していない」という。というのも、これまで好調だったのは「買い替え需要とAV機器市場全体が堅調であるという外的要因による結果」と捉えているからだ。メーカー側の努力がそのまま市場を押し上げたとは、必ずしもいえないとみている。 

Cyber-shot DSC-WX5

 ソニーは、2010年2月にフルHD動画撮影に対応したコンパクトデジタルカメラ「DSC-TX7」「DSC-HX5V」を発売。さらに、6月にはデジタル一眼カメラ「α(アルファ)」のミラーレスタイプ「NEX-5」「NEX-3」を発売し、カメラ事業全体の販売金額を底上げしてきた。ここでいうカメラ事業とは、コンパクトデジタルカメラ、デジタル一眼カメラ、デジタルビデオカメラを合わせたもの。「もはや、個別のフィールドで考える時代ではなくなっている」として、市場をカメラ事業全体で捉えていく姿勢を示した。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。