グラフ作成力が大幅にアップ、データベースソフト「FileMaker Pro 11」

レビュー

2010/04/26 11:47

 世界での累計販売本数が1500万本を超える、ファイルメーカーのデータベースソフト。4月7日、Web上で情報を共有できる企業向けの「FileMaker Pro」がバージョンアップして、新たに「<a href="http://bcnranking.jp/news/1004/100408_16843.html
">FileMaker Pro 11</a>」が登場した。そこで、新機能をいくつかピックアップし、その利点を紹介しよう。

棒グラフや円グラフなどをダイナミックに作成



 大量のデータを効率よく処理するデータベースソフト。レポートや帳票形式の書類を作成するとき、よく蓄積したデータを活用することがある。しかし、ビジュアルとして説得力がなければ、せっかくのデータは生きてこない。 

FileMaker Pro 11(一番左)

 「FileMaker Pro 11」(以下Pro 11)は、グラフ作成機能を強化している。線グラフ、円グラフ、面グラフ、垂直棒グラフ、水平棒グラフという5種類の形式をもつ。これまでも、Webビューア機能と外部プラグインの組み合わせで各種グラフを描画するという仕組みはあったものの、ソフトの一機能として搭載したことで使いやすくなり、ありがたい。 

X・Y軸に使用する名称をそれぞれ記入

 グラフを作成する手順は簡単。上部のツールバーにあるレイアウトモードから、「グラフツール」ボタンをクリック。グラフを描画する範囲をマウスでドラッグして指定すればOK。あとはグラフ設定画面でグラフのタイプ、X・Y軸に使用するフィールド名または計算式、グラフのタイトル、といった項目を埋めていけばいい。 

【作例】商品個数の売り上げを示す棒グラフ

 作成したグラフは、フィールドまたは計算式のデータベースの値と連動する。例えば、商品個数の棒グラフであれば、該当する商品の個数を上下させると、すぐにグラフは再描画される。グラフの種類が豊富にあるのは、Excelなどの表計算ソフトのグラフ機能に近づいたといえるだろう。

 Webブラウザでの閲覧も考慮している。Webサーバー機能「インスタントWeb公開」を有効にすると、サポートするWebブラウザを利用して、データベースにアクセスできる。ブラウザは、Safari 4.0、Internet Explorer 8.0と7.0、Firefox 3.5以降に対応。「インスタントWeb公開」では、Pro 11のユーザーインターフェイスをほぼそのまま利用でき、グラフ作成機能も動作する。ブラウザを通じて、最大5人までデータを共有することができる。 

Webブラウザでグラフを表示できる

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Excelのように操作できる「クイックレポート」機能



 もう一つの新機能「クイックレポート」もみていこう。クイックレポートは、表計算ソフトに近い感覚でデータを管理するもの。「Excelは得意だがデータベースソフトは難しそう……」という方も気軽に作業できるはずだ。使い方はシンプルで、ブラウズモード時に表示形式として「表形式」を選ぶだけ。

 すると、画面はスプレッドシート状になり、操作感も表計算ソフトのそれにかなり近づく。データベースの「レコード」がExcelでいう「行」、「フィールド」が「列」になると考えていい。例えば、フィールド間にカーソルを合わせれば、Excelと同じように列幅を広げたり縮めたりすることができる。Excelの「列」と同じ操作でフィールドを挿入することはできないが、右端の「+」ボタンをクリックすれば簡単に追加できる。 

表形式モードではスプレッドシートに近い感覚で作業できる

 フィールドのタイトル部分に多くの機能をもつことも、クイックレポートの特徴だ。タイトル部分を右クリックすれば、昇順・降順のソート、フィールドを隠す設定、フィールドの削除、フィールドタイプの変更、といった処理ができる。

 レポート作成時に便利な機能が、データのグループ化だ。グループ化したいフィールド上で右クリックし、「××(タイトル名)による後部グループを追加」を選択し、フィールドの並び順に応じた小計用の領域を作成する。もう一度同じフィールドを右クリックして「後部小計を配置」を選択し、「カウント」「合計」「平均集計方法」などを必要な項目を指定すればいい。例えば、「特定顧客の合計値を出したい」「平均単価を調べたい」といった場面で役立つ。 

小計用の領域を使い、対象を限定して平均や合計が算出できる「クイックレポート」

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生産性を高めるさまざまな新機能



 このほか、生産性を高める多くの新機能をもっている。ここでは、「定期的なインポート」「スナップショットリンク」「インスペクタ」の三つを紹介しよう。「定期的なインポート」は、Excel、CSV、TAB形式の既存ファイルを反映する設定のこと。ファイル→レコードのインポート→ファイル……という手順でインポートしたいファイルを選ぶとき、「定期的なインポートとして設定」のチェックボックスを有効にしておけば、次にそのファイルを開くと自動的にデータをインポートしてくれる。 

「定期的なインポート」なら、元のファイルの更新をデータベースに手入力する必要はない

 データベースへのデータの蓄積は、フォームを利用した手入力よりも外部ファイルからのインポートがほとんど、というケースは少なくない。しかも、顧客から受け取るファイルの形式がまちまちなうえ、受け取る頻度が高いとなると、事務処理の負担が増す。この機能はインポートする元のファイル名が同じ場合しか利用できないが、無駄な労力が大幅に減るはずだ。

 「スナップショットリンク」は、ある時点の作業の状態を保存するときに使う機能。具体的には、ある条件で絞り込んだレコードを次回の作業でも使う、といったときに便利だ。レコードを絞り込んだ状態で、ファイル→レコードの保存/送信→スナップショットリンク……という手順で実行し、拡張子「.fpsl」のファイルとして保存すれば、その状態を次の作業に生かすことができる。 

「.fpsl」のファイルサイズは小さいのでメールでやりとりできる

 スナップショットリンクで作成したファイルは、検索条件などの情報をXML形式で記録し、データそのものは含まない。このため、ファイルの容量がかなり小さく、メールに添付して仕事相手に送る、といった作業もできるところが便利だ。

 「インスペクタ」は、画面上で選択した項目の情報を表示・設定する機能のこと。例えば、入力フォームをデザインするとき、位置やサイズ、フォントサイズや色といったさまざまな項目を確認、調整できる。一つの画面で一連の設定を済ませることができ、作業の効率化につながる。 

Mac OS Xユーザにはおなじみの機能「インスペクタ」

 前のバージョン「FileMaker Pro 10」から約1年3か月という、短い期間を経て発売した「FileMaker Pro 11」。Pro 7で複数のテーブル構造を取り入れたときのような、データベースのエンジン部分における大幅な変化は見られないが、グラフ機能の強化やExcelライクな作業モードの導入、定期的なインポート機能など、ユーザーの声に耳を傾けたと思われる改良箇所が多くみられる。これまでデータベースの導入をためらっていた人でも、十分検討する価値があるソフトだといえるだろう。(ライター・海上 忍)

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