オフィスに欠かせない消耗品、帳票用紙で一番売れているメーカーは?

特集

2010/01/18 19:44

 納品書や振替伝票などをプリントする帳票用紙。オフィスには欠かせない消耗品だ。オフィス通販や文具店はもちろんのこと、家電量販店でも手に入る。売り場スペースの大きな量販店に行けば、そのラインアップ数に圧倒されるくらい、実は売れ筋の商品なのだ。そこで今回は、帳票(伝票)用紙市場をクローズアップ。どのメーカーが支持されているのだろうか。ビジネスで納品書や伝票などをプリントするという人には、ぜひチェックしてほしい。

シェアトップはヒサゴ



 「BCNランキング」で、09年(1-12月)の帳票(伝票)用紙市場をみた。今回は用紙市場のうち、納品書・請求書などの販売伝票、元帳・振替伝票などの経理伝票などを集計したジャンル「伝票」で、メーカー別販売数量シェアを出した。

 販売数量シェアでトップを獲得したのは、70年の歴史がある用紙専業メーカー、ヒサゴで、シェアは46.7%だった。同社のルーツは1939年に開業した「小川封筒店」で、帳票作成のコンピュータ化が進んだ現在でも、手書き伝票も揃えているという老舗らしいこだわりをもつ。もちろんプリント帳票用紙のラインアップは幅広く、どんなニーズにも応える頼もしい存在だ。 


 ちなみに、マイクロソフトの文書作成ソフト「Word」で、最初に宛名ラベルの推奨用紙となったのがヒサゴの用紙だった。「Word」で宛名印刷をしたことがある人のほとんどが、お世話になっているメーカーだろう。

 ヒサゴがダントツのシェアを獲得している理由は、各種業務ソフトの推奨製品であることや、各プリンタメーカーと動作検証を行っていること、そして、用紙専業メーカーとして、品質にこだわった製品開発を行っている点が大きい。例えば、独自技術「クリアカットミシン加工」で切り離しやすいことや、紙づまりや二重送りを防止するファイル穴の採用などが挙げられる。また、部材である紙を大量に確保でき、価格での差異化を図ることができるのも強みだ。そして、製品のサンプル請求ができ、買う前に試せるという仕組みも、ユーザー獲得に繋がっているといえそうだ。

業務ソフトメーカーが2-5位占める



 シェア2-5位は、業務ソフトメーカーが占めるかたちとなった。2位は「弥生会計」「弥生販売」など業務ソフトの雄、弥生で26.8%。3位は「会計王」「給料王」などのソリマチで8.9%。4位が「勘定奉行」などの「奉行シリーズ」で知られるOBCで、6.1%。5位が「PCA会計」「経理じまん」のピー・シー・エー(PCA)で5.7%となっている。2-5位の業務ソフトメーカーのシェアを合わせると47.5%。帳票用紙市場は、用紙専業メーカーと会計ソフトメーカーで、実に9割以上を占める状況なのだ。 

ヒサゴ「マルチプリンタ帳票」シリーズ。罫線ごと印刷できる。

 上位5社の製品がどのくらい売れているのか、販売数量伸び率をみると、業務ソフトメーカー各社が前年を下回る一方、用紙専業メーカーのヒサゴは、前年比12.3%増。これは、最近の各種帳票ソフトの仕様が一因になっているようだ。業務ソフトは、従来、各種ソフトの仕様に合わせて、用紙にあらかじめ罫線が引かれていたのだが、最近では罫線ごと印刷ができる仕様になってきている。こうしたソフト環境に連動して、帳票用紙市場では、罫線がない用紙が主流になってきた。用紙専業メーカーのヒサゴの販売数量が伸びているのは、業務ソフトメーカー純正用紙にこだわらないユーザーが増えてきていることを物語っている。 


 帳票用紙は、企業はもちろん、SOHOで利用する機会が増えてきている。ふだんはあまり気にせずに製品を選んでいるかもしれないが、価格重視の製品や、グリーン購入法適合製品、再生紙で作った製品など、各メーカーから多様な製品が出ているので、改めて量販店の用紙売り場をのぞいてみてほしい。(BCN・田沢理恵) 


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。