最近よく耳にするようになった「スマートフォン」。実際のところ、一般的な携帯電話と比べてどういった点が便利なのだろうか。そこで、各キャリアが発売する今話題の3モデルで、誰もが頻繁に使う「メール」「Webサイトの閲覧」を中心に使い勝手を確かめた。

「スマートフォン」ってどんな端末?



 スマートフォンは、いわば多機能な携帯電話で、Webサイトやドキュメントの閲覧、文書作成、メールのやり取りなどが、PCに近い使い勝手で利用できるのが特徴。専用のOSを備えており、現在は主にSymbian OS、Windows Mobile、iPhone OS、AndroidのいずれかのOSを備えたモデルが販売されている。

 機能面では、仕事向けの業務管理ツールや地図、ゲームなどの多彩なアプリケーションをダウンロードして、自分好みに端末をカスタマイズできることも大きな特徴だ。

 今回試用したモデルは、NTTドコモの「HT-03A」、KDDI(au)の「E30HT」、ソフトバンクモバイルの「iPhone 3GS」の3つ。さっそく、一つひとつの端末の操作感を見ていこう。

スマートフォン3機種を比較


爽快なタッチ操作が魅力――NTTドコモの「HT-03A」



 NTTドコモのHTC製端末「HT-03A」は、日本初の「Googleケータイ」。検索や地図、メール、動画共有サイト「YouTube」などGoogle独自のサービスを手軽に利用できる。約3.2型液晶にタッチパネルを採用し、基本操作は指で画面を触れて行う。また、本体の向きによって画面が縦横に切り替わるので、作業に応じて画面の向きを使い分けることが可能。

NTTドコモの「HT-03A」

 OSにはGoogleが開発したプラットフォーム「Android」を搭載する。「Android」には、OSだけでなくWebブラウザ、ユーザーインターフェイスなどのアプリケーションも含んでおり、携帯電話のほかノートPCやカーナビなどの小型端末にも導入できるとして注目を集めている。

 さて、早速「メール」「Webサイトの閲覧」2つの機能についてみていこう。まずはメール。キーはソフトウェアキーボードのみだが、配列は通常の携帯電話と同様の10キーだ。このため、「ひらがな」「数字」などどの入力モードでも、通常の携帯電話と同じような感覚で使えた。

メールのソフトウェアキーボードは本体の向きに合わせて表示が自動的に切り替わる

 ただ、キーのサイズが小さいので不用意にタッチすると隣のキーを押してしまうこともあり、意図しない文字が入力されることがあった。また、何文字か入力すると変換候補が表示されるが、同じ理由でうまく選択できないことがあった。ちなみに、本体が縦向きの場合、本体を片手でしっかりとホールドするためもう一方の手の指でタッチしていたが、両手で本体を持つ横向きなら、親指2本でも操作することもできる。

 ただ、ソフトウェアキーボードは画面の半分近くを占める。そのため、通常の携帯電話と比べて本文のテキスト欄に余白があまりなく、窮屈な感じがした。また、文字の変換候補が表示されると、テキスト欄の位置がその度に上に移動するのでこちらも見づらいと感じた。

(左)画面の拡大・縮小は下部の虫眼鏡マークを利用する (右)複数のウィンドウから見たいページを選択できる

 Webサイトの閲覧についても見てみよう。とにかく驚いたのは、ページを表示する速度がすばやく、操作していて気持ちがいいこと。選択した項目には、オレンジ色の枠が付くので見やすい。スクロールは軽く指をスライドさせるだけで画面が上下左右に動く。画面は斜め方向でも位置を移動させることができる。また、ページは小さいウィンドウの形で複数開いておくことができ、見たいページを簡単に選ぶことが可能。

(左)待ち受け画面からはすぐにGoogle検索ができる (右)メニュー画面では頻繁に使うアプリケーションをアイコンから選択可能

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 このほか、待ち受け画面上部には「Google検索」の窓が表示されており、すぐにGoogleの検索が利用できる。下部には「電話」「ブラウザ」「地図」に加え、Android向けのアプリケーション配信サービスが利用できる「マーケット」のアイコンも表示する。このアイコン、PCのデスクトップのようによく使うものを好きな場所に配置することが可能。

 待ち受け画面を左右にスライドさせると、左右に画面1つ分のスペースが現れ、ここにもアイコンを追加することができる。また、画面の下にあるオレンジ色のアイコンを上方向にスライドさせれば、メニュー画面が現れる。メニューには、文字とイラストを組み合わせたカラフルなアイコンが並ぶ。

 本体前面の下部には「ホーム」「戻る」など頻繁に操作するボタンを6つ備える。また、今回はあまり使わなかったが、中央にはトラックボールも搭載する。こちらを使って画面のスクロールやアイコンの選択をすることも可能。本体サイズはちょうど女性の手に収まるくらいで持ちやすく、重さは約123gと3モデルの中で一番軽い。

女性の手のひらに収まるサイズ

ハードウェアキーボードで確実に文字入力――auの「E30HT」



 次はau初のスマートフォン「E30HT」だ。NTTドコモの「HT-03A」と同じくHTC製。OSにWindows Mobile 6.1を搭載し、Excel、Word、PowerPointをはじめとしたWindowsの「Office Mobile」が利用できるのが特徴。映像や音楽の再生ができるソフト「Windows Media」を備えるほか、会社の「Exchange Server」と同期させてスケジュールやメールを管理することもでき、PCと同期できる「ActiveSync」などの便利なソフトも搭載する。

auの「E30HT」

 本体にはタッチパネルタイプの約2.8型液晶に加え、本体を横向きにスライドさせれば現れるQWERTY配列のハードウェアキーボードを備える。基本操作はタッチパネル、Excel、Word、メールなどの文字入力の際にはキーボード、と作業に応じて使い分けることが可能だ。

 さて、メールではまず、ハードウェアキーボードを試してみた。キーは両手の親指で押していたが、中央辺りのボタンは指が届きにくいため、どちらの指で押すのか迷ってしまった。手元を見ながらキーを押すことはできるが、タッチタイピングとなるとしばらく使って慣れないと難しい。しかし、ハードウェアキーボードなので想像していた以上に使いやすい。確実に文字を入力できる点は魅力的だ。

(左)メール画面で10キーを表示したところ (右)QWERTYキーをスライドさせれば自動的に画面が横向きに切り替わる

 ハードウェアキーボードを使わないで文字を入力することもできる。画面上のソフトウェアキーボードを使う方法だ。これは本体が縦向きの際、自動的に表示される。10キー配列で入力モード「ひらがな」の場合、キーが大きくて一番使いやすかった。一方、QWERTYキー配列の「ローマ字/かな」、五十音順でキーが配置される「ひらがな/カタカナ」などのモードは、キーが小さく表示されてしまうので押しにくい。

(左)Webサイトを表示したところ (右)WindowsのPCのように「スタート」から各種機能が呼び出せる

 一方、Webサイトの閲覧は、試用した通信環境の問題もあると思うが、サブメニューから選択して行う「大」「小」などのページの表示サイズの切り替えが、ほかの端末と比べて遅く感じた。スクロールは細かい調節がしにくく、指の動きと比較すると動きすぎる感じがした。思い通りのスクロールするには慣れが必要だろう。

(左)黒を基調としたシンプルな待ち受け画面 (右)メニュー画面のアイコンはWindowsでおなじみのデザインが多く親しみやすい

 待ち受け画面は上部に時計、中央部には「天気」「ランチャー」など4つのアイコン表示されている。「ランチャー」を選択するとさらに複数のアイコンが表れ、ここによく使う機能のアイコンを登録することができる。なお、待ち受け画面のアイコンはイラストのみしか描かれていないので、初めて使う際、どのアイコンが何を意味しているのか一目でわからなかった。ただ、メニュー画面では、WindowsのPCでもおなじみの「Internet Explorer」「Adobe Reader」などのアイコンが文字付きで描かれており、迷わず選択することができた。

横向きにした本体は携帯型ゲーム機のよう

 本体のサイズは、縦横の大きさで見ると3機種の中でもっとも小さいが、キーボードを備えているため厚みがあり、約154gと重い。ただ、背面はマットな素材でできているので、手に持った際滑りにくくてよい。タッチパネルについては全体的に、タッチした後の反応が若干遅いという印象を受けた。また、画面サイズが3機種で一番小さいので、タッチするアイコンや文字の面積もそれに比例して小さくなり、意図したものを選択できないことがあった。例えば、画面下部に表示される「メニュー」「表示」などの文字や、インターネットのURL欄の候補選択矢印などは、押し間違いをすることが度々あった。

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見やすく、使いやすい大画面――ソフトバンクモバイルの「iPhone 3GS」



 ソフトバンクモバイルのアップル製端末「iPhone 3GS」は、08年7月発売の「iPhone 3G」の後継機。OSに「iPhone OS 3.0」を搭載し、人の名前や楽曲名を読み上げれば再生してくれる「音声コントロール」機能や、本体内のファイル、ソフトなどを横断的に検索できる「Spotlight検索」、地図と連動したコンパスなど、従来モデルにはなかった新しい機能が加わった。もちろん、従来モデルと同様、「iPod」の機能で音楽の再生も楽しめる。

ソフトバンクモバイルの「iPhone 3GS」

 メールの入力方法は「10キー」「QWERTYキー」の2種類から選べる。ソフトウェアキーボードの左下にある「地球マーク」をタッチして切り替える。「10キー」は、キーが大きくて押し間違えがほとんどなく、使いやすい。一方、「QWERTYキー」は文字数が多いためキーの面積が小さく、隣のキーを間違えて押してしまうことがあった。

メールの文字入力は10キー配列のひらがな入力が使いやすい

 Webサイトの閲覧では、画面の「拡大」「縮小」がしやすく、ページが見やすかった。指の動きで直感的に画面を操作できるアップル独自の機能「マルチタッチ」を搭載し、簡易的には2回タッチをすれば拡大・縮小ができるほか、指2本を開いたり閉じたりすれば、好みの画面サイズに変更できる。画面は拡大後、上下左右どの方向でも動かせるのも便利だ。

(左)Webサイトを表示したところ (右)複数のウィンドウを開いておいて見たいページを選べる

 さらに、スクロールがスムーズだったことも印象的だ。指をスライドした際、3機種の中でもっともイメージ通りに動いてくれた。選択項目はグレーのアミカケで表示されるので見やすい。画面の切り替わりも早く、快適。3機種中もっともすばやかった。

 ただ一つ戸惑ったのは、「履歴」「新規ページの追加」など、画面上の一部のボタンには文字が書いていないので、何を意味しているのか、初めて操作したときはわからなかった。ちなみに「HT-03A」と同様、Webサイトのページはウィンドウを小さくすれば、複数のページから見たいものを選ぶことができる。

(左)本体にロックがかかった状態の画面 (右)待ち受け画面にはカラフルなアイコンが並ぶ

 待ち受け画面には「電話」「メール」「マップ」「写真」などカラフルなアイコンが描かれている。イラストと文字がセットで表示されているので、初めてでもすぐに何のアイコンかわかる。

 「HT-03A」と同様、本体の向きを変えれば、画面の縦横の向きが切り替わる。タッチパネルタイプの液晶の画面サイズは3.5型と、3機種の中で一番大きい。大画面なので、メールもWebサイトも見やすかったものの、本体は女性の手にはちょっと大きい。縦向きに本体を持った場合、片手で操作すると本体が不安定になってしまうのですべてもう一方の手で操作した。また、背面はつるつるした素材でできているので滑りやすい。しっかりとホールドできるよう、専用ケースを付けた方がよさそうだ。

女性が持つと本体は少々大きめ

基本機能の操作感を確かめて端末を選ぶ



 3機種を使ってみてわかった最大のポイントは、「タッチパネル」だ。メールに関しては、受信したものを読むだけなら問題はないが、文章を作成するにはソフトウェアキーボードだとどうしても押し間違いが生じ、文字入力に時間がかかる。長文を書くにはやはり「E30HT」のようなハードウェアキーボードの方がよいだろう。

 キー配列については、10キーは通常の携帯電話と同じ並びなのでなじみがあり、どのモデルも使いやすかった。QWERTYキーはPCのように両手で操作するならよいが、片手では使い慣れていないので使いにくい。したがって、QWERTYキーを使うなら本体を両手で持った横向きの状態で使うとよいと感じた。

 一方、Webサイトの閲覧については、画面の拡大や縮小、スクロールなどがタッチパネルで直感的に操作できるので便利だった。特に「HT-03A」と「iPhone 3GS」に関しては、PCのように見たいページを複数のウィンドウから選択できるので使いやすかった。

基本機能の操作感を確かめて選びたい

 今回、メールとWebサイトの閲覧というPCや携帯電話でも共通する2つの機能を比べただけでも、それぞれの操作感の違いが明らかになった。こうした日常的によく使う基本機能の使い勝手を確かめて、端末固有の特徴と合わせて検討し、自分に合った一台を選ぶとよいだろう。(BCN・井上真希子)