1万円を切るSSDで遅いノートを爆速化 別次元のスピードを体感してみた

レビュー

2009/08/12 15:45

 マスタードシードから1万円を切る24GBのSSD「3FMS4D24M-WR」が発売された。ノートPCの新しいカードスロット規格「ExpressCard/34」に対応しているのが特徴だ。ExpressCardスロット接続で、HDDよりもはるかに高速なデータ転送速度を実現している。ノートPCのHDDが遅いとか、容量が足りないと悩んでいる人の福音となるか? 早速レビューしてみよう。

マスタードシードのExpressCard型SSD「3FMS4D24M-WR」

インストールは簡単 すぐにSSDとして認識される



 ExpressCardスロットに「3FMS4D24M-WR」を装着。ドライバは製造元である米Wintec Industriesのホームページからダウンロードして、インストールする。再起動すれば、SSDとして認識されている。Windows Vista上での容量は22.5GB、ファイルフォーマットはNTFSだ。

ExpressCardスロットに装着したところ。わずかにスロットから飛び出ている

 以上で作業は終了。エクスプローラ上ではHDDのアイコンで表示され、すぐに使えるようになる。HDDの換装とは比べものにならないほど手軽で、外付けHDDのようにスペースを取ることもない。

 あまり出番のないExpressCardスロットだが、これで活用できそうだ。もし、別のExpressCardを使いたくなっても大丈夫。「3FMS4D24M-WR」はミニUSB端子も備えており、なんとUSB接続にも対応している。もちろん、データ転送速度はUSBメモリと同程度になるが、フレキシブルに使えるのは便利だ。

USBケーブルで外付けしてもよし

HDDとは別次元のスピードに酔いしれる



 SSDのデータアクセス速度をベンチマークソフトで計測したところ、連続読み出しは121.4MB/秒、連続書き込みは67.39MB/秒という結果になった。ちなみに、元から搭載されているHDDを計測したところ、連続読み出しは63.21MB/秒、連続書き込みは58.21MB/秒となった。この数値もそこそこ良好なのだが、やはりSSDと比べると圧倒的に遅く感じる。

 実際に利用する際は、細かいファイルを読み書きすることが多い。そこで重要なのが、ランダムアクセス速度なのだが、こちらはHDDの3-12倍とさらに速度の差がある。重いアプリケーションも一瞬にして起動するのだ。

ベンチマークソフト「CrystalDiskMark 2.2.0」の計測結果
(ひよひよ氏作、フリーソフト)

 試しに、1MBという小さなファイルを1000個作成し、コピー速度を計測してみた。HDD→HDDは58秒、HDD→SSDは49秒となった。SSDは読み出しは速いが、書き込みはそれほどでもないので妥当なところ。HDD→HDDは1分48秒、SSD→SSDは1分10秒となった。SSD→HDDは39秒でもっとも速い。やはり、高速な読み出しが効いている。

 ここまで高速だと、普通のファイルの保管用に使うのはもったいなく感じる。動画やRAW画像などヘビーなデータやアプリケーションのインストールドライブにするといいだろう。これまで、読み込みや起動で待たされていた時間が大幅に短縮されるはずだ。

 また、HDDと違って動作音がしないのも嬉しいところ。SSDはアクセスを集中させると、時々動作が止まるプチフリ(プチフリーズ)という現象が報告されている。しかし、今回しばらく使い続けたが、プチフリは1度も起こらなかった。

 しばらくヘビーなアクセスを続けていると、ExpressCardがある側が暖かくなった気がしたので取り出した。やはり「3FMS4D24M-WR」が熱くなっていたのだ。HDDと同程度か、やや高い温度になっているようだ。夏場に使うなら、注意が必要かもしれない。

1万円以下でノートPCが生まれ変わる



 ExpressCardのSSDから起動できるノートPCなら、Windowsをインストールしてしまうのも手だ。HDDの倍以上高速なSSDにインストールするので、あっという間に終了する。もちろん、SSD上で動作するWindowsは爆発的に速い。特に高速なランダム読み込みが威力を発揮し、少々CPUが遅くても、きびきび動くだろう。24GBという本製品の容量は、OSとそこそこのアプリケーションを入れるにはぴったりだ。

 ExpressCardスロットに装着するだけで、超高速な大容量ストレージが手に入るのはうれしいところ。ExpressCardスロットに加え、ミニUSB端子も備えるデュアルインターフェースなので、使い勝手も抜群。容量を増やすのもいいし、高速ストレージとしてデータ保存用にも活躍する。HDD代わりにWindowsをインストールすれば、PCそのものが生まれ変わる。しかも、「3FMS4D24M-WR」の市場推定価格は9900円と、1万円を切るお手頃価格と言うことなし。まだSSD未体験の人に、是非とも触って欲しいスグレモノだ。(アバンギャルド・柳谷智宣)

【今回使用したPCの主なスペック】
ASUSTeK Computer「U20A」(発売日:09年8月22日)
CPU:インテル Core 2 Solo SU3500(1.4GHz)
メモリ:4GB(DDR2 SDRAM 2GB×2)
ハードディスク:320GB(5400rpm)
ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ
ディスプレイサイズ:12.1型ワイド
ディスプレイ解像度:1280×800ドット
OS:Windows Vista Home Premium(SP1)


*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。