「オリンパス・ペン E-P1」。オリンパス初のマイクロフォーサーズ規格採用モデルで、発売前から多くの注目を集めていた。その特徴は、なんといってもこれまでの一眼レフと異なり、レンズ交換式ながらコンパクトなボディのため、気軽に持ち出せてバシバシ撮影が楽しめることだ。そんな「E-P1」を海に山にと連れ出し、秘めたる魅力に迫ってみた。


いつでも持ち歩きたくなるカメラ、それが「E-P1」



 今回レビューするのは、ボディと単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8」をセットにした「オリンパス・ペン E-P1 パンケーキキット」。カラーはシルバーだ。

 手にしてみてまず最初に感じるのがその質感。ボディ全体が金属外装で覆われ、思った以上に強烈な存在感がある。なるほどそのノスタルジックな佇まいは、同社が50年前に発売した往年のハーフサイズカメラ「PEN」に通ずるところがあり、カメラ好きの心を強く刺激してくる。

 「E-P1」というと、とかくそのコンパクトなボディばかりに注目が集まりがちだが、本質はむしろ「持つよろこび」を存分に感じさせてくれる質感にあるのだと思った。ボーナス支給直後の身にこの質感は実に危険。手にした瞬間から物欲と理性のせめぎ合いが始まりそうだ。

「オリンパス・ペン E-P1 パンケーキキット」に外付けのファインダーを装着
そのフォルムは完全にコンパクトデジタルカメラだ

 本体のサイズに関してはさまざまな場所で語られているように、確かに小さい。しかし、ホールド性を犠牲にしたコンパクトさというわけではなく、持ちやすさやデザイン、存在感といった各要素を十分に考慮した結果、導き出されたコンパクト性だと感じる。小さすぎず、大きすぎずで、ホールド性のいいグリップも付く。この持ちやすさは、フォーサーズアダプターを介して大口径レンズを装着した際にも活きてくることだろう。

特別な慣れを必要としない良好な操作性



 操作性は大きなクセもなくなかなか良好だった。露出補正、ホワイトバランス、ISO感度、AFモード、連写といった、頻繁に使う機能がボタンとして割り当てられているのでこの点に関しては特別な慣れは必要ないだろう。メインダイヤルおよびサブダイヤルを回しての数値調整や再生時の画像送りの操作感覚も悪くない。メニューの階層もそれほど深くない。

 メーカーを問わず、デジタル一眼レフやハイエンドコンパクトを使った経験のある方なら、操作や機能設定で大きく戸惑うことはないだろう。また、こうした一連の設定に煩わしさを感じる人は、完全なオートモードである「i AUTO」に設定しておけば、ほぼすべての設定をカメラ側が決めてくれる。

フォーサーズアダプタを介して、フォーサーズ規格のレンズも装着することが可能
写真は「E-520」のレンズキットなどに同梱される
「ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」との組み合わせ

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 では、実際の作例を見ていこう。「E-P1」は撮像素子に有効1230万画素の4/3型(17.3×13ミリ)ハイスピードLive MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンには新開発の「TruePic V」を採用したことで、より高い解像度や自然な色再現を実現したほか、ノイズ低減処理技術により最大ISO6400までの高感度撮影に対応する。

 今回は原則としていずれの作例もRAW形式で撮影し、添付ソフトである『OLYMPUS Studio2』で現像を行った。現像時のパラメータはいずれも、露出補正:+0.1EV、シャープネス:+1、ノイズフィルタ:標準に設定している。

 まずは夏らしい青空のシーン。城址公園のお堀を撮影。やや青みが強いが、空からお堀の水面まで白トビ、黒ツブレすることなく再現できている。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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 続いては、海から街、空までをワンショットで収めてみた。この作例も青みが強いが、極端な白トビ、黒ツブレは見あたらず、美しい青空が再現できている。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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 ボケを意識して古木の幹を覆う苔を撮影。さすがに大型4/3型Live MOSセンサーを積むだけあり、一般的なコンデジにはないボケ味を味わうことができる。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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 漁港そばの食堂にて海鮮丼を食す。ISO感度AUTOに設定して使用していたため、薄暗い店内ではISO感度は640まで上がったが、十分許容できる範囲のノイズレベルに抑えられている。料理の色味も誇張されたものではなく自然だ。手ブレ補正の効きも悪くない。そのコンパクトなボディと合いまり、こうした店内での料理撮影では特に大きな威力を発揮してくれる。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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 思い切って長時間露光にも挑戦してみた。ISO100、絞りf6.3、シャッタースピード50秒のマニュアル露光。画面左側の街路灯の明るさに比べ、右側の海岸側はほぼ真っ暗闇という明暗差の激しいシチュエーションだが、明暗どちらにも大きく転ぶこともなく、しっかりと階調が表現されている。

※ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6(フォーサーズアダプター使用)
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 お次は、シーンモードの中にパノラマモードがあったので試してみた。ただしこのパノラマモード、カメラ内部でパノラマ処理を行ってくれるわけではない。このモードで撮影したカットに自動的に連番を割り振ってくれるのみで、パノラマ化は添付の「OLYMPUS Studio2」で行う。とはいえ操作は至ってカンタンなので積極的に活用したい。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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 そして、一日の終わりに、美しい夕日が現れたのでシーンモード[夕日]をセレクトして撮影。その雲と形と相まって、なかなか幻想的なカットに仕上がった。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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 こちらは同じ風景を通常モードで撮影したもの。

※M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F2.8使用
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お手軽スナップから本気の一枚まで 幅広いニーズに応えてくれる一台



 今回の撮影では、「i AUTO」を用いた完全オートによるお手軽撮影と、シーンモードを用いた作画意図を強く反映させたこだわり撮影、そしてマニュアルモードでの長時間露光撮影と、幅広い撮影表現を試してみたが、いずれもその期待を裏切ることなくイメージ通りのカットに仕上がった。

 また、小型とされるエントリークラスの一眼レフよりもさらに一回り小さいサイズは、使用フィールドを大きく広げてくれる。街中のスナップはもちろん、レストランや結婚式、子どもの発表会など、これまで一眼レフを出すのがちょっとはばかられたシチュエーションで、撮影のハードルを大きく下げてくれる。

 こういった特性は、ややサイズは異なるものの、パナソニックの「LUMIX LX3」やリコーの「GX200」、キヤノン「Powershot G10」といったハイエンドコンパクトに近い。それでいて、本気の撮影にも応えてくれたり、用途に応じた交換レンズ群を駆使することができるのだから頼もしい。もちろんレンズの駆使には相応の散財を覚悟しなければならないが――。

 一通りの撮影機能を試してみたが「E-P1」は、カメラに不慣れな初心者はもちろん、多彩な写真表現を楽しみたい中-上級者にとっても十分に撮る楽しみを堪能させてくれるカメラだと言える。「E-P1」を手に入れたその瞬間から、街歩きは一つの冒険になる。(ITジャーナリスト・市川昭彦) adpds_js('http://ds.advg.jp/adpds_deliver', 'adpds_site=bcnranking&adpds_frame=waku_111362');