「iPhone」発売から1年、まだまだ売れてる「iPhone 3G」と好調なスタートの「3GS」

特集

2009/07/15 17:45

 7月11日、ソフトバンクモバイルが「iPhone 3G」を発売してちょうど1年がたった。発売当初は爆発的な盛り上がりを見せた「iPhone 3G」だが、現在の売れ行きはどうなのだろう。新モデル「iPhone 3GS」が発売されたこともあり、やや落ち着いているかと思いきや、いまだ根強い人気があるようだ。「BCNランキング」で「iPhone 3G」と「同 3GS」の発売から現在までの売れ行きをまとめてみた。


発売当初はまさに「iPhoneフィーバー」 1年前の熱狂を振り返る



 「iPhone 3G」はいわずもがな、ソフトバンクモバイルが販売しているアップル製の端末だ。携帯電話としては非常に大型の3.5型液晶と、マルチタッチでほぼ全ての操作が行える独特な操作性が特徴。そして、その特性を利用した快適なフルブラウジング機能などに加え、アップルによるデザインのかっこよさもあいまって、従来の携帯電話の概念を超えた製品として大きな話題を呼んだ。

 日本でも発売当初は各店舗に行列ができ、その後も1か月ほどは品薄状態が続くなど、まさに「iPhoneフィーバー」と呼ぶにふさわしい熱狂を巻き起こした。「BCNランキング」による、発売直後2日間の携帯電話販売台数シェアでは、8GB/16GBモデル合わせて44.9%という驚異的なシェアを獲得したことからも、当時の熱狂ぶりがわかる。

ビックカメラでのiPhone 3G発売イベントの様子

 ここまでなら人気商品としてはよく聞く話。その後はそれなりに売れつつも収束していくというのがよくあるパターンだろう。しかし、「iPhone 3G」の場合、そうはならなかった。08年7月の発売から、直近の09年6月までの販売台数の推移を見てみると、独特の動きを見ることができる。

年明けからまた盛り上がりを見せた秘密はどこに?




 「iPhone 3G」は発売当初の08年7月に、ソフトバンクモバイルの端末としてぶっちぎりのトップシェアを獲得したが、その後はゆるやかにシェアを落とし、年末頃から8GB/16GB両モデルともおおむね横ばいの低空飛行を続けていた。しかし、09年3月に再びシェアを大きく伸ばし、09年5月には8GBモデルがソフトバンク端末の中で販売台数シェア2位、16GBモデルが3位にランクインするなど、ここにきてまた売り上げが回復している。これは、ソフトバンクモバイルが2月27日から開始した「iPhone for everybody キャンペーン」の影響だ。

 新規契約で「iPhone 3G」の8GBモデルが実質0円(通常2万3040円)、16GBモデルを実質1万1520円(通常3万4560円)で購入できるというもので、それまで最大で月額5985円だったパケット定額料金も同月額4410円に引き下げた。


 従来は「iPhone 3G」を購入した場合、月々の支払いとしてホワイトプランの基本料980円と「S!ベーシックパック」の月額利用料315円に加え、パケット定額フルで最大5985円と、計7280円が必要だった。ここに毎月の端末代金として8GBで960円、16GBで1440円が加わるので、ユーザーは何もしなくても毎月およそ8000円を支払う必要があった。

 しかし、「iPhone for everybody キャンペーン」では、同様の条件での月々の支払額が8GBで5705円、16GBで6185円まで下がった。いままで月々の負担が理由で購入に二の足を踏んでいた人にとって、これはかなり魅力的に映ったはずだ。実際、ソフトバンクがこのキャンペーンを当初の終了予定だった5月30日から9月30日まで延長したことからも、好評なことがうかがえる。

 しかし、いくら安くなったとはいえ、ほぼ1年前に発売されたいわば旧モデルがそれなりに売れるには、やはり価格以外の要素があるはずだ。「iPhone」の場合、発売から1年が経過した現在でも製品としての魅力を保っていられる仕掛けの1つが、アップルが運営するオンラインアプリストア「App Store」だといえる。
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App Store

 端末発売と同時に開始されたこのサービスは、現在のアプリ数が6万5000を超え、7月14日にはダウンロード数15億本を達成。「iPhone」を自分好みに仕上げるため、常に新しいアプリを探して「App Store」をチェックするというユーザーも少なくないはずだ。

09年4月には10億ダウンロード記念でプレゼントキャンペーンも

 端末自体は発売から1年経っても、「App Store」をのぞけば常に最新のアプリが並んでおり、アプリを入れ替えれば常に必要な機能を「iPhone」に付加することができる。また、アプリケーション自体も、バージョンアップによる機能のブラッシュアップが常に行われている状態だ。そういった古さを感じさせない工夫が、価格のお得感と相まって、ユーザーの購入意欲をくすぐったのだろう。さらに言うなら「App Store」は「iTunes Store」と連携しており、既存の「iPod」ユーザーが「iPhone」に移行しやすい仕組みにもなっている。

売れ行き好調の新型「iPhone 3GS」 でも「3G」も売れてます



 そして、6月26日には「iPhone 3G」の後継機「iPhone 3GS」が登場した。こちらの売れ行きも好調だ。

iPhone 3GS

 発売日を含む09年6月22日から7月12日まで、ソフトバンクモバイルの携帯電話の週次販売台数シェア推移を見てみると、発売第1週目となる6月22日-28日の期間では、16GB/32GBモデル合わせて55.4%と、「iPhone 3GS」が圧倒的なシェアを獲得している。キャリアを限定しての集計とはいえ、スタートダッシュの勢いは昨年の「iPhone 3G」に勝るとも劣らない。

 さらに、ソフトバンクモバイル端末に限った6月の月間ランキングでも、「iPhone 3GS」の32GBモデルが1位を獲得。16GBモデルも3位に入った。また「iPhone 3G」の16GBモデルが4位、8GBモデルも7位と、「iPhone ファミリー」がソフトバンクモバイルの端末の中で一大勢力を築き上げつつある。

 今後、現在のような1年ごとのペースで「iPhone」のラインアップが拡充していけば、携帯オーディオ市場では「iPodファミリー」が中心になっているように、ソフトバンクの携帯といえば「iPhoneファミリー」と言われるようになるのかもしれない。(BCN・山田五大)