BDプレーヤー市場に勢い、ソニーなど各社5万円を切る普及機を投入

特集

2009/05/08 10:33

 BDプレーヤー市場が活性化してきた。08年4月と比べると、09年3月の販売台数はおよそ40倍と盛り上がりを見せている。08年12月にソニーが発売した「BDP-S350」が人気を集めたほか、この春、シャープパナソニックパイオニアも3-5万円程度のモデルを投入し始めた。「BCNランキング」でBDプレーヤーの動きを探った。


ソニーのエントリーモデル「BDP-S350」が火付け役



BDプレーヤー シリーズ別販売台数シェア トップ5
順位 メーカー シリーズ 発売月 販売台数
シェア(%)
1 ソニー BDP-S350 2008/12 39.8
2 アイ・テック BDX-701 2009/01 24.3
3 パナソニック DMP-BV100 2009/03 15.9
4 シャープ BD-HP21 2009/03 14.0
5 パイオニア BDP-LX71 2008/11 2.5
※カラーバリエーションは合算、オレンジ色の製品はポータブルBDプレーヤー
BCNランキング」09年3月 月次 <最大パネル>
 BDプレーヤーの市場拡大のきっかけを作ったのはソニー。08年12月に発売したエントリーモデル「BDP-S350」が好調で、発売直後にカラーバリエーションを合算したシリーズ別販売台数シェアで1位を獲得。09年3月でも1位を維持し、シェア39.8%とおよそ4割を占めている。市場推定価格は3万7400円。ラインアップの少ない5万円を切る低価格モデルを、競合他社よりも早く発売したことが要因だ。

ソニーの「BDP-S350」

 3月のシリーズ別販売台数シェアで2位につけたのは、今年1月発売のアイ・テックの「BDX-701」で24.3%。市場推定価格は2万1500円。音声圧縮技術「Dolby TrueHD」「DTS-HD」に対応し、臨場感のある音を再生できる。また、3位は、パナソニックのポータブルBDプレーヤー「DMP-BV100」で15.9%だった。8.9V型ワイド液晶を搭載し、BDのほか地上デジタル放送も楽しめる。発売は3月で、市場推定価格は8万8300円。

(左から)アイ・テックの「BDX-701」、パナソニックの「DMP-BV100」

 普及機の登場に伴い、メーカー別の販売台数シェアも大きく変化している。08年4月以降のメーカー別シェアの推移を見ると、以前はパイオニアとデノンの2社が独占していたが、08年9月からソニーが徐々にシェアを伸ばし、08年11月、2社を抜いて首位に立った。09年3月、ピーク時と比べてソニーはシェアを落としたものの40.1%を獲得して1位をキープ。次いで、アイ・テックが2位で24.3%、パナソニックが16.1%で3位にぞれぞれ浮上した。


08年12月以降台数・金額ともに増加、平均単価は4万2500円



 税別平均単価については、製品のラインアップが少なかった08年4月は19万1000円と高価だったが、この1年で急激に下がり、直近の09年3月は4万2500円と5万円前後まで落ち着いてきた。しかし、DVDプレーヤーの平均単価1万1400円と比べると、購入するには少々ためらわれてしまうかもしれない。ただ、録画もできるBDレコーダーの平均単価は8万8500円なので、市販のBDソフトを観るだけなら、検討する余地はあるだろう。

(左から)パナソニックの「DMP-BD60」、パイオニアの「BDP-120」

 ちなみに、レコーダー全体でのBDレコーダーの構成比は過半数を占めており、3月は台数で59.4%、金額で74.3%だった。一方、プレーヤー全体におけるBDプレーヤーの構成比は台数が2.2%、金額で7.8%といずれもまだ1割にも満たない状態だ。しかし、4月下旬にはパナソニックが「DMP-BD60」を発売したのに加え、5月下旬にはパイオニアが「BDP-320」「BDP-120」を発売する予定。こうした各社のエントリーモデルが出揃う初夏には選択肢が増え、市場はさらに拡大しそうだ。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。

*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。