「Eee PC」の最上位モデル「901-X」の実力は? その使い勝手を確かめた

レビュー

2008/10/08 14:49

 低価格で小型・軽量のミニノートPC。その火付け役、ASUSTeK Computer(ASUS)が販売するのが「Eee PC」。なかでも、「Eee PC 901-X」は、8.9インチのワイド液晶をディスプレイ、インテルの最新CPU「Atom(アトム)」を搭載した最上位モデルだ。その使い勝手はどうなのか、今回、触って確かめてみた。


●1.1kgは持ってみると結構重い、ディスプレイは横長だが見やすくキレイ

 Eee PC 901-Xは、CPUに動作周波数が1.6GHzのAtom、メモリは1GBを搭載。記憶媒体には、容量が12GBのフラッシュメモリを使ったSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を採用している。ディスプレイは8.9型ワイド液晶で、バッテリーの駆動時間は約8.3時間だ。


 サイズは幅22.5×高さ22.7×奥行き175.5mm、バッテリーを装着した重さは約1.1kg。初代の「Eee PC 4G-X」に比べて、ディスプレイを大型化したほか、メモリ容量を増やしたり、バッテリーの駆動を伸ばすなどの機能面の強化が行われている。


 Eee PC 901-Xを持って最初に感じたのは「思いのほか重い」ということだ。重さが約1.1kgのEee PC 901-Xは、長時間の使用を想定して、大きめのバッテリーを搭載している。実際にバッテリーを外して持ってみると結構重い。


 ミニノートPCの特長の1つは「軽量」だが、一口に「軽い」といっても、そのイメージは人によって異なる。購入を考えている人は店頭などで、事前に重さを実感しておいたほうがよいかもしれない。

 次に、本体を開いて立ち上げみた。スクウェア型の液晶ディスプレイを使い慣れている筆者には、8ワイド液晶の画面は大きく横長な印象を受けた。ディスプレイの解像度は1024×600ドットで、画面は意外にキレイだと感じた。


 キーボードは「84キー日本語キーボード」を採用しているが、キー1つひとつは小さい。そのため、手の大きな筆者には打ちづらく、入力ミスをすることもしばしばあった。しかし、使っていくうちに慣れてきたことで、スムーズにタイピングできるようになった。


 キーボードよりも使いにくいと感じたのがタッチパッド。特に左右のクリックボタンだ。クリック感がないため、操作に慣れるのに苦労した。例えば、ブラウザの立ち上げでは上手く動かすことができず、何回もクリックしてしまい、ブラウザが複数起動してしまうことがあった。気になる人であれば付属のUSBマウスを使った方がいいだろう。

●ネット端末では十分な性能、最大の魅力は8.3時間の長時間駆動

 ミニノートPCは低価格を実現するために機能が絞りこまれている。そのため、インターネット閲覧やメールのチェック端末としての性格が強い。また、外に持ち運んで使うことを想定している。

 そこで、Eee PC 901-Xでインターネットに接続し、ネット端末としての使い勝手を確かめた。まずは一般的なウェブサイトの閲覧。「BCNランキング」にアクセスしたが、画面が大きいのでサイトが見やすかった。ただ、横長の画面のため、サイトの横表示は問題がないが、上下を見るにはブラウザをスクロールしなければならない。この点は不満が残った。


 動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」の動画も視聴してみた。Atomの1.6GHz、1GBのメモリを搭載するEee PC 901-Xは、ミニノートPCのなかでは処理性能が高いため、動画のコマ落ちなどがなく、ストレスなく見ることができた。

 屋外でも使ってみた。結果は曇りの日であれば何とか画面を確認できるが、晴天では太陽光で画面が飛んでしまい操作がしづらかった。Eee PC 901-Xは、日本エイサーの「Aspire one」のように光の乱反射を抑える技術をディスプレイに導入していない。そのため、公園などではなく、カフェやビル内といった場所での使用が向いているのだろう。


 大型画面や高速処理が特長のEee PC 901-Xだが、最大の魅力は約8.3時間も連続使用できる長時間駆動だ。独自の省エネ技術をはじめ、消費電力の少ないSDDの採用などで実現している。今回、朝の9時から夕方5時までの8時間、充電することなく動かしてみたが余裕を持って使うことができた。

 一方で注意したいのは記憶媒体の容量だ。SDDの容量が12GBと少ないことから、デジタルカメラなどのデータ保存や、ソフトを多くインストールするには物足りない。データ保存では外部メモリや外付けHDDなどを用意したり、ソフトの取り込みの場合は必要なものだけを入れるといった工夫が必要だ。

 Eee PC 901-Xの実勢価格は約6万円。使い勝手で長所・短所はあるが、価格の割には十分な性能を持っており、サブPCやネット端末と考えれば十分使えるというのが感想だ。こうした用途を考えていて、処理速度と長時間の使用を求める人には検討する価値のあるミニノートPCといえるだろう。