ボーカロイド市場、「初音ミク」の対抗馬登場で激化

特集

2008/09/01 16:01

 ボーカロイド市場が盛り上がっている。プロの歌手のように歌を歌うソフトウェアのジャンルで、これまでは札幌市のクリプトン・フューチャー・メディア(伊藤博之社長)がトップシェアを占めていた。だが、ここへきて大阪市のインターネット(村上昇社長)が、ボーカロイド市場に本格参入。“北”と“西”の一大対決が激しさを増している。

 ボーカロイドはヤマハが開発した音声合成エンジンで、クリプトンは同エンジンを組み込んだ「初音ミク」の大ヒットで一躍有名になった。今年7月31日にインターネットがアーティストのGacktさんの声をベースに開発した「がくっぽいど」を投入。クリプトンは初音ミクの姉妹品である鏡音リン・レンの新バージョン「鏡音リン・レン ACT.2」を7月18日に発売。シェア争いが本格化した。

 BCNランキングによる7月31日?8月21日のシェアは、インターネットが優勢だ。「がくっぽいど」投入直後ということもあり、BCNランキング「サウンド関連ソフト」部門に占めるインターネットの販売本数シェアは20.5%。うち「がくっぽいど」は同8.2%を占める。ボーカロイドに必要な同社製の音楽編集ソフトなどの販売拡大にも貢献している。

 対するクリプトンの同シェアは13.3%で、同期間に限っていえば、「がくっぽいど」に押され気味。だが、同社では年内にミクやリン・レンに続くボーカロイド新製品を投入する予定で、着々と反撃の準備を進めている。新製品の相次ぐ投入によって、楽曲の発表の場として活用されている動画投稿サイト「ニコニコ動画」でも盛り上がりをみせる。音源ソフトや編集ソフトなどサウンド関連製品の販売増に結びつくなど、さらなる波及効果が期待される。


週刊BCN 2008年9月1日付 Vol.1249より転載