リコーのコンパクトデジタルカメラ「GX200」は、マニュアルモードはじめ、自由度の高い撮影モードを搭載したハイエンド機。エントリークラスのコンデジとデジタル一眼レフの中間に位置するカメラだ。どんな撮影が楽しめるのか、自由な表現世界を体感してみた。


●サイズはコンデジ、機能は一眼レフカメラ!? 「GX200」ってこんなカメラ 

 「GX200」は、リコーが07年4月に発売した「Caplio(キャプリオ) GX100」の後継機。「GX100」は、35mmフィルムカメラ換算で(以下同)24-72mm相当という、当時のコンパクトデジカメでは唯一無二の超広角ズームを搭載していた。また、サイズこそ一般的なコンデジと同程度だが、デジタル一眼レフと同じようにマニュアルモードや絞り優先AEなどの応用撮影モードを備えたコンパクトデジカメとして話題を呼んだ。


 この「GX100」をベースに各部をブラッシュアップさせたのが「GX200」だ。撮像素子を「GX100」の1/1.75型1001万画素CCDから、1/1.7型1210万画素CCDにグレードアップ。「GR DigitalII」で好評だったデジタル水準器も搭載する。さらに、ISO感度・AF/MF切替などの機能を一発で呼び出せるファンクションボタンを2つに増やし、使用頻度の高い撮影設定などを保存できるマイセッティングも3つに増やしてカスタマイズの自由度を広げた。また、撮影時のバッファメモリも増やし、RAWモードで撮影する際に起きやすいファイル保存の「待ち」が大幅に短縮された。

●ボケ味も楽しみながら、RAWモードでリズムよく撮れる

 撮像撮像素子が一般的なコンデジが搭載する1/2.5型CCDよりも少し大きめの1/1.7型であるため、主題のみにピントを合わせ、それ以外の部分をボカすといったボケ味を生かした写真が撮りやすい。また、1画素あたりの面積が大きく集光効率が高いため、高感度モードで撮影してもノイズの少ない画像を得ることができる。

 「24mmスタート」というズームレンズも、現行の一般的なコンデジにはないポイント。超広角域からカバーするため、スナップ写真から風景写真まで幅広い撮影に対応できる。また建物撮影などで、レンズの歪みを意識的に利用した作画もでき、表現の可能性がグッと広がる。古刹名寺めぐりや古城めぐりなど観光地で大きな武器となってくれるに違いない。

 RAWモード撮影ができるのも魅力の一つ。RAWとは「生」という意味で、カメラ内部で何の加工もしていないデータを指す。デジカメは通常JPEGなどの一般的な画像ファイルに加工して出力するのが普通だ。一方、RAWファイルはPCなどで閲覧するためにはJPEGなどに一旦変換=現像しなければならない。しかし、例えばJPEGファイルは画像の明るさや色合いなどを調整するすると画像が劣化しやすい。これに対してRAWファイルは、そうした画像の編集を行っても劣化しにくいというメリットがある。

 このため、一眼レフユーザーは、画像の編集を前提にRAWモードで撮影する人も多く、ほとんどの機種がRAWモードを搭載している。ただし、一般的にRAWファイルは容量が大きくなるので、メモリに保存する際にも時間がかかり、撮影中にシャッターが切れない待ち時間が発生する場合がある。「GX100」では、長い待ち時間が発生することも多かったが、「GX200」ではバッファメモリを増やしたことで、この時間が大幅に短縮された。RAWモードでもリズムよく撮影できる。

●多彩なストロボワークも楽しめる

 多彩で自由なストロボ撮影ができるのも「GX200」の特徴。シーンモード主体のコンデジでは、カメラ側が露出を自動的に判断しストロボのON/OFFと発光量を決めることが多い。「GX200」はそうした全自動モードのほかに、日中シンクロやスローシンクロ、強制発光といった高度なストロボモードを備える。例えば逆光の時でも被写体が黒く潰れないようにストロボを使ったり、暗めの室内の隅々にまで光を行き届かせてみたり、さらには木の葉に強制的にストロボ光を当てることでより強い緑色を強調させたりなど、一般的なコンデジではできないな多彩なストロボ撮影が楽しめる。

 また、コンデジには珍しくホットシューも備えており、クリップオンのタイプの外付けストロボを装着して、より表現の幅を広げることもできる。

 持ちやすさも大きなポイントだ。ボディ右側に厚みのあるラバーグリップがあり、これが思った以上に握りやすい。コンデジというよりは小型の一眼レフを握っているかのような気分にさせてくれる。そのため、手ブレなども防ぎやすくカメラを構えることが楽しくなってくる。



___page___
●表現の幅がここまで広がる「GX200」

 それでは、「GX200」で撮影したサンプルをいくつかご紹介しよう。

◆長時間露光による夜景撮影……隅田川河畔にて


[画像をクリックすると拡大表示します]

 オプションのワイドコンバージョンレンズ DW-6を使用し、ISO感度64、ホワイトバランスオート、絞りF6.5、シャッタースピード15秒のマニュアルモードで長時間露光を試してみた。「GX200」は絞り羽根があるため、街路灯に放射状の美しい光の筋がついて、夜の雰囲気を盛り上げてくれる。一般的なコンデジでも夜景撮影用のシーンモードを備える場合が多いが、ここまで極端な長時間露光というのはまず不可能だ。まさに「GX200」ならではの撮影表現だと言える。

◆スローシャッターを活かして残像効果を狙う……浅草寺・雷門にて


[画像をクリックすると拡大表示します]

 マニュアルモードでF9.1まで絞り込み、シャッタースピード2秒で撮影。雷門を行き交う人々の動き意図的にブレさせてみた。さらにシャッタースピードを遅くすれば残像はもっと薄くなりより幻想的になるだろう。テクニック自体は上記の長時間露光と同じだが、シャッタースピードはこちらのほうがやや速い。

◆絞りを開けた効果的なボケ表現……亀戸天神にて


[画像をクリックすると拡大表示します]

 テレコンバージョンレンズTC-1を装着し、絞り優先AEで可能な限り絞りを開けて絵馬を撮影した。手前の絵馬のみにピントが合い、それ以外はボケて、より主題をはっきりさせることができた。逆に奥までしっかりピントをあわせたいときは、絞り込めばいい。

◆日中シンクロを用いたストロボ表現……不忍池にて


[画像をクリックすると拡大表示します]

 これは少し遊んでみた。空に露出を合わせてAEロックして、ストロボを強制発光した。一般的なコンデジでストロボを焚いた場合、手前の葉のみに強く光が当たり背景は真っ黒に潰れてしまうが、葉と背景の明るさを同じ程度にすることができた。こうしてある一定の場所に露出を合わせてロックできるのも「GX200」ならではだ。

●こんな人にオススメ

 コンデジにはない多彩な撮影表現を可能とする「GX200」。もはやその表現力はコンデジの域を超え、デジタル一眼の域に迫る。それでいてプログラムAEやシーンモードで撮ってもクオリティの高い写真が簡単に得られるため、ビギナーが使っても十分に楽しめるカメラだ。

 これまでフルオートのコンデジを使い続けてきてそろそろステップアップを考えている人や写真を真剣に勉強してみたいといった人、デジタル一眼のサブ機を欲している人などにとっては最適なカメラだと言える。永らく銀塩カメラを使い続けてきたような人が使っても、そのデザインも含めて面白いカメラではないだろうか。(フリーライター・市川昭彦)