デジタル一眼大激戦、ニコンが08年上半期トップ獲得もその差わずか0.1%

特集

2008/07/24 16:50

 06年に松下電器産業やソニーが新規参入し、活性化しているデジタル一眼レフカメラ市場。最近では初心者向けモデルも充実しはじめ、ユーザーの裾野が広がってきた。注目度の高いこの市場で、08年上期(1-6月)の販売台数シェアトップを獲得したメーカーはニコンだった。

●0.1ポイントの僅差で08年前半戦はニコンに軍配

 08年1-6月の上半期、デジタル一眼レフカメラのメーカー別販売台数シェアは、ニコンが40.7%で1位。40.6%の2位キヤノンを僅差でかわした。07年の年間メーカー別販売台数シェアでは、ニコンがキヤノンと3.8%差で首位に輝いたが、首位争いは激しさを増している。


 08年の上半期の3位はソニーで8.6%。10%台までもう一息、というところだ。その後を5.3%でオリンパス、4.4%でPENTAXが追っている。

●女性から団塊世代まで、あらゆる層をカバーしたニコンの戦略

 このところニコンが強い背景には、どのような戦略があったのだろうか。08年上半期の機種別販売台数シェアを見るとその一端がうかがえる。実は、1位は14.5%でキヤノンの「EOS Kiss X2」、2位も14.4%で「EOS KissデジタルX」と、いずれもキヤノンのカメラが獲得している。しかし、3位に13.1%でニコンの中級機「D80」がランクイン。9.9%で4位のキヤノン「EOS 40D」をはさんで、5位に9.2%で入門機「D40」、6位に9.1%で入門機「D60」、7位に4.4%で中級機「D300」、9位に3.8%で入門機「D40x」と、上位10機種中に5機種もニコンのカメラが並んでいる。


 つまり、初心者向けモデルから中・上級者向けモデルまで展開するきめ細かなラインアップに強さの秘訣がありそうだ。さらに、それぞれがまんべんなく支持されていることで、ニコンがトップシェアを維持していると言える。

 ニコンイメージングジャパンの梅林富士夫本部長は、最近のデジタル一眼レフカメラ市場について、「これまで一眼レフ、というと難しいというイメージがあったが、最近では初心者、さらに女性ユーザーが増加している」と説明。さらに、団塊世代でも旅行に持参するカメラにデジタル一眼レフカメラを選択する人が増えており、「(女性から団塊の世代と)ユーザー層が厚くなっており、(ニコンでは)各層に合わせて製品を投入した結果、高いシェアを獲得できたのでは」と分析する。

 ラインアップの妙で強みを発揮するニコンだが、7月25日にはフルサイズセンサーを搭載するFXフォーマットの中・上級モデル「D700」を発売する。06年11月に発売したプロ向けの「D3」を小型・軽量化して価格を下げたモデルだが、これでラインアップのさらなる充実を図る。今年は9月に、ドイツのケルンで2年に1度開催される世界最大の写真関連見本市「フォトキナ」が控えている。各社ともまだ新製品を発表するものと見られており、デジタル一眼の熱い戦いも、しばらく続きそうだ。(BCN・山下彰子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで121品目を対象としています。