ブーム来るか? PC用地デジチューナー、売れているのはどれ?

特集

2008/06/11 16:20

 手持ちのPCに増設して地上デジタル放送(地デジ)の視聴を可能にするPC用地上デジタルチューナー。4月7日に販売が解禁された。これを受け、5月中旬には、各メーカーが新製品を投入。量販店でも特設コーナーを設けるなど賑わいを見せている。そこで、実際に売れているのはどの製品なのか、5月の販売動向を「BCNランキング」で追った。

●初心者には少し敷居が高い、PCでの地デジ視聴

 PCで地上デジタル放送を視聴するには、これまで、地上デジタルチューナーを搭載したメーカー製PCを手に入れる必要があった。手持ちのPCに地デジチューナーボードを増設しようにも、デジタル放送推進協会(Dpa)が販売を規制していたため、製品が売られていなかったからだ。番組の複製などコンテンツの不正利用を防ぐためというのがその理由だった。しかし、地デジの普及を一層進めたいというDpaの思惑もあり、4月7日、販売を解禁した。

 地デジチューナーは、ワンセグチューナーとは違い、ただ単にパーツをPCに組み込むだけで地デジ放送の視聴が可能になるというわけではない。厳密には、デジタル映像の保護技術HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection system)に対応した液晶ディスプレイや、コンテンツの著作権保護技術のひとつCOPP(Certified Output Protection Protocol)対応のグラフィックチップなど、著作権保護に対応した周辺機器をそろえなければならない。さらに、OSは、Windows VistaかWindows XP(Service Pack 2以降)で、地デジ放送受信できるUHFアンテナも必要になる。

 PCの初心者には少し敷居が高いかもしれないが、自作PC派にとって念願の「地上デジタル放送の視聴」が可能になる地デジチューナーへの期待は大きい。各メーカーともユーザーの期待に応えるように、解禁して間もない4月後半には製品発表を行い、5月中旬には店頭販売を開始した。新たな市場としても注目が集まる地デジチューナーの売れ筋動向を機種別とメーカー別でみてみよう。

●外付けUSB接続タイプが1位獲得


 5月の機種別ランキングで1位を獲得したのは、販売台数シェア32.4%のバッファロー「DT-H30/U2」。USB接続の外付けタイプチューナーで、簡単にPCと接続できるうえノートPCにも使えるのが特徴。初心者でも地デジを楽しめる使い易さが人気を集めた。

 2位は同じくバッファローの製品で、デスクトップPCのPCIスロットに接続するタイプの「DT-H50/PCI」。シェアは24.8%だった。BDメディアへのHD画質ムーブに初めて対応した製品だ。バッファローの両製品は、PCへの負荷を少なくするトランスコード機能を搭載しているのが特徴。これは、PC環境に合わせてフルHDの映像をDVD相当の解像度に圧縮する機能で、少し古いロースペックPCなど、高性能なPCでなくても地上デジタル放送の視聴や録画ができる。


 次いで、アイ・オー・データ機器(I・Oデータ)の「GV-MVP/HS」が22%で3位を獲得。デスクトップPCのPCI-Express1スロットに唯一対応する製品。基盤長125mmとコンパクトながら、B-CASカードスロットが他のスロットを占有しない。BDへのHD/SD解像度ムーブは、アップデートでの対応予定だ。

 4位、6位、7位にはピクセラの製品がランクイン。いずれもデスクトップPCのPCIスロットに接続するタイプだ。12.9%で4位の「PIX-DT012-PP0」は、地上デジタル放送に加え、BS、110度CSの3波に対応する。1.1%で6位の「PIX-DT050-PP0」は、地上デジタル放送だけしか受信できない。0.6%で7位の「PIX-DA022-PP0」は、5月23日に発売したばかりの地上デジタル/アナログの両放送を視聴・録画できるモデルだ。


 エスケイネットの「SK-MTVHDUS」はシェア6.0%で5位。USB接続の外付けチューナータイプだ。幅98×高さ70×厚さ15mm、重さ80gという手のひらに載るコンパクトサイズで、ノートPCにピッタリ。また、家庭用TVリモコンと同じフルリモコンを標準で付属する。

 


●スタートダッシュを決めたバッファローが過半数のシェア

 それでは5月のメーカー別販売台数シェアランキングをみてみよう。機種別で1・2位を独占したバッファローが57.2%を獲得して1位。2位はI・Oデータで22%。PCIスロット対応の新製品の発売が6月末に控えていることもあり、今後の伸びが期待できそうだ。


 3位は14.6%でピクセラ。メーカー製PCの内蔵地デジチューナーのOEM供給で約5割のシェアを占めるという同社は、性能や安定性で高い実績を持つ。すでに多くのメーカーPCで実現している2番組同時録画やBDへのムーブに関しても、製品化する技術は持っていることもあり、こうした多機能製品をいつ発売するかに注目が集まる。

 4月に解禁されたばかりということもあり、PC用の地デジチューナーは、まだラインアップが少ない。さらにコンテンツのムーブをはじめ、機能的にこれからの製品も多い。そのため、都内の大手量販店では「一部では、次の製品投入を見越した買い控えが発生している」という声も聞かれた。「ダビング10」の実施が延期されたこともあり、勢いをそがれた感もあるが、「PCで地デジ」を計画している自作派は少なからずいるだろう。PC用の地デジチューナー市場の本格的な立ち上がりはこれからだ。(BCN・津江昭宏)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで119品目を対象としています。

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