シャープとソニー、大型液晶パネルの生産販売で新会社設立、堺新工場拠点に

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2008/02/27 14:03

 シャープ(片山幹雄社長)とソニー(中鉢良治社長)は2月26日、テレビ用の大型液晶パネル・モジュールの生産と販売を行う新会社を共同で設立することに合意したと発表した。現在、シャープが大阪・堺市に建設している第10世代液晶パネルの生産工場にソニーも出資し新会社として分社化。ソニーは出資比率に応じたパネルの供給を受ける。

 会社の名称や資本金は未定だが、シャープが66%、ソニーが34%の比率で出資する。投資額についても同じ割合で負担する。09年4月に設立し、09年度中の稼動をめざす。世界初の第10世代マザーガラスによる液晶パネル生産工場になる見込みで、生産能力は当初は月産3万6000枚で、7万2000枚まで拡大する計画。

●投資負担軽減、外販先の確保、パネル安定調達などで双方の思惑が一致

 堺市の新工場について総投資額を3800億円としていたシャープだが、今回の両社の出資総額について片山社長は、「土地代を除いて液晶モジュール工場を加えた額」で今後協議していくとした。さらに新会社設立の目的については、ソニーが34%を負担することで投資負担が軽減できることに加え「液晶テレビで世界のトップブランドメーカーのソニーと組むことで工場の安定操業ができる」(同)ためと説明。

 また「ソニーと協力することで品質面や画質面、コスト面で向上するだけでなく関連部材の技術革新ができ、日本の液晶産業そのものの強化につながる」と話し、「液晶パネルで名実共に世界ナンバー1をめざす上で大きな柱になる」と期待を語った。同社は07年末に東芝とパネル供給の契約を行っており、ソニーは東芝に続く大きな外販先となる。東芝には新工場でも出資額である「3分の2の範囲内で供給する」(同)としている。

 一方ソニーは、04年に韓国のサムスン電子と液晶パネルを製造する合弁会社「S-LCD」を設立しているが、「液晶テレビの数量の拡大と共に大型化と価格競争力の強化に向けてもう1つの基幹供給源を確保したかった」(中鉢社長)と説明。最新の第10世代のマザーガラスを使用した液晶パネル工場を世界で初めて稼動させるシャープを「戦略的なパートナー」として選択したと明らかにした。

 08年には全世界で液晶テレビが1億台に達するとみる同社は、これをテコに15-20%のマーケットシェアをめざす。また、第7、第8世代マザーガラスで液晶パネルを生産しているS-LCDとは、今回のシャープとの提携後も「変更なく共同運営を続ける」(同)と話した。