NHKと三菱電機、TVや映画の再撮映像からも出所を特定できる技術を開発

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2007/12/06 10:02

 NHK(橋本元一会長)と三菱電機(下村節宏執行役社長)は12月5日、テレビ画面や映画スクリーンに表示された映像をビデオカメラなどで撮影しても、映像を再撮した場所や時刻などを特定できる新しい「電子透かし」技術を開発したと発表した。

 「電子透かし」とは、映像などの信号を人間の視覚に認識不可能なレベルでわずかに変化させることで、その映像を特定できる情報を埋め込む技術。従来は、アナログやデジタルコピーによる違法な複製を防止するために研究・開発が進められてきた。こうした中、テレビ受像機の大画面・高画質化や、カメラの小型化・高画質化にともない、テレビ画面や映画スクリーンの再撮によって高品質の海賊版が制作されたり、ネットへの不正送信が行われるといった問題から、新たな「電子透かし」技術が求められていた。

 今回の「電子透かし」技術は、再撮耐性を持つのが特徴。これにより、いったんテレビ画面や映画スクリーンに表示された映像を再度ビデオカメラなどで撮影しても、その撮影画像の透かしの情報が損なわれずに検出することが可能となる。画面やスクリーンを斜めから撮影したり、コンテンツの一部が欠落していても情報を検出することができるという。従来と同様に、VTRやDVDによるデジタルあるいはアナログコピーの映像からも、透かし情報の検出が行える。

 デジタルシネマ設備を持つ映画館であれば、映画館ごとに個別の透かし情報を埋め込むことができるため、海賊版がどの映画館で撮影されたかを追跡することができ、ビデオカメラによる再撮を防止することができる。さらに、将来、デジタル放送やネット配信ビデオを表示するディスプレイに同技術が導入されれば、幅広い映像の著作権保護への適用も期待できる。