販売金額4割目前の次世代レコーダー、年末に向け商戦いよいよ本格化

特集

2007/12/06 10:40

 次世代DVDレコーダー商戦がいよいよ本格化してきた。11月の時点で、販売金額ではDVDレコーダー全体の4割弱を占めるまでに拡大している。台数でも2割を突破しており、BDやHD DVDに対応した次世代機が年末商戦に向けて好調なスタートを切った。「BCNランキング」で、最新の次世代DVDレコーダー市場についてまとめた。


 DVDレコーダー市場で、次世代DVDレコーダーが占める割合は、11月で販売台数の21.1%を占めている。10月の5.8%から大きく伸びた。また販売金額でも10月の11.9%から11月には36.6%と急速に拡大している。また、税抜きの平均単価も、10月の14万円前後から11月には13万円前後まで下がってきた。従来のDVDレコーダーは、平均単価が6万円前後。次世代機は実に2倍以上の価格差があるものの、年末商戦に向けて急速に市場が立ち上がってきている。


 各メーカーのラインアップも揃い始め、シェア争いも激しくなってきた。ソニーはHDD搭載BDレコーダー4モデル、松下電機産業は2モデル、シャープはHDD非搭載の2モデルを11月以降相次いで発売。10・11月合算のメーカー別販売台数シェアでは、ソニーが57.1%、2位の松下は32.3%。3位のシャープは今のところ8.7%と低いが、12月中旬に発売するHDDを搭載モデルでシェア拡大を狙う。


 販売金額シェアでは、ソニーが54.8%、松下が37.2%、シャープが6.2%。ソニーは、HDD容量が250?500GBで平均単価も10?16万円前後のエントリーモデルと中級モデルをラインアップする。松下は容量500GBで16万前後、1TBで23万円前後と平均単価が高めの中・上級モデルもラインアップしている。そのほか、シャープはHDDを搭載せず、ビデオ感覚で簡単にBD録画ができる初心者向けのBDレコーダーを2モデル発売した。平均単価も2層BD対応の「BD?AV10」が9万円前後、1層BDのみ対応の「BD?AV1」が8万円前後と安いのが特徴。
___page___


 現時点で唯一HD DVDレコーダーを発売している東芝は、台数シェア2.0%、金額シェア1.7%と苦戦を強いられている。しかし12月中旬には、実勢価格で10万円を切るHDD搭載のHD DVDレコーダーを発売する予定。次世代機としては安価なモデルを投入することで、売り上げ拡大を目指す。


 次世代DVDの規格は現状でBDが優勢だが、一方のHD DVDもPCの光学ドライブで搭載が進んでいる点、海外でプレーヤーとして人気が高い点を考えればまだまだ決着が付いたとはいえない。またDVDにもフルハイビジョンで録画できる技術が出てきた以上、BD、HD DVDの高画質という優位性はなくなり、DVDとの違いは容量だけ。「規格争い」ではなく、「共存」の可能性も出てきた。

 11月の月次で売れ筋の次世代DVDレコーダーは、HDD非搭載で使いやすさを重視するモデルや、大容量の録画ニーズにも応える容量1TBのHDD搭載モデルなど機能面の充実に加えて、価格帯も下は8万円前後から23万円前後の高級モデルまで幅広い。ユーザーにとって多様な選択肢できるようになってきたことが、次世代DVDレコーダーの市場が立ち上がってきた最大の要因といえる。


 ちなみにDVDレコーダー全体では06年12月?07年11月の月別対前年販売台数比で90%前後と低迷傾向にある。一方、金額ベースでは100%を超える月もあり、直近の11月は112.2%と初めて2桁増となった。これは7月以降に発売された次世代レコーダー影響が大きい。

 一方で薄型テレビは、年末商戦に向けて立ち上がりが低迷している。07年8月頃までは台数ベースの月別対前年比で130%前後、金額ベースで120%前後と高い伸びを示していたが、年末商戦直前の11月には台数ベースで119.3%、金額ベースで105.4%と大きく失速。

 パネル別に見てみると、50V型以上のプラズマテレビの金額ベースでの落ち込みが激しい。液晶テレビが前年比台数ベースで175.6%、金額ベースで156.7%と大きく伸びており、従来プラズマで有利とされていた50V型以上の分野にも液晶が進出し競争が激化しているためだと考えられる。11月の時点で販売台数・金額ともに、かろうじて06年を超えているが、12月の商戦本番でどこまで伸びるかがポイントだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。