フルHDとリンク機能がけん引するデジタル家電、年末商戦への期待高まる

特集

2007/10/11 23:15

 BCN(奥田喜久男社長)は10月11日、都内で記者会見を開き、フルHDとリンク機能がデジタル家電市場に与える影響と、それにともなう年末商戦の見通しを発表した。「BCNランキング」の集計では、薄型テレビは9月にフルハイビジョン(フルHD)比率が25%、リンク機能搭載比率も60%を超え、対前年販売台数比は7月に140%まで成長。デジタルビデオカメラは9月にフルHD比率が40%を超えたほか、HDD-DVDレコーダーも「HD+リンク機能対応」機種が9月に60%前後に拡大していることがわかった。

薄型テレビ、07年5月以降「フルHDとリンク機能」効果で堅調

 薄型テレビの月別対前年販売台数比は、06年10月-07年9月は130%前後、金額ベースでも120%前後で推移しており、この状態が年末商戦まで続くと見られる。液晶とプラズマでフルHD比率とリンク機能搭載比率を見ると、07年5月以降はいずれも伸びが顕著だ。液晶のフルHD化は5月に18.4%だったのが9月には24.5%に、リンク機能も50.9%から63.3%と堅調。一方、プラズマも、フルHD化が19.9%から27.3%、リンク機能は75.0%から76.1%へと拡大した。

 また、薄型テレビ全体の平均単価の推移では、07年5月以降、フルHDとリンク機能の伸びにともなって価格は安定しており、液晶は13万円前後、プラズマは23万円前後、全体では14万円前後で推移している。一方、画面サイズ別では液晶が50型、プラズマでは40-50型未満のクラスでは依然として価格の下落が進んでいる。



●液晶がフルHD、プラズマはリンク機能で挑む40-50型未満

 これまで薄型テレビは、サイズと価格という2つが主要な選択のポイントだった。しかしここにきて、フルHDとリンク機能という付加価値もそれに加わりってきた。サイズ別で見ると、液晶・プラズマ双方で主力ゾーンの40-50型未満では、9月のフルHD比率が、液晶は91.1%であるのに対し、プラズマは33.3%と液晶がリード。リンク機能搭載比率は、同月で液晶が57.7%、プラズマは78.6%でプラズマに軍配が上がった。

 一方、大型サイズの50型以上も同様に、9月のフルHD比率は液晶が100%、プラズマは67.3%と液晶が圧倒的に強い。さらにこのサイズではリンク機能搭載比率でも、同月でプラズマが78.3%であるのに対し、液晶が94.4%と液晶が勝っていることがわかった。




●フルHDが4割のビデオカメラ HD+リンク機能が6割のHDD-DVDレコーダー

 デジタルビデオカメラでもフルHD化が進んでおり、7月にはフルHD比率がHDを上回った。9月の画質別販売台数シェア推移ではフルHDが42.9%、HDが15.8%と、フルHDが全体の4割以上を占めている。これにともない、記録媒体も大きく変化した。6月の時点でHDDがDVDを追い越して首位に立ち、9月はHDDが40.8%、DVDが22.1%とHDDのシェアは4割まで拡大している。また、メーカー別にシェアの高い記録媒体を見ると、ソニーがHDDタイプで65.5%、松下電器産業がSDカードタイプで67.9%、日立製作所がHDD・DVDタイプで92.4%、キヤノンがDVDで62.8%となっており、各メーカーで注力する記録媒体が異なっていることも明らかになった。


 HDD-DVDレコーダーの月別対前年販売台数比は、06年10月-07年9月では80%前後で推移しており、マイナス成長が続く。しかし、金額ベースでは6月以降勢いを取り戻し、100%前後で推移。前年並みに回復してきた。HDとリンク機能に対応する機種の伸び率は、この半年の販売台数シェア推移を見ると4月に49.6%と5割程度だったのが、9月には64.2%と6割を超え、シェアを拡大している。


●コンパクトデジカメはやや低迷 PCは07年2月以降自作パーツの伸びが顕著

 このほか、デジタルカメラは、一眼レフが好調である一方で、コンパクトがやや低迷。月別の金額ベースでは07年5月以降、前年を下回る月も見られた。画素数帯については、発売当初インパクトのあった1000万画素以上が、07年6月以降10%前後で推移し、ほぼ頭打ちの状態。売れ筋は800-1000万画素未満のクラスで、6月以降に伸び始め、9月の販売台数シェアは44%を占めた。こうしたコンパクトデジタルカメラの動きは、1000画素以上のやや高価なモデルより、やや価格のこなれたお手軽モデルが支持されている表れともいえる。


 PCはノート・デスクトップともに、月別対前年販売台数比は前年並み。新OSのWindows Vista発売以降の07年2-9月は90%台で推移した。同期間の金額ベースでも90%台を保っており、若干だがマイナス傾向。しかし、自作PCのパーツではCPUマザーボードなどは右肩上がりで伸びており、いずれも同期間の対前年比で100-140%を記録している。こうしたPCパーツを含めてPC全体と捉えると、それほど市場は後退していないと見られる。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など23社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。