いまどきのデスクトップ選びのポイント

特集

2007/07/07 17:30

 デスクトップPCといえば、以前は拡張性の高いミドルタワーやフルタワーとといったタワー型が主流であった。しかし最近では設置スペースの問題や、テレビ替わりといった使用目的の違いからニーズが多様化している。そのため最新の機種は、ノートPC以上にバリエーションが豊富になっている。それだけに明確な使用目的を意識しないと、なかなか理想の一台にめぐり会うことは難しい。ということで今回は今どきのデスクトップPC選びのポイントを解説する。

タイプ別ガイドその1?現在の主流は「コンパクトタイプ」


 主流となっているのが、省スペース化に注力した「コンパクトタイプ」。狭い隙間に収まるスリム型と、それを横に倒した横置き型に大別される。スペースがあまりないオフィスの机や一人暮らしの部屋向きのモデルだ。液晶モニタつきで、キーボードも含めて統一性のあるスタイリッシュなデザインのものが多い。代表的な機種としては、富士通の「FMV-DESKPOWER CE」シリーズやNECの「VALUESTAR L」シリーズなどがある。


 こうしたコンパクトタイプのPCを選ぶ上で気をつけたいのは「ケース内の拡張性の低さ」だ。多くの場合、マイクロATXやフレックスATXといったスモールタイプのマザーボードを用いて小型化しているので、拡張スロットの本数が少ない。PCIやPCI-Xのスロットが背の低いロープロファイルタイプのカードにしか対応していなかったり、カード類の増設性が低い。「将来的にあれもこれもやってみたい」という人は、その拡張性の低さに悩むかもしれない。


 もっとも最近はUSB2.0やIEEE1394、SATAなどのユニバーサルインターフェイスに対応したパーツが充実するので、よほどコアなPCユーザーでない限りは深刻な問題ではないかもしれないが、覚えておきたいポイントだ。



タイプ別ガイドその2?デスクとノートのいいとこどり「モニタ一体型」


 コンパクトタイプの省スペース性とデザイン性をさらにつき詰めたのがモニタ一体型だ。モニタと本体、キーボードが一体となったPCで、「ノートPCの省スペース性と機動性」と「デスクトップPCの使い勝手とパワー」を“いいとこどり”したモデルともいえる。


 代表的な機種としてはソニー「VAIO type L」、日立「Prius One type W」、富士通「FMV-DESKPOWER LX」など。コンパクトタイプに次いで大きなシェアを占め人気も高い。家電のようなスタイリッシュなデザインが特徴で、知らない人が見れば液晶テレビだと見間違えるかもしれない。


 そのため、リビングなどの場所に合うモデルが多く、女性にも強くオススメできる。またOSを起動させなくてもDVDやCDの視聴やテレビの鑑賞ができる「インスタント機能」を搭載した機種も多く、使い方も家電製品に近づいている。拡張性に関してはPCIやPIC-Xの拡張スロットを持たない機種が多く、ノートPCと同程度だ。



タイプ別ガイドその3?力を入れて増設するならタワー型


 コンパクト、モニタ一体型に次いでシェアが多いのが冒頭で触れたタワー型だ。いわゆる縦長で大型のケースが特徴で、昔ながらの「PCらしい」外観をもつ。その特色は、なんといっても「パフォーマンスの高さ」に尽きる。ハイエンドクラスのCPUや3Dゲームが快適に動くようなグラフィックカードを備えるものが多く、どんな用途でもサクサクこなせる実力をもつ。


 拡張性に関しても2?4以上のDIMMソケットや複数の3.5/5.25インチストレージベイ、PCI/PCI-Xスロットを備えるなど申しぶんない。HDDも3.5インチタイプが使えるので、500GBといった大容量モデルの増設も簡単。将来的にいろいろと増設するつもりなら、おすすめのタイプだ。設置スペースを気にせず、デザインよりも実力を選ぶなら、このタイプを選んでおけば後悔することは少ないだろう。

 1つ注意したいのが「タワー型の形状でも、低価格にこだわった“バリューPC”が存在する」ということ。これらは、立派な筐体を持ちつつも旧バージョンのCPUや必要最小限の容量のメモリなどを搭載して低価格を実現したモデルだ。パフォーマンス重視でタワー型を選ぼうと考えている人はこの点にも留意したい。


基本コンポーネントの違い?CPUとメモリをチェックしよう?


 次にデスクトップPCが搭載する基本的なコンポーネントについても説明したい。まずは搭載するCPUについては、ハイエンドクラスがCore 2 DuoやCore 2 Extreme、Athlon 64 X2、Dual-Core Xeonなどのマルチコアプロセッサ。ミドルエンドクラスがPentiumDやAMD Sempron、エントリクラスがCeleronDなどが多い。モニタ一体型PCは、ノートPCのアーキテクチャーを踏襲し、ノートPC向けのCPUを搭載するものも多いので、パフォーマンス重視でマシンを選ぶ人は気をつけたい。


 メモリ搭載量は標準的なモデルが512MB、ハイエンドクラスで1?2GBといったところ。エントリクラスの中には128?256MBといったものもあるが、これは例外と考えていいだろう。基本的にデスクトップPCの場合はソケットの空きが十分なものが多く、後からの増設も容易なので、購入時の搭載メモリは512MB?1GB程度で十分だ。ただしWindows VistaのHome Premium以上のエディションを快適に動かしたいのなら、1GB以上は必要となるだろう。


マルチメディア機能について?テレビ機能とDVDドライブ?


 最後にマルチメディア機能に関しても触れておこう。まずテレビチューナーについては、エントリクラスからミドルエンドクラスで地上アナログ、ミドルエンドクラス以上で地上デジタルに対応する。タイプ別にみるとモニタ一体型は地デジに対応するものが多いので、テレビ機能を優先的に考えているなら、モニタ一体型は非常にオススメ度が高い。またハイエンドクラスでは地デジ+BSデジタル+CSデジタルの各種デジタルチューナーを搭載するタイプもある。

 光学ドライブに関してはDVDスーパーマルチタイプが多いが、ハイエンドではソニー「VAIO type R」やNEC「VALUESTAR W」、富士通「FMV-DESKPOWER TX」などでブルーレイディスク対応のBD-REマルチドライブを搭載する機種も出てきている。予算に余裕があるなら、こうした機種を選んだほうがいい。大容量メディアがあれば、マルチメディアの可能性を大きく広げてくれるだろう。