今年の狙い目はズバリ320GB、お買い得外付けHDDの容量が新技術の恩恵で拡大

特集

2007/02/08 23:55

 静止画、動画、音楽と、コンテンツのデジタル化が急速に進むにつれ、個人のパソコンは、こうしたデータであふれるようになってきた。「必要に迫られて外付けのハードディスクドライブ(HDD)を買いに走った」という話もよく耳にする。一方、外付けHDDの容量にも大きな変化が見え始め、主流が250GBから300GBクラスへと移行しつつあるようだ。外付けHDDのトレンドを「BCNランキング」でまとめた。

 静止画、動画、音楽と、コンテンツのデジタル化が急速に進むにつれ、個人のパソコンは、こうしたデータであふれるようになってきた。「必要に迫られて外付けのハードディスクドライブ(HDD)を買いに走った」という話もよく耳にする。一方、外付けHDDの容量にも大きな変化が見え始め、主流が250GBから300GBクラスへと移行しつつあるようだ。外付けHDDのトレンドを「BCNランキング」でまとめた。

●間もなく1位から陥落? 250GBモデル

 まず07年1月の「BCNランキング」で機種別のトップ10を見ていこう。タイプ別では据え置き型が8機種、ポータブル型が2機種ランクインした。1位を獲得したのはバッファローのHD-HU2シリーズ「HD-H250U2」で、販売台数シェアは14.7%。05年7月発売で容量250GBのロングセラー製品だ。ケース内部の熱を効率的に排出する3層構造の素材「ヒートシンクボディ」を採用。放熱を促進することでケース内部の温度を下げるうえ、PCと連動して電源のオン・オフができる「PC連動AUTO電源機能」も搭載した。USB2.0/1.1接続。

 本体サイズは幅52.9×高さ173.0×奥行き164.0mm、重さは1.4kgでコンパクト。電源をきょう体に内蔵しているため、コンセント周りもすっきりする。1月の平均価格は1万台前半だったが、既に売り切れている店舗もあるようだ。

 2位もバッファローのHD-HU2シリーズで、容量320GBの「HD-H320U2」がシェア9.9%でランクイン。デザイン、本体サイズ、機能などは1位の「HD-H250U2」と同じ。平均価格は1万円台半ばだが、06年10月に登場して以来、急激に売り上げを伸ばしている。

 3位はアイ・オー・データ機器(IOデータ)の「HDC-U250」で、容量は250GB、シェアは8.3%。耐久性、放熱性に優れたアルミボディと、ファンレス設計を採用し、高い静音性を実現したモデル。本体サイズは幅38×奥行き197×高さ121mm、重さは約1.1kg。

 容量では250GBモデルが1、3位にランクインしているものの、2位には320GBが、4位には300GBモデルがランクインしている。また、07年2月第1週(1月29日-2月4日)の週次データでは320GBモデルのバッファロー「HD-H320U2」が台数シェア11.5%で首位を獲得するなど、大容量化は確実に進んでいるようだ。

●ポータブル型のポイントは小型、軽量、安全性!?

 一方、ポータブル型は大きさ、軽さはもとより、持ち歩くことを考えて「耐衝撃性」を強化したモデルが目立つ。8位にランクインしたロジテックの「LHD-PS80U2WH」(シェア2.1%)は、衝撃吸収素材を使うのはもちろん、HDユニットが外装ケースに接触しない「フローティング構造」を採用。50cmの落下テストをクリアした。また、電源はUSBバスパワーなので、コンセントのない場所でも利用できる。本体サイズは幅80×高さ138×奥行き18mm、重さは170g。

 台数シェア1.8%で9位にランクインしたバッファローの「HD-PHC80U2/UC」もポータブル型で、やはり衝撃吸収素材と「フローティング構造」を採用している。こちらは75cmの落下テストをクリアした。また、ドライブを万が一紛失しても、保存しているデータを守れるよう暗号化ソフト「AES暗号化ソフト Secure Lock Ware」を同梱している。本体サイズは幅127×高さ83×奥行き21mm、重さは約190g。

●250GBモデルから300GBクラスへのシフトが進む

 外付けHDDはデータを保存する、いわば倉庫のようなもの。容量が大きければ大きいに越したことはない。しかし、お買い得の容量というのは明らかに存在する。これまではそのラインは250GBだった。1GBあたりの税別単価は、06年7月からみただけでも52.6円から46.5円と下落しながら最も安い価格を維持してきた。しかし、今年の1月に300GBが45.9円で最安値を獲得。250GBは47.0円とやや単価が上がり2位に後退。逆に急成長している320GBモデルは47.5円と単価面でも急激に追い上げている。2万円を下回る水準で購入できるドライブで、GB単価が安いのはこの3容量タイプ。据え置き型の外付けHDDを購入するならまずこのあたりを狙うべきだろう。

 製品の価格水準もみておこう。07年1月の月次データで市場の30%のシェアを占める250GBモデルと、ワンランク容量の大きい300GBモデルの、1年間の平均税別価格の推移を比較してみた。


 1年前の06年1月では、300GBモデルの平均価格は2万円前後、250GBモデルの平均価格は1万5000円前後と、その価格差は5000円程度あった。その後、両モデルとも徐々に価格が下がっていったが、06年秋口から250GBの価格下落にブレーキがかかり、06年12月以降はほぼ横ばいになっている。一方、300GBモデルは対照的に06年年末あたりから下落の勢いが増しており、価格差が2000円程度にまでに縮まってきている。

 やはり今後の主流は300GBクラスのモデルになりそうだ。なかでも注目は320GBモデルだ。06年10月から台数シェアを急激に伸ばし始め、06年12月には300GBのシェアをほぼ並び、07年1月には10.7%のシェアを獲得していた300GBモデルを、19.2%のシェアで抜き去ってしまった。


 320GBモデルは06年9月まではほとんど製品数がなく、空白状態だったのだが、06年10月にバッファローが「HD-HU2シリーズ」「HD-HCU2シリーズ」の320GBモデルをラインアップに追加したのを契機に各社とも320GBモデルを市場に投入した。

●新技術の恩恵を最も受ける320GBモデル

 300GBと320GB、たった20GBしか違わないモデルがどうして存在するのだろうか? バッファローの広報に話を聞いたところ、一言で言えばHDD内のデータを記録する心臓部「プラッタ」と呼ばれる円盤の容量密度が上がったためという回答を得た。1枚の容量はこれまで100GBだった。しかしそれが160GBに拡大したのだという。つまり、300GBのHDDで100GBのプラッタが3枚必要だったものが、320GBでも2枚で済むようになったわけだ。

 「100GBのプラッタを3枚重ねるのと、160GBのプラッタを2枚重ねるのでは、コスト的に大差がない」(バッファロー広報)ということもあり、一層普及も進みそう。300GBモデルは05年から06年秋ぐらいに発売されたものが多く、320GBモデルは06年秋以降に発売されたものが多い。そのため、現状では300GBモデルの平均価格の方がやや安い。しかし現状でも価格差は1000円程度で、今後320GBモデルが主流になってくれば、価格差はほとんどなくなるのではないだろうか? 今年の狙い目の外付けHDDドライブはズバリ320GBモデルだ。(WebBCNランキング編集部・山下彰子)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。