10月上旬、キヤノン、エプソンの2社から、冬商戦に向けたインクジェットプリンタの新製品が一挙に発売された。新旧入れ替わった10月第2週(06年10月9日-10月15日)の「BCNランキング」インクジェットプリンタ機種別ランキングでは、キヤノンの「PIXUS MP600」がシェア15.2%でトップに、エプソンの「PM-A820」がシェア10.1%で2位に続いた。どちらも2万円台後半の同じ価格帯で、機能も似通ったライバル機。まずはキヤノン「MP600」が2週連続トップと好調なスタートを切った。

 10月上旬、キヤノン、エプソンの2社から、冬商戦に向けたインクジェットプリンタの新製品が一挙に発売された。新旧入れ替わった10月第2週(06年10月9日-10月15日)の「BCNランキング」インクジェットプリンタ機種別ランキングでは、キヤノンの「PIXUS MP600」がシェア15.2%でトップに、エプソンの「PM-A820」がシェア10.1%で2位に続いた。どちらも2万円台後半の同じ価格帯で、機能も似通ったライバル機。まずはキヤノン「MP600」が2週連続トップと好調なスタートを切った。

●キヤノン・エプソンともに複合機を5機種ずつ投入

 冬商戦向けの新製品では、キヤノンはA4対応のインクジェット複合機5機種、単機能インクジェットプリンタ4機種、L判・はがき対応の小型インクジェットプリンタ2機種の計11機種を発表。10月5日、一斉に発売した。一方、エプソンは、複合機5機種、単機能プリンタ3機種の計8機種をラインアップし、うち6機種を同日の10月5日に発売した。

 これらの新製品が店頭に並び始めた10月第1週(06年10月2日-10月8日)は、キヤノンの「PIXUS MP600」が、前週27位から急上昇し、販売台数シェア12.8%でトップを獲得。翌週の10月第2週(10月9日-10月15日)には、さらにシェアを15.2%に伸ばした。



●iPodライクな「スクロールホイール」採用――簡単操作を目指すキヤノン

 「PIXUS MP600」は、昨年から今年にかけて一番の売れ行きを示した「PIXUS MP500」の後継機種。1台でプリンタ、スキャナ、コピー機として利用できる複合機だ。従来モデルとの最大の違いは「イージースクロールホイール」。iPodのクリックホイールのように指でクルクルと回して操作するインターフェイスを採用したことだ。専用ボタンや十字キーでは複雑になりがちだった操作体系を一新。液晶モニターの表示を見ながら、直感的に操作できるようにした。ホイールの横には「ナビボタン」も装備。操作方法がわからない時に押せば、機能の詳しい使い方などを液晶モニターに表示してくれる。

 また、液晶モニターを収納すると、外から操作ボタン類が一切見えず、ほぼ出っ張りのないスマートな箱型になる。さらに、前モデルに比べ高さで11mm、奥行きで37mm小さくなった。印刷スピードを速めるなど基本性能も強化し、より完成度が高まった印象だ。前面給紙カセットと背面のオートシートフィーダによる「2Way給紙」や自動両面プリント、DVDやCDのレーベルプリントにも対応する。

 「イージースクロールホイール」は、複合機の上位モデル「PIXUS MP810」と「PIXUS MP960」、新たにラインアップした小型プリンタ「PIXUS mini260」の計4機種に搭載するが、新製品すべてに搭載しなかった。その理由について同社では、「機能があまり多くないモデルでは、『イージースクロールホイール』を使うとかえって効率が悪くなるため」と説明する。



●CD・DVDドライブやテレビプリントなど新機能を打ち出すエプソンだが……

 2位はエプソンの複合機「PM-A820」。プリント、スキャナ、コピーといった基本的な機能は1位の「MP600」と同じだ。実勢価格も、今のところ同じ2万円台後半。2週連続2位とキヤノンの後塵を拝しているが、シェアは、6.3%から10.0%に着実に伸びており、追い上げが急だ。

 エプソンは、新製品の特徴について、昨年発売のモデルから導入した独自の高画質テクノロジー「Epson Color」の進化をアピール。より自然な色で自動補正が可能になり、インクの耐光性や保存力も向上したとしている。新たに開発した画像処理エンジンを搭載することで、パソコン接続時と同等の画質でダイレクトプリントができるようにもなった。

 また、複合機の上位モデル「PM-T990」「PM-A970」には「CD/DVDドライブ」を内蔵する。プリンタだけでCDやDVD内の写真をプリントしたり、CD-R/CD-RWにデータを書き込めるのが特徴だ。さらに、最上位モデル「PM-T990」には、デジタル放送のデータ放送に付加された印刷コンテンツなどをプリントできる機能を搭載し、「テレプリパ」のキャッチフレーズで、これまでにないプリンタの活用スタイルを提案している。


 ただ、こうしたエプソン独自の新機能は上位モデルに限られ、売れ筋で中堅どころの「PM-A820」には搭載しない。ライバル機、キヤノンの「MP600」が新たに搭載した「スクロールホイール」という目玉機能に比べると、今ひとつパンチに欠ける点は否めない。基本性能を比較すると、インク数は「MP600」が5色、「PM-A820」が6色で、L判1枚の印刷速度は「MP600」が約24秒、「PM-A820」が25秒と拮抗。スキャナ機能は、「MP600」が2400dpiのCISスキャナ、「PM-A820」が1200dpiのCISスキャナで、「MP600」の方が解像度が高い。

●複合機6割の時代に、キヤノン・エプソンの2強が大接戦

 最後に、ランキング3位以下も見ておこう。上位10位以内のうち、1機種を除くすべてが、今年の9月から10月に発売された新製品が並んだ。タイプ別では複合機が6製品、単機能プリンタは小型プリンタを含めて4製品。インクジェットプリンタ全体でも、ほぼ6対4の割合で複合機が多数派を占めている。

 キヤノンからは、4位に単機能プリンタの「PIXUS IP4300」、8位に複合機の「PIXUS MP500」など計3機種がランクインした。「PIXUS MP500」は、自動両面印刷や「イージースクロールホイール」などに対応しないが、実勢価格は1万円台後半と手頃なのが魅力。またエプソンからは、「PM-A820」の上位モデル「PM-A920」「PM-A970」や、フォトプリンタ「E-500」など、計6機種がランクインした。テレビプリント機能を備えた「PM-T990」は11月発売予定のため、ランキングに登場してくるのはこれからだ。



 10月第2週のメーカー別シェアは、キヤノンが46.3%、エプソンが44.4%。この2社で実に9割以上を占めている。しかもわずか1.9ポイントの僅差だ。機種別1位の「MP600」と2位の「PM-A820」の間のシェア差に比べ、その差ははるかに小さい。機種別では「MP600」が一歩リードしているが、総合的に見ると現時点ではほぼ互角。がっぷり四つの争いだ。冬商戦はまだ始まったばかり。年賀状シーズンに向け、ピークはこれからだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・ 2200を超える店舗・オンラインショップからPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。