ソニーは9月6日、テレビやHDD-DVDレコーダーに保存したテレビ番組などをインターネット経由で転送し、国内の外出先はもとより海外からでも視聴できるシステム「ロケーションフリー」の新機種を10月20日から順次発売すると発表した。


 価格はすべてオープン。ラインアップと実勢価格は、転送システムの「ベースステーション LF-PK20」が3万3000円前後、ベースステーションと組み合わせて、離れたテレビに映像を映し出す「TVボックス LF-BOX1」が2万3000円前後、PC用再生ソフト「LFA-PC20」が2000円前後の見込み。

 まず「ベースステーション」とテレビやHDD-DVDレコーダーとをAV端子で接続。さらにルーターともLANで接続する。これにより、リアルタイムの放送や録画したテレビ番組などが、インターネットや無線LAN経由でパソコンや携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」で視聴できるようになる。また、「TVボックス」に接続したテレビでも同様にコンテンツを楽しめる。旧モデルと同じく赤外線発信モジュール「AVマウス」を付属。テレビやDVDレコーダーの電源オン・オフや再生といった遠隔操作がパソコンやPSPからできる。


 「LF-PK20」では、データ圧縮方式として新たに「MPEG-4 AVC」を採用。高画質な動画データの送受信を実現し、画質の向上を図った。また、映像が途切れないよう安定して転送するため、ネットワークの回線状況に応じて転送速度を自動調整する機能も搭載した。さらに無線LANタイプのルーターとワイヤレスで接続できる機能も備えた。なお、ワイヤレス機能はルーター用か受信端末用のどちらか1つのみで利用できる。


 またセットアップを簡略化。「ベースステーション」にアンテナ線、DVDレコーダーなどの映像機器を接続、次にルーターと接続するだけで、外出先から見るためのセットアップを自動で行う。その後、本体前面のセットアップモードボタンを押して、PCなどの受信側機器をベースステーションに登録すれば、外出先でも映像を視聴できるようなる。また、テレビやDVDレコーダーのリモコン信号を学習する機能を新たに搭載し、操作性を向上させた。

 テレビ専用受信端末「LF-BOX1」はLANと無線LAN機能を搭載し、テレビとAV端子で接続。「ベースステーション」からLANやインターネット経由で送り出されたコンテンツをテレビに出力する。


 動画圧縮方式「MPEG-4 AVC」と「MPEG-2」に対応。MPEG-4 AVCを使って安定して映像が再生できる「通信優先モード」とMPEG-2で大容量データが伝送できる「画質優先モード」の切り替えにも対応した。さらに付属のリモコンで「ベースステーション」に接続した機器を遠隔操作することもできる。

 PC用再生ソフト「LFA-PC20」は「MPEG-4 AVC」への対応や操作の反応速度を上げるなどのバージョンアップを行った。Windows専用ソフトで対応OSはWindows XP。テレビのみで受信するユーザーや複数のPCで利用したいユーザーを想定しており、「LF-PK20」や「LF-BOX1」には付属せず、別売りで販売する。

 発表会で前田悟・テレビ・ビデオ事業本部LFX事業室事業室長は「(家電業界は)価格競争が激しいが新しいカテゴリを作ることがメーカーの生き残りにつながる。通信を使って(ロケーションフリーという)今までなかったものを作り、テレビの視聴スタイルを変えたい」と意気込みを語った。


 ただ、「ロケーションフリー」で転送できる映像の画質はアナログ放送並み。今後デジタル放送が普及すればハイビジョン対応が求められてくるが、この点について前田室長は「現状では映像処理回路などのコストで対応製品は価格が30万円程度になってしまう上、通信インフラの問題もあるため、すぐにとは行かない。技術の進歩を待って検討はする」と述べた。

 現在、Macintosh専用のソフトに関しては、加賀電子が開発し販売しているが、ソニーではこうした「ロケーションフリー」のライセンス提供も進めていく方針。現在20社から問い合わせがあり、携帯電話端末用ソフト開発を手がけるアクセスがPDA(携帯情報端末)用ソフト、グループ会社のソニー・エリクソンもロケーションフリーを利用できる携帯電話端末の開発を進めている。