ジーコジャパンの06年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会は、2敗1分けで1次リーグ敗退と残念な結果に終わった。この4年に一度の大一番、日本代表の勇姿を大画面で観て記録に残そうと、W杯を機にプラズマテレビや液晶テレビ、DVDレコーダーを購入した人も多かったようだ。「W杯特需」はあったのか? また、開幕のその日や日本戦が行われた当日、「土壇場の駆け込み需要」はあったのか? 「BCNランキング」で探った。

●デジタル家電は1月のトリノ特需後、5月末-6月始めにW杯需要がピークに

 トリノ五輪の効果もあって、今年のデジタル家電市場は、まず1月から2月にかけての活況でスタートした。「BCNランキング」でみた販売台数の前年同週比では、プラズマが前年の倍以上、液晶テレビは50%増と大きく伸び、今年最初のピークを迎えた。一方、内閣府の06年3月の調査で世帯普及率が4割となったDVDレコーダーは購入が一巡。需要の伸びは見込めるものの前年を割り込む状態が続いていた。

前年同週比の表

 そして4月下旬を境に、再び大幅な伸びを見せ始める。W杯商戦のスタートだ。商戦の山場は5月末から大会直前の6月の初めに訪れた。テレビが勢いづいただけでなく、前年割れが続いていたDVDレコーダーもプラスに転じて大幅に伸び始めた。

 この時期の購入者は、いわば「用意周到」タイプ。W杯開幕を直前に控え、5月30日に行われた国際親善試合の対ドイツ戦や6月4日の対マルタ戦なども視野に入れつつ、事前に薄型テレビやレコーダーを買い揃え、準備万端整えて日本代表の初戦を迎えた人たちだ。

●突然その日に欲しくなって……

 「用意周到」な人たちがいる一方、W杯開幕ギリギリや開幕してから慌てて購入に走る「駆け込み」タイプの人たちも少なくない。W杯開幕前の5月29日から日本代表の1次リーグ第3戦、対ブラジル戦が終わった後の6月26日まで、「BCNランキング」で販売台数の前年同日比を曜日調整のうえ検証した。対象はプラズマテレビ、液晶テレビ、DVDレコーダー。「駆け込み需要」動向はどうだったのか?

前年同日比の表(縮小版)

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 プラズマテレビ、液晶テレビ、DVDレコーダーともにW杯開幕、日本代表の1次リーグの試合日を基点に試合が行われる前週の平日後半、そして試合当日に販売台数が大幅な伸びを見せていることがわかる。つまり、開幕後、購入に走った人が結構いたということだ。

 3製品の中ではプラズマテレビの伸びが高い。残像が少なく、スポーツなど被写体が激しく動く映像に威力を発揮する、まさにサッカー観戦向けのテレビだということから、駆け込み購入でも選んだ人が多かったようだ。それでは「W杯開幕」「日本代表初戦」「第2戦」「第3戦」と個別に販売動向をみてみよう。

W杯商戦中の量販店の様子

●初戦前が最高潮、32型テレビを「お持ち帰り」する猛者も

 ドイツ対コスタリカ、ポーランド対エクアドルの試合が行われたW杯開幕の日。ここに向けては、前日の6月8日(木)にプラズマテレビ、液晶テレビ、DVDレコーダーの伸びが集中した。プラズマは開幕当日もよく売れ、前年同日比で150%増までになっている。

 この背景にはW杯開幕もさることながら、週明け6月12日(月)に行われる日本代表の1次リーグ初戦、対オーストラリア戦も考えて購入した人たちが多かったとみられる。さらに初戦の試合当日も平日にもかかわらず、液晶テレビ、DVDレコーダーは販売数は伸びた。このオーストラリア戦が駆け込みのピークとなったようだ。


 実際、家電量販店でも「オーストラリア戦を前に購入が集中した。DVDレコーダーは購入して持ち帰るのはあたりまえ。プラズマテレビや液晶テレビを購入した人も、翌日配達や午前中に買って夜には届ける当日配送を利用する人がほとんどだった」(ビックカメラ)ようだ。中でも液晶テレビは「32型を買って持ち帰る人も多かった」(同)という。

 次に6月18日(日)に行われた日本代表の1次リーグ第2戦となる対クロアチア戦。こちらは3製品とも6月16日(金)が販売の山場となった。この時は、初戦以降でまだ購入していなかった人たちの需要で台数は伸びたが、初戦前ほどの伸びとはならなかった。

 最後に第3戦の対ブラジル戦では、クロアチア戦前までに購入が一巡したこともあり、液晶テレビ、DVDレコーダーの販売台数はほぼ落ち着いた。販売は増えなかった。しかし、プラズマテレビは22日も前年比で倍の売れ行きとなった。


 こうしてみると、「サムライブルー」は確かにデジタル家電市場に旋風を巻き起こしたようだ。これがもし決勝トーナメントに進出していれば、さらに決勝戦にでも進出しようものなら、と考えると、とてつもない需要が発生していたかもしれない。今回はとても残念な結果に終わったが、4年後の南ア大会では、まずW杯出場を確実に決め、本大会でも竜巻を起こすほどの大活躍を期待したい。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。