マイクロソフトは4月21日、ビル・ゲイツ会長の来日記者会見と次世代OS「Windows Vista」の説明会を都内で開いた。国内で「Vista」についてデモを交えて詳細に説明したのは今回が初めて。

●日本向けの戦略、PLAN?Jを発表

 マイクロソフト日本法人設立20周年の節目ということもあり、ゲイツ会長は「日本におけるイノベーション」をテーマにスピーチした。そのなかで、日本向け戦略「PLAN-J」を発表。3か年計画で投資、技術革新、パートナーシップの3つを進めていく方針を明らかにした。特にパートナーシップについて「これまでマイクロソフトはソフトウェアプラットフォームに特化し、ハードメーカーやネットサービス事業者とパートナーシップを結んで発展してきた」とし、キヤノンや東芝、LACなどと結んだ協力関係なども示しながら、今後もより強い協力関係を企業、大学と結んでいく考えを述べた。

 また「PLAN-J」の1つとして「NPO-J」を開始することも発表。NPOの支援活動などをパートナー企業と共同で行っていくとした。ITスキルの習得支援やIT活用の啓発イベントなどを開催することで、NPOの情報格差を解消、社会的課題解決の加速を支援していく。

 ゲイツ会長は最後に「ネット上のコンテンツやさまざまなWebサービスを電話やPC、ゲーム機などのさまざまなデバイスで利用できるようにしたい。そして将来的には高齢者でも障害者でも誰でもがソフトを使えるようにしたい」と将来の展望を語ってスピーチを締めくくった。

●「Web2.0はあいまいだ」

 続く質疑応答で「Web2.0についてどう思うか」との質問にゲイツ会長は「Web2.0という言葉はあいまいなので今はそれほど使われていない」としながらも、最近ではGoogleなどが展開するWebサービスに注目が集まっている点に言及。「Webサービスはすごいスピードで進化している」と、その勢い認める一方で「Webサービスはソフトウェアだ。ソフトをネットで利用できる環境やプラットホームを構築することが重要」だと語った。

 また「放送と通信の融合」については「インターネットを経由して動画を入手できたり、ターゲットを絞った広告活動ができるので、融合は進むだろう。しかしマイクロソフトはIBMのようにネットワーク、アプリケーションなどをすべてやるつもりはない。それぞれを得意としているパートナーに任せる」として、ソフトウェアプラットフォームに力を入れる立場を示した。

●Vistaがクリアな視界を提供する

 次に行われた「Windows Vista」の説明会では、デモを交えながら「Vista」の特徴が説明された。まず「Vista」のラインアップは、コンシューマー向けが3モデル、ビジネス向けに2モデルとなり、発売は企業向けのボリュームライセンス提供は11月、一般向け製品は07年1月以降になる予定だ。

 コンシューマー向けとしては、ブラウジング、Eメールなどの基本機能を扱うための「Home Basic」、音楽や画像などのエンタテインメント機能を強化した「Home Premium」、ビジネスの基本機能も搭載した「Ultimate」3つ。一方ビジネス向けには「Business」とライセンスベースの大企業向けとなる上位版「Enterprise」の2つを用意する。

 Windows本部のジェイ・ジェイミソン本部長は「デジカメや携帯オーディオの普及などによりPC内のファイルは増え続け、ユーザーは混沌としたファイルの海でおぼれそうになっている。このデジタルデータの世界にクリアな視界を提供するのがWindows Vistaだ」と説明した。

●サクサク動く新GUI「Windows Aero」

 「Windows Vista」の最大の特徴の1つは新GUI「Windows Aero」。半透明表示ができるようになり、ウインドウが重なった場合でも後ろのウインドウが透けて見える工夫が施されている。隠れているウインドウの内容を把握することができるため、作業効率向上にもつながる。次々とアイコン変化させてファイルの種類を把握しやすくするなど、ファイルの海を自由に泳げるようなインターフェイスが数多く用意されている。いずれも動きはきわめてスムーズだ。

 ファイルやOSの機能なども同列に検索できる新しい検索機能も提供。また「Internet Exploler 7」ではついにタグ機能をサポートし、Webサイトの検索結果の一覧から、開きたいサイトを任意に選びタブで開いていくという機能も紹介された。このほかセキュリティも強化。フィッシングの恐れのあるサイトではアドレスバーを黄色にして注意を促し、レポートに報告されているような完全なフィッシングサイトはアドレスバーを赤に変えて、サイトが開く前に警告ページが開く機能も搭載した。また、東芝やOCNと連携して、コンシューマーモデル向けに音楽やデジタルビデオなどをダウンロードできるサービスを行う予定も明らかにした。

 このほか、ビジネス向けモデルでは情報の漏えい防止のため、情報の持ち出しに使われるUSBメモリを使用を制限する機能や、HDDを暗号化して盗難による情報漏えいを防ぐ機能なども紹介された。