今やコミック・イラスト制作の必需品「タブレット」、そのダントツは?

特集

2005/11/17 00:40

 曲線、吹き出し、手書き文字……、PCに接続すればペンを使った手書き感覚で自由に絵や文字が描けるタブレット。CG・イラスト作成などクリエイティブワーク、プレゼンテーション資料の作成、原稿の校正、デジカメ写真の加工・修正などで大活躍。なかにはマウス代わりに使う人もいるとかで、なかなか守備範囲の広い「1本」だ。今回は、そんなタブレットの売れ筋を、最新の「BCNランキング」から紹介しよう。

 曲線、吹き出し、手書き文字……、PCに接続すればペンを使った手書き感覚で自由に絵や文字が描けるタブレット。CG・イラスト作成などクリエイティブワーク、プレゼンテーション資料の作成、原稿の校正、デジカメ写真の加工・修正などで大活躍。なかにはマウス代わりに使う人もいるとかで、なかなか守備範囲の広い「1本」だ。「Photoshop」など、筆圧感知に対応するソフトと組み合わせれば、筆で描いたような微妙なタッチも表現できる。今回は、そんなタブレットの売れ筋を、最新の「BCNランキング」から紹介しよう。

●豊富なバンドルソフトと低価格が魅力の「コミックパック」

 タブレット市場は、ワコム1社がメーカー別販売台数シェアのおよそ98%を占めるという超寡占市場。「BCNランキング」11月第2週(11月7日?11月13日)の集計期間に販売されたタブレットは全部で60種と少なめだが、ランキングではワコム製品がずらりと並ぶ。なかでも人気が高いのがコミック・イラスト制作ファンにターゲットを絞った「FAVO コミックパック(CTE-440/W2)」。17.8%のシェアを占め、2週連続でランキング1位を獲得した。2位の「BizTablet(CTF-220/S0)」は6%だから、ほぼトリプルスコアの大差をつけての1位獲得となった。



 ワコムは現在、コンシューマ向けに、手頃な一般向けモデル「FAVO(ファーボ)」と、より高性能なプロ向けモデル「Intuos(インテュオス)3」の2シリーズを展開している。とくに「FAVO」は、「1999年の初代『FAVO』の販売開始から今年10月まで累計で100万台の国内販売を達成し、世界でもっとも売れたペンタブレットシリーズ(同社調べ)」だ。

 「FAVO」は、今年9月にラインアップを一新。タブレット本体を着脱可能なクリアカバーで包み、接続ケーブルやペンホルダーなど細かい使い勝手を向上させた。新たにラバーグリップを装備するなど、ペンも強化。さらに全体的に価格を引き下げ、とくに作画・描画に便利なA5サイズモデルは、従来よりかなり手頃になった。

 1位の「FAVO コミックパック」は、11月4日に発売されたばかりの新製品。昨年11月に発売した従来の「FAVO コミックパック」のリニューアル版で、A6サイズのホワイトカラーのタブレット本体に、マンガ専用グラフィックツール「ComicStudio」最新版のライトスペック版「ComicStudio Mini」、フリーのイラスト作成ソフト「Pixia」にヘルプファイルと18種類のフィルタを添付した「Pixiaワコムフルセット版」、デリーターの「COMIC ART CG illust4 体験版」「COMIC WORKS ver2 体験版」など計6つのWindows用ソフトをバンドルする。「ワコムストア」での直販価格は8980円。同じA6サイズのタブレット単体「CTE-440」は同9975円なので、お買い得感は高い。

 昨年、初めて「FAVO コミックパック」を企画した時は、ワコム社内では既存モデルと競合するのではと議論が起こったという。通常の「FAVO」に付属するワイヤレスマウスをセットからはずしたため、「FAVO」シリーズでもっとも低価格になったからだ。しかし、いざ蓋を開けてみると「シェアを食い合うことはなく、『FAVO コミックパック』の分だけ、売り上げが純増した」(広報室・飯村氏)。「コミックパック」という名称に加え、外箱パッケージにイラストを入れ、店頭でも一目でセット内容をわかるようにしたこともターゲットにうまく訴求することにつながったと分析する。同社では、「イラスト・コミック愛好者は相当な数がいる」と見込んでおり、それを裏付けるように新「FAVO コミックパック」も好調なスタートを切った。「旧コミックパックの購入者は約6割が10代から20代の女性だった」(同)ということから、今回もこの層がメインの購入者とみられる。アキバ系を始めとする「萌え」市場が男女を超えて広がり始めているのも、タブレット市場に追い風となっているようだ。

●入力サイズは「A5」がやや優位 ワイド液晶対応モデルも登場

 2位以下にも簡単に触れておこう。メーカーシェアがダントツであるため上位10以内はすべてワコム。内訳は、「FAVO」シリーズが7機種、「Intuos 3」が1機種、ビジネス向けモデルが2機種。同じ「FAVO」でも、バンドルソフト数が多い「EXモデル」より「標準モデル」が上位につけている。

 これからデジタルコミックを描いてみたい人は、やはりオールインワンの「FAVO コミックパック」がおすすめだ。イラスト作成だけなら、画像編集ソフト「Adobe Photoshop Elements 3.0」とペイントソフト「Corel Painter Essentials 2」が付属した「FAVO EXモデル」でもいい。すでにソフトを持っている場合や、本格的なソフトを自分で用意するつもりなら「FAVO」単体の標準モデルでいいだろう。

 入力エリアサイズについては、より広い「A5」サイズの方が上位10位以内に多くランクインする結果となった。トップ10圏外だが、タブレット初のワイドエリア対応モデル「PTZ-631W」も11月4日に同時発売されている。手持ちのパソコンがワイド画面ならば、このモデルも検討してみよう。

 ワコムが値下げをしたこともあり、「試しに買ってみる」ことができるほど手頃になってきたタブレット。芸術の秋深まるなか、マウスをタブレットペンに持ち替えて、デジタル絵画を始めてみるのはいかが?


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。