米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長を発起人として、「古川享を囲む会」が東京都内のホテルで6月28日開かれた。マイクロソフトの初代社長である古川氏は、文字通り、日本のパソコン産業を創出した立役者。その古川氏が6月30日付けでマイクロソフトを退社するとあって、ゲイツ氏自身が発起人となり、「マイクロソフトからの卒業」を祝う会を開いたもの。会場には古川氏とともにパソコン産業の発展に寄与したパソコンメーカー、ソフトメーカー、周辺機器メーカー、半導体メーカー、販売店など多くの関係者が一堂に会した。

 冒頭の挨拶でゲイツ会長は、「こういう会があると、懐かしい歴史を振り返ることができます。マイクロソフトが日本でビジネスを始めるにあたっては、大変なこともありました。その時に常に助けてくれたのが、サム古川でした」と古川氏を讃えた。さらに、古川氏が日本の新しいテクノロジーについての情報に精通した情報源であった事実を紹介し、「なんと、昨日の晩まで、サム古川は日本の最新テクノロジーの動向とそれを当社のビジネスに結びつけるかについて、熱心に話してくれたのです」というエピソードを明らかにした。

 これを受けて古川氏は、「実は1986年頃、日本でジャストシステムと仲良くしたりして、あまりにマイクロソフト以外のメーカーと仲良くしすぎたことで、ビルからものすごく怒られて、2年ばかりはシアトルに足を踏み入れることができなかった」が、その後「やっぱり、君ほど、マイクロソフトを愛している人はいないねと理解してもらって、許してもらうことができた」という秘話も明かした。

 この話からもわかるように、古川氏こそ「日本で最もマイクロソフトを愛した男」である。それだけに、今回の「卒業」は、マイクロソフトからの別離というニュアンスばかりではないようだ。そんな想いは「ちょっと離れたところからマイクロソフトを見たい。社外の人間だからこそ、厳しいこともいえるかもしれないし、マイクロソフトってそんなに悪い会社ではないと主張することもできる」という古川氏の言葉からも伝わってくる。

 また、「マイクロソフトを退社したメンバーで素晴らしいテクノロジーを作っている会社もある。以前からの夢だったが、日本のテクノロジーを紹介することも実現していきたい」と新しい活動にも意欲をみせた。

 会場では、懐かしい時代のビデオも上映された。ゲイツ氏や古川氏が登場するマイクロソフト日本法人の設立パーティやウィンドウズ95の発売時に作られたテレビコマーシャルなど、現在では目にすることができない映像も登場。「うわ、古川さん、若い!痩せている!」といった歓声も聞かれ、参加者は和やかなムードで古川氏の「卒業」を祝った。