「今週末までに机の上を整理しておくこと」――こんなオフィスでの会話は、将来なくなるかもしれない。というのは、ペーパーレス化を加速する可能性を秘めた新世代のスキャナが登場してきたからだ。通常、スキャナは水平な場所に置いて、文書をセットしてデータ化する。ところが、今年2月にキヤノンが発売した「CanoScan LiDE 500F」は、スキャナ本体を立てたまま手軽にスキャンすることができる。また、PFUが投入した「ScanSnap」も大量文書の電子化に特化した意欲的なモデルだ。それでは、「BCNランキング」を

 「今週末までに机の上を整理しておくこと」――こんなオフィスでの会話は、将来なくなるかもしれない。というのは、ペーパーレス化を加速する可能性を秘めた新世代のスキャナが登場してきたからだ。通常、スキャナは水平な場所に置いて、文書をセットしてデータ化する。ところが、今年2月にキヤノンが発売した「CanoScan LiDE 500F」は、スキャナ本体を立てたまま手軽にスキャンすることができる。また、PFUが投入した「ScanSnap」も大量文書の電子化に特化した意欲的なモデルだ。それでは、「BCNランキング」をみながら、新世代スキャナの特徴をチェックしてみよう。


 は、3月2週(3月14?20日)のスキャナ機種別販売台数シェアトップ10。1位を獲得したのは、前述したキヤノンの新世代スキャナ「CanoScan LiDE 500F」。本体立て置きのままスキャンできる「ドロップイン・スキャン」のほか、設置スペースを選ばない3wayポジション、PDFを簡単に作成できるソフト搭載などの特徴をもっている。

 ビックカメラ有楽町店5階の小坂洋司さんは、人気の理由を「スリムなデザイン、立て置きで設置面積が省ける、軽くて持ち運びがしやすいといった点が受けている。ビジネスマンの購入者も多く、資料がPDF化できる機能もユーザーにとっては便利」とみている。

 ランキングの2位と5位には、2003年発売のモデルが入った。ある意味、ベストセラーといえるが、別の言い方をすれば、これまでの新製品に魅力が足りなかった結果ともいえるだろう。そうした点から、トップを走る「CanoScan LiDE 500F」は、スキャナの設置面積が大きくて部屋の置き場所、使い場所に困っていたユーザーにとって、待ち焦がれていた製品だったのかもしれない。

 また、同製品がビジネスマンに受けた要因はいくつか考えられる。「会社でPDF利用が浸透してきた」、「増え続ける机上の書類を一念発起してデータ化しようとした」、「スキャナに付属するイメージライブラリが使いやすくなった」――などだ。小坂さんも、「『CanoScan Toolbox』からワンタッチでPDFを作成して、電子スクラップとして利用したいといったニーズがある」という。

 4位のエプソン「GT-F500」は、フィルムスキャンをより前面に打ち出したモデル。6位に入ったエプソン「GT-F600」は、トップ10中最高解像度となる4800×9600dpiを実現するとともに、高精度でゴミやクズなどを自動消去してくれる。「最近は、高機能モデルも手頃な価格で手に入るようになった」(小坂さん)のも、懐を気にしがちなビジネスマンにとっては朗報だろう。

 そして、まさにビジネスマンにターゲットを絞ったといっていい製品が8位にランクインしたPFUの「ScanSnap」だ。同社のスキャナ製品は、もともと業務系スキャナから開発が進んでおり、同社担当者によれば、「オフィスでスキャナを使うシーンは、これまで限られていた。今回の製品は、営業マンでも気軽に使えるよう、企業内個人に対象を絞って開発した」という。

 「ScanSnap」の機能としては、名刺サイズからA3サイズまでの原稿に対応し、A4両面原稿を毎分15枚で高速でスキャンする。操作をできるだけ簡単にするとともに、両面カラースキャナとすることで、大幅な利便性向上を図った。

 PDFソフトについても、「Adobe Acrobat 6.0」を付属し、PDFのセキュリティ設定、電子署名による改ざん防止、署名検証まで至れり尽くせり。同担当者は、「『ScanSnap』は、スキャンするとデフォルトでPDF形式になる。他の形式はJPG形式での保存が可能で、逆に言うとこの2つ以外の形式では保存できない。だれでも使える、ビジネスでも使えるという観点からPDF形式が最適だと判断した」と説明する。ここまで思い切った割り切りができるのも、製品のコンセプトが定まっているからなのだろう。

 さらに最近、PFUは法人市場に向けて、アドビと「e-文書法(通称)」対応のソリューション提案と販売促進で協力。「Adobe Acrobat」に同社のタイムスタンププラグインをつけてライセンス販売していく。「e-文書法」は、これまで紙での原本保存が義務化されていた文書や帳票について、電子化したイメージデータを原本として認め、保存を容認する法律だが、これが施行されれば、オフィス内で“スキャナから文書を電子化する”という流れに追い風が吹くことは間違いない。

 今後、次世代スキャナと「e-文書法」の浸透にあわせ、会社で文書を電子化するといったシーンはさらに増えていくわけで、そうなるとペーパーレスオフィスも、にわかに現実味を帯びてきそうだ。そして、こうしたビジネスマンが「家でも文書を電子化したい」と思いはじめるようになれば、個人向けスキャナ市場に脚光が当たる日がくるかもしれない。