昨年来、衰えることを知らない“大型モニターテレビ人気”。高い需要に支えられ急速に市場拡大を続けているが、最近、各メーカーの勢力分布に変動が生じていることがわかった。プラズマテレビ、液晶テレビのそれぞれでどのようなシェア変動が起きているのかリポートしたい。

 昨年来、衰えることを知らない“大型モニターテレビ人気”。高い需要に支えられ急速に市場拡大を続けているが、最近、各メーカーの勢力分布に変動が生じていることがわかった。プラズマテレビ、液晶テレビのそれぞれでどのようなシェア変動が起きているのかリポートしたい。

■プラズマテレビ?日立、パイオニアの健闘が際立つ

 まずは、2月の「BCNランキング」データから、プラズマテレビのベンダー別販売台数シェアをみてみよう(図)。注目すべきは、松下電器のシェア下落だ。これまで「VIERA」シリーズの好調により、トップを独走していた同社が2位に後退している。


 その一方で、日立とパイオニアの躍進が著しい。2月の機種別販売台数シェアトップ10をみても、1位が日立「Wooo7000(W42-P7000)」、2位がパイオニア「PURE vision(PDP-435HDL)」と、松下を押さえて上位に進出している(表1)。この状況を販売店に聞いてみた。


 「日立とパイオニアはモニターの色調がより見た目に近いという点で人気があります。両社ともプラズマパネルを自社生産しているので、信頼性が高いですね」(大手量販店A店)

 「当店で一番売れているのはパイオニア『PDP-435HDL』です。同ランクの他社モデルと比較して、価格はほぼ同じでモニターサイズが大きめというのも“買うのなら、より大きなテレビ”というお客様のニーズにあっているのでしょう」(大手量販店B店)

 量販店では各社製品を店頭に並べて比較展示を積極的に行っている。それによって、画質や規格などに対する消費者の好みがダイレクトに販売データに反映されているようだ。

 また、トップシェアを獲得した日立の人気の理由については次のようなコメントが得られた。

 「日立のプラズマテレビはチューナーを別売りにしています。専用チューナーユニットの実売価格は約11万円くらいですが、モニター価格にこれをプラスしても他社製品より安い価格設定になっており、割安感が高いのが人気のポイントですね」(大手量販店A店)

 シェアを伸ばした2社はユーザーニーズに対して独自のセールスポイントをアピールし、人気を獲得していることがわかる。「モニターの大型化&高画質化と低価格化」という、相反する要求をつきつけられるメーカー側は、付加価値の高さや独自色をより強く打ち出した製品開発と販売戦略が求められる。この難題をクリアしたメーカーが、急速にシェアを伸ばしているというのが現状のようだ。

 こうした市場動向に対し、日立と松下がプラズマディスプレイパネル事業における協業を発表するなど、業界内でも大きな動きが起きている。開発分野での省力化や、製造分野でのコストダウンによる低価格化が進めば、プラズマテレビ市場の勢力分布は、さらに大きな変革期を迎えることになるだろう。

■液晶テレビ?ライトユーザー向けの製品が躍進

 液晶テレビに関しては、32V型以上の大型液晶サイズに絞ってランキングデータを見ていこう。ベンダー別販売台数シェアは、リーディングカンパニーであるシャープの牙城はゆるぎないところ。「AQUOS」のブランド力は絶対的な人気を維持しており、どの販売店においても一番広い販売スペースをあててセールスに注力していた。

 しかし、ここでは、2月の機種別販売台数シェアトップ10(表2)で第2位にランキングされたソニーの「ハッピー<ベガ>(KDL-S32A10)」に注目したい。同シリーズは2月に発売されたばかりの新製品であり、ユーザーの関心が高いのは確かだが、それが実売につながっている理由を販売店に聞いてみた。


 「ハッピー<ベガ>は、ある程度機能を絞った代わりに低価格になっているのが一番の特徴です。地上波を見るには多少画質が落ちますが、ハイビジョンであれば同クラスの製品と同等の画像が楽しめます」(大手量販店C店)

 「ハッピー<ベガ>」を購入したユーザーは、機能と価格のバランスを考慮したうえで、コストパフォーマンスの良さに惹かれているようだ。また、“業界最薄・最小幅”という省スペースデザインも大きな魅力となっているという。

 「スッキリしたデザインが好評で、“どこに置いても威圧感がない”という理由で選ばれるお客様が多いです。それと他のメーカーの製品に比べて“操作が簡単”なのも人気のポイント。とくに女性のお客様の反応が良いですよ」(大手量販店B店)

 これまで、大型液晶テレビといえば“高画質・高機能を求めるコアユーザー向けの商品”というイメージが強かった。こうした傾向のあるマーケットに、あえてライトユーザー向けの商品を打ち出してきたソニーの戦略が成功しつつあるといえるだろう。「今後のフラットテレビ事業は自社の強みを生かせる液晶とリアプロに集中する」と発表したソニーの新スタイルが、どこまでシャープのシェアに食い込んでいくのか、興味深いところである。

 BCN総研が電化製品の購入意向などを把握するために行ったWebアンケート調査(2月18日発表)で、「購入したいと思う電化製品は?」という質問に対し41.0%の回答者が「買いたい」と答え、一番人気となった“液晶テレビ”。一方、ごく近い将来、37インチ以上の大型TV市場を独占するのではないかとも予測され、世界規模で需要が立ち上がっている“プラズマテレビ”。

 このように潜在的な需要が高く、今後も右肩上がりで推移するとみられる“大型モニターテレビ”市場に対し、どのような機軸の製品をリリースしていくのか。それによってメーカー間の勢力分布は短期間に大きく変動する。そして、シェア拡大のカギとなるのは“低価格化によるコストパフォーマンスのアップ”と“ライトユーザーの取り込み”だ。

 この2つの課題に対して各社がどのようなスタンスで臨むのか、新機種投入が予定されているゴールデンウィーク前後の時期を、楽しみに待ちたい。(フリーライター・三五康司)