高性能な廉価版ノートPC続々登場!型落ちモデルとどっちがお買い得?

特集

2005/03/03 21:54

 いままで、廉価版のノートPCといえば、必要最低限の機能とインターフェイスを搭載し、重量・デザイン・質感は度外視――といったプレーンなスペックのものが主流だった。しかし、最近の廉価版ノートPCは少し事情が違うようだ。例えばソニーの「VAIO type B SPEC-S」などは、販売価格が10万9800円と安価にもかかわらず、ミドルエンドクラスの性能とデザイン、それにモビリティを併せもつ完成度の高いマシンに仕上がっている。

 いままで、廉価版のノートPCといえば、必要最低限の機能とインターフェイスを搭載し、重量・デザイン・質感は度外視――といったプレーンなスペックのものが主流だった。しかし、最近の廉価版ノートPCは少し事情が違うようだ。例えばソニーの「VAIO type B SPEC-S」などは、販売価格が10万9800円と安価にもかかわらず、ミドルエンドクラスの性能とデザイン、それにモビリティを併せもつ完成度の高いマシンに仕上がっている。また、「高級志向」のイメージが強かったアップルのiBook G4系ノートPCにも、従来のスペックをそのままに実勢価格11万円台という廉価版の「iBook G4-1200」が登場。今、改めて「廉価版ノートPC」というジャンルが、大きな注目を浴びはじめている。

 本来、廉価版ノートPCのスペックは、14.1インチ液晶にCD-ROMまたはCD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブを搭載し、必要最低限のインターフェイス、バッテリー駆動1.5時間程度、重量は3kgオーバーというあたりが中心。それに比べると、ソニーの廉価モデル「VAIO type B SPEC-S」は、重量2.3kg、最薄部29mm、IEEE802.11b/gのデュアルバンド無線LAN搭載、4時間のバッテリー駆動時間など、確実にスペックが向上しているのである。

 ソニーの「VAIO」やアップルの「iBook」といったブランド色の強いPCの廉価モデルが話題を呼ぶなかで、当然のごとく、それ以外のメーカーも従来以上に廉価モデルには力を入れている。「BCNランキング」2月3週のデータから、ノートPCの平均単価別販売台数シェアをみると、12万円未満のモデルは20.2%を占めていた(図1)。機種別でみれば、ノートPC全352モデル中、平均単価12万円未満のノートPCは71モデルあり、サイズもA4からB5、B5以下のミニノートとすべてのカテゴリを選択することができる。


 では、その中から自分のニーズに合った一台をどう選べばいいのか。一つの基準として、「液晶サイズ」がある(図2)。一般的にノートPCの世界では、「液晶サイズが小さくなればなるほど価格は高くなる」という法則があり、デスクトップ用の液晶モニタやCRTとは相反する傾向がある。これは液晶サイズだけではなく、液晶サイズに合わせた各コンポーネントの小型化や省電力化、アセンブリ工程の煩わしさといった苦労をともなうための結果だが、この法則を踏まえて考えた場合、12.1インチかそれ以下のB5、B5以下ミニノートというのがお買い得ということになる。


 もちろん、ノートPC選びで最も重要なのは自分のニーズに合ったサイズ選びなので、もっとも使い勝手が良く、シェアの大半を占める14.1インチかそれ以上の液晶をもったA4ノートという選択も全く悪くはない。

 もう一つの廉価版ノートPC選びとしては、「ワイヤレスLAN搭載の有無」というポイントがある(図3)。今やノートPCの標準的機能になりつつある無線LAN。自宅以外にもオフィスや野外の公衆インフラなど、ノートPCの可能性を広げてくれる重要なコンポーネントである。廉価版においても無線LANの搭載機種は、少ないながらも存在する。なかには、IEEE802.11bのシングルバンドだけでなく、802.11g/bのデュアルバンド搭載機種もあるので、先の液晶と併せてじっくりと探してみれば、かなりお買い得感の高い買い物ができるはずだ。

 さらに注目したいのは、12万円未満のノートPCの中には、「本来、廉価モデルとして発売されたものではない機種」も含まれているという点。つまり、ハイエンドやミドルエンドクラスとして作られ、新モデル登場やモデルチェンジ前のあおりを受けて価格下落の起きた機種も多数存在するのだ。当然、そういった機種についてはスペックも作りもそれ相応のものをもっており、「少しだけ古い」という点に目をつぶることができれば満足のいく一台を手に入れることができる。

 例えば、「8万円以内の機種で非廉価モデル」という条件で探してみれば、ソニーの「VAIOノート R505」、富士通のピュアモバイル2スピンドルノート「LOOX T60D」、建築デザイナーとのコラボレーションデザインで話題となった東芝の「dynabook CX1」など、型落ちモデルながら高級機種がチラホラと出てくる。こういったマシンをゲットできるのが、型落ちモデルの大きな魅力。

 しかし、一つの難点として、こういった機種は新モデルの販促活動が始まると、隅に追いやられてしまう存在となるため探すのに少々手間取る。探し出すには、足を使って電気街のショップや大手量販店などにこまめに通う必要があるので、日頃から量販店のサイトチェックなどと併せて情報を収集しておいたほうがいいだろう。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)