「ケータイは機種変更より新規購入の方が安い」というのは、なかば常識になっていた。そのため、いったん自分のケータイを解約した後に、新規契約で新しい機種を購入するという人もいたようだ。しかし、最近ではその状況が次第に変わりつつある。とくに、1年で最もケータイが売れる春商戦(図)を前に、auの一部の機種では、新規購入価格と機種変更価格が逆転しているという現象を見かけるようになったのだ。

 「ケータイは機種変更より新規購入の方が安い」というのは、なかば常識になっていた。そのため、いったん自分のケータイを解約した後に、新規契約で新しい機種を購入するという人もいたようだ。しかし、最近ではその状況が次第に変わりつつある。とくに、1年で最もケータイが売れる春商戦(図)を前に、auの一部の機種では、新規購入価格と機種変更価格が逆転しているという現象を見かけるようになったのだ。


 都内の大手量販店で調査したところ、昨年12月に発売されたフルブラウザ搭載のハイスペック機種、「W21CA」の価格が新規購入の場合で2万6040円、25か月以上使っている人の機種変更で2万1840円となっていた。また、契約後13か月?24か月のユーザーでも新規と同等の価格の2万6040円で購入することができる。新機種でも、1月下旬に発売されたFMラジオ搭載の着せ替えケータイ「A1404S」は、新規購入が1万290円、機種変更が8190円からとなっていた(写真参照)


 これは、今までの“機種変更の方が新規よりも高い”という常識を覆す価格設定である。デザインケータイ「talby」も新規で1万7640円、機種変更で1万5540円(25か月以上)と、機種変更の方が若干安くなっている。今回は都内量販店での調査だが、小規模な携帯電話専門ショップでも、auに関しては、新規よりも機種変更の方が安くなっている傾向が見受けられた。

 もちろん、これらの価格逆転現象を示していない機種もある。昨年夏に発売された、WINのエントリーモデル「W21K」に関しては、新規が1円、機種変更が2940円(25か月以上)であった。とくにエントリーモデルに関しては、まだ新規の方が安いという傾向があるようだ。

 この現象に関してKDDI広報部に確認したところ、「KDDIとしては価格の指導は行っていない。価格は販売店が決めるもの」という前提はあるが、「これまでも、新規よりも機種変更の方が高いのはおかしいという指摘はいただいていました」と述べ、それを解消するような努力はしているとの回答を得ることができた。また、春商戦は1年で最もケータイが売れる商戦期のため、新規・機種変更ともに端末を売りたいという販売店側の思惑も影響しているという。

 さらに、KDDIの第3四半期決算発表で、社長の小野寺氏は「これからは、新規と機種変更のインセンティブの差を小さくしていきたい」との意向を表明。ご存知の通り、ケータイの店頭での販売価格は、端末卸値とキャリアから販売店へのインセンティブ(販売報奨代)によるところが大きい。インセンティブが大きければ、そのぶん端末を安くしても販売店は利益が出るのである。

 「この影響が店頭の価格に現れてくるのはもう少し先」(KDDI広報部)とのことだが、これが実施されれば、今回の調査のように新規と機種変更の価格差はもっと縮まっていくだろう。

 新規と機種変更の価格差が縮まる背景には、当然、来年に控えた「ナンバーポータビリティ」の開始もある。ナンバーポータビリティが始まれば、新規より機種変更の方が高いと、ユーザーが簡単に他キャリアに乗り換えてしまう。また、キャリアとしては他社からのユーザーを呼び込むための魅力的な機種も用意しなければならず、エントリーモデル的な機種は新規を安くして他キャリアからのユーザーを狙わなければならない。

 今回の価格変動は商戦期のための一時的なものということだったが、このように考えると理にかなっている価格設定でもある。今後、ナンバーポータビリティを見据えて、“新規購入の方が高い”という価格設定が常識となってくる可能性も十分にあるのだ。(フリージャーナリスト・石野純也<EYE's factory>)