この年末年始商戦を大いに盛り上げた“薄型フラットパネルテレビ”。地上デジタル放送への移行を背景とした買い替え需要もあり、いまだに高い売上と人気を維持している。この買い替えブームを後押ししているのが、メーカー各社がしのぎを削る価格競争。低価格化の波で昨年一年間のうちに約3割も価格下落を引き起こした。

 さらに、年内の本格参入が予定される“次世代薄型テレビ”の存在で、大画面薄型テレビ市場はますます混迷を深めている。急速に拡大、変貌する市場に対し、果たして、いつ、どんなテレビが買いどきとなるのか? BCNランキングからこれまでのユーザー動向をウォッチしてみたい。


 まずプラズマテレビだが、松下電器産業の「VIERA」シリーズの健闘が目を引く(表1)。同社は昨年夏以来、大量の製品を市場に投入して認知、信用を高め、“独り勝ち”状態を築き上げた。大画面薄型テレビが「1インチあたり1万円を切れば普及率が急増する」と言われる状況下、一番人気の松下の42V型「VIERA TH-42PX300」が年末に一時40万円を割り込み、実際に実売価格が1インチ1万円以下となる状況も訪れた。

 トップシェア獲得に成功した松下は、「液晶よりもコスト削減しやすい」と、大型液晶テレビとの価格競争にも自信を示している。市場ニーズや液晶テレビとの競争で、プラズマテレビの価格は他社製品を巻き込んでさらに下落していく気配だ。

 一方の液晶テレビ。画面が明るく高精細な画質が特徴で、市場シェアはシャープの勢いが圧倒的(表2)


 シャープは、メーカー別販売台数シェア46.5%で、昨年末までに累計生産台数500万台を達成した「AQUOS」ブランドの面目躍如といったところ。プラズマ同様に低価格化と液晶パネルの大型化が進む液晶テレビだが、ランキングデータからは、32V型以下のそれほど大画面でない製品が売れ筋の主軸になっている。「大型モニタを望むなら、まだプラズマの方がコストパフォーマンスが高い」という状況が反映した結果だろう。ただし、バイ・デザイン社がハイビジョン対応液晶テレビ「d:4032GJ2」を、40型クラスでは初となる29万9800円で発売するなど、大胆な低価格化の動きも目が離せない。

 こうした購買傾向から判断すると、現時点での大画面薄型テレビの購入は、「コストパフォーマンス重視で購入するならプラズマテレビ、画質にこだわるなら液晶テレビ」という従来の原則は健在といえる。価格重視ならば、引き続き低価格化が進行しそうなプラズマは“やや様子見”、価格が比較的安定してきた液晶は、“今が買い”といえるだろう。

 さらに、これから薄型テレビ市場に大きな影響を与えると予想される要素も挙げておこう。それは、東芝とキヤノンが共同開発している次世代薄型ブラウン管テレビ「SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)」だ。省電力&動画表示特性に優れているだけでなく、ブラウン管画質の良さはプロも認めるところ。発売当初は高価格となるだろうが、メーカーは「プラズマ並みの価格設定は可能」と発表している。長期的な視野にも入れておきたい。このほか、米国でヒット商品となっている「リアプロジェクションTV(リアプロTV)」など、新製品が順次日本市場にも上陸することになりそうだ。

 こうした新製品が登場することも含め、2005年は、いよいよメーカー各社にとって予断を許さない状況となりつつある。(フリージャーナリスト・石川貢士)