2026.10.30 17:00

豆知識

通電火災とは?水害・停電後に起こる仕組みと防ぎ方をわかりやすく解説

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 台風や豪雨、地震などの災害時には、停電そのものだけでなく、電気が復旧したタイミングで起こる「通電火災」にも注意が必要です。通電火災は、避難などで家を空けている間に発生することも多く、気付いたときには燃え広がっているケースもあります。

 しかし、「そもそも通電火災とはどんな火災なの?」「停電したときや避難するときに何をすればいいの?」と、具体的な対策までは知らない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、通電火災が起こる仕組みや過去の事例をはじめ、被災時にできる対処法、日ごろから取り組める対策までわかりやすく解説します。

 災害への備えを見直したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

通電火災とは?

 


 通電火災とは、災害などで停電したあと、電気が復旧したタイミングで発生する火災のことです。

 停電している間は電気製品が動かないため、一見すると安全な状態に見えます。しかし、地震の揺れや浸水によって家の中の状況が変わっていると、復電と同時に思わぬところから出火する場合があります。

 主な原因として挙げられるのは、次のようなケースです。
 
  • ・転倒した電気ストーブなどに、可燃物が触れたまま電気が流れる
  • ・揺れで傷んだ電源コードや配線がショートする
  • ・浸水した家電の内部に残った水分や泥、塩分が原因で、電気回路から発火する

 特に水害のあとは、外から見て乾いていても、内部に水分や異物が残っていることがあるため注意が必要です。

 また、通電火災は住人が避難して不在の間に起こりやすく、発見や初期消火が遅れて被害が広がりやすい点も特徴です。停電したときこそ、復電に備えて対策を取っておくことが大切です。

 

実際に発生した事例


 通電火災は、過去の災害でも実際に発生しています。

 内閣府の資料によると、出火原因が確認された火災のうち、電気に起因するものは阪神・淡路大震災で139件中85件、東日本大震災で110件中71件と、いずれも約6割を占めていました。ここでは、通電火災の代表的な事例を2つ紹介します。


阪神・淡路大震災(1995年)

 揺れによって、使用中の電気ストーブの上にテレビが落下し、ストーブが転倒しました。その後、停電が復旧して電気が流れた際に、倒れたストーブから発火したと報告されています。


落雷による停電(2016年・兵庫県)

 停電前に電源が入ったままになっていた電気こんろが、停電復旧後に再び加熱を始め、こんろの上に置いていた電気製品が焼損しました。停電によって切り忘れ防止機能がリセットされたことが原因と考えられています。


 このように、通電火災は大地震に限らず、落雷や台風による停電でも起こり得る身近なリスクといえるでしょう。

参考:
大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会報告書の概要|内閣府
震災に伴う電気ストーブからの出火|NITE(製品評価技術基盤機構)

 

被災時に通電火災を防ぐには

 


 通電火災を防ぐためには、停電したときや避難するときの行動が重要です。ここからは、被災時に取りたい3つの対策を順番に見ていきましょう。

 

避難時にブレーカーを切る


 自宅から避難するときは、時間に余裕があれば分電盤のブレーカーを切っておきましょう。ブレーカーを切っておけば、留守中に電気が復旧しても家の中に電気が流れません。そのため、傷んだ配線や倒れた家電からの出火を防ぎやすくなります。

 ここでは、住宅用分電盤で広く使われているパナソニック製を例に、ブレーカーの種類を確認しておきましょう。一般的な住宅用分電盤には、次の3種類のブレーカーが並んでいます。

ブレーカーの種類と役割
ブレーカー 役割
アンペアブレーカー 契約アンペア数を超える電流が流れたときに電気を止める。
分電盤の最初に組み込まれている
漏電ブレーカー 配線や電気製品からの漏電を検知して電気を止める
安全ブレーカー 部屋や回路ごとに、使いすぎやショートから配線を守る


 避難時に切るのは、家全体の電気を止められるアンペアブレーカーです。レバー(ハンドル)を「切」側に倒すと、家中の電気が止まります。

 なお、スマートメーターが設置されている住宅などでは、分電盤にアンペアブレーカーがない場合もあります。その場合は、漏電ブレーカーを切りましょう。

 

停電中に電気製品の電源を切る


 停電が起きたら、復電に備えて電気製品の電源を切り、電源プラグをコンセントから抜いておきましょう。

 停電前に電源が入っていた製品は、電気が戻った瞬間に再び動き出す場合があります。前述の事例のように、停電によって切り忘れ防止機能がリセットされ、加熱が再開されるケースもあるため注意が必要です。

 特に優先して電源を切りたいのは、次のような製品です。
 
  • ・電気ストーブや電気こんろなど、ヒーターを内蔵した電熱器具
  • ・アイロンやヘアドライヤー、トースターなど、高温になる製品
  • ・床に置いていて、浸水や転倒の影響を受けやすい製品
  • ・カーテンや布団など、燃えやすい物の近くに置いている製品

 なお、IHクッキングヒーターのように200Vの専用回路につながっていて、電源プラグを抜けない製品もあります。その場合は本体の電源を切ったうえで、該当する回路の安全ブレーカーを切っておくと安心です。

 

復電後すぐに電気製品を使わない


 電気が復旧しても、すぐに電気製品を使い始めるのは避けましょう。揺れや浸水で傷んだ製品にいきなり電気を流すと、ショートや発火につながるおそれがあります。

 まずはブレーカーを入れる前に、電源プラグやコードに傷がないか、製品に焦げた跡がないかを確認します。問題がなければブレーカーを入れ、電源プラグを1台ずつコンセントに差しながら、様子を見ていきましょう。使用中に異音や異臭がした場合は、すぐに使うのをやめてメーカーや販売店へ相談してください。

 また特に注意したいのが、水に浸かった家電です。外から見て乾いていても、内部に水分や泥、塩分が残っていると、通電した際に電気回路から発火するおそれがあります。浸水した家電は自己判断で使わず、メーカーや販売店に点検を依頼するようにしましょう。

 

日ごろからできる通電火災対策

 


 通電火災は、災害が起きる前の備えによってもリスクを減らせます。ここからは、日ごろから取り組める対策を順番に見ていきましょう。

 

ブレーカーの場所と操作方法の確認


 いざというときに迷わずブレーカーを切れるよう、分電盤の場所と操作方法を事前に確認しておきましょう。

 分電盤は玄関や洗面所、キッチン周辺の高い位置に設置されていることが多く、停電中の暗い室内では見つけにくい場合があります。実際に、パナソニックが自然災害の経験者を対象に行った調査では、地震の際にブレーカーを「落とせなかった」と答えた人が68.1%にのぼりました。

 家族全員で分電盤の場所を共有し、近くに懐中電灯や踏み台を用意しておくと安心です。

参考:感震ブレーカー|Panasonic

 

感震ブレーカーの導入


 地震による通電火災に備えるなら、感震ブレーカーの導入も検討しましょう。

 感震ブレーカーとは、一定以上の揺れを感知すると、自動で電気を止める装置です。自分でブレーカーを切る余裕がない場合や、不在時に地震が起きた場合でも、通電火災のリスクを抑えられます。

 主な種類と費用の目安は、次のとおりです。

感震ブレーカーの種類と比較
種類 仕組み 費用の目安
分電盤タイプ(内蔵型) 分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを感知し、
ブレーカーを切る
約5万~8万円
(電気工事が必要)
分電盤タイプ(後付型) 既存の分電盤に
センサーを取り付ける
約2万円
(電気工事が必要)
コンセントタイプ 揺れを感知し、電気を止める
(製品によって遮断する範囲が異なる)
約5000円~2万円
簡易タイプ おもりの落下やバネの力で
ブレーカーを切る
約3000~4000円


 なお、分電盤タイプの中には、夜間の避難に備えて、揺れを感知してから一定時間後に電気を止めるものもあります。自治体によっては設置費用の補助制度を設けているため、導入前に確認してみるとよいでしょう。

 感震ブレーカーの種類や選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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感震ブレーカーで通電火災を防ぐ! 種類や選び方、取り付け方法をわかりやすく解説

https://www.bcnretail.com/market/detail/stk20261030_672947.html



 

コンセント回りの掃除


 コンセント回りは、定期的に掃除してほこりを取り除いておきましょう。

 コンセントに差したプラグの刃の間にほこりがたまり、湿気を帯びると、放電によって発火する「トラッキング現象」が起こることがあります。電気製品を使っていなくても、プラグが差さっているだけで発生する点に注意が必要です。

 特に、冷蔵庫やテレビの裏など、家具や家電に隠れたコンセントはほこりがたまりやすい場所です。掃除の際はプラグを抜き、乾いた布で拭き取りましょう。

 

古い家電や電源コードの更新


 長く使っている家電や傷んだ電源コードは、早めに点検・交換を検討しましょう。

 家電は使い続けるうちに内部の部品や配線が劣化し、発火などの事故につながる場合があります。そのため、扇風機やエアコンなど一部の家電には、安全に使える期間の目安となる「設計上の標準使用期間」の表示が義務付けられています。

 また、コードの被覆が破れている、使用中にコードが熱くなる、プラグが変色しているといった症状があれば、使用をやめて交換しましょう。劣化した製品やコードは、復電時の発火の原因にもなるおそれがあるため、日ごろからの点検が大切です。

参考:長期使用製品安全表示制度|経済産業省

 

タコ足配線を避ける


 1つのコンセントに多くの電気製品をつなぐ「タコ足配線」は、できるだけ避けましょう。

 コンセントやテーブルタップには、つなげる電気製品の消費電力の上限が決まっています。一般的な住宅の壁にある2口コンセントの場合、2口の合計で1500Wまでが目安です。上限を超えて使い続けると、コードや接続部分が発熱し、発火につながるおそれがあります。

 電気製品をつなぐ前に、テーブルタップ本体の表示と各製品の消費電力を確認しておくと安心です。また、コードを束ねたまま使うと熱がこもりやすいため、ほどいてから使うようにしましょう。

 

まとめ


 通電火災は、災害による停電から電気が復旧したときに、倒れた電熱器具や傷んだ配線、浸水した家電などから発生する火災です。避難中など不在のときに起こりやすく、気付かないうちに被害が広がるおそれがあります。

 被災時は、避難する前にブレーカーを切る、停電中は電気製品の電源プラグを抜く、復電後は安全を確認してから使う、という3つのポイントを押さえておきましょう。

 また、分電盤の場所の確認や感震ブレーカーの導入、コンセント回りの掃除などは、今日からでも始められる対策です。本記事を参考に、家庭でできる通電火災への備えを見直してみてください。

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