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青切符導入で変わる自転車ルール! それでも解消しない“現場の困りごと”

時事ネタ

2025/12/09 18:00

【家電コンサルのお得な話・277】 16歳以上の自転車の運転者への交通反則通告制度、いわゆる青切符の導入が2026年4月1日に施行される。制度自体は以前から報じられてきたが、11月に警視庁や各都県警がビジュアル資料を公開し、一般向けの周知が本格化した。

 自転車関連事故は横ばいで推移しているが、自転車と歩行者との事故件数や自転車側の法令違反を伴う事案が増えているという。死傷事故という重大な事案が継続して発生している以上、この防止・抑制に向け青切符を導入するという方針は妥当である。
 
来年4月からの制度変更に注意しよう

自転車の交通違反に「交通反則制度」が導入 2026年4月1日から

 改正道路交通法の施行により、24年11月に、自転車の「ながらスマホ」や酒気帯び運転について新しい罰則が整備された。酒気帯び運転については、自転車に対して3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が設けられ、提供者や同乗者に対する罰則も拡充された。

 さらに来年4月1日から、信号無視や指定場所一時不停止など、事故につながる危険性の高い違反が青切符の対象になる。スマートフォン(スマホ)を手に持って通話したり、画面を注視しながら走行したりする行為は、停止中を除いて禁止となり、危険を生じさせた場合にはさらに重い罰則が科されるのだ。
 
青切符の対象となる違反行為
(一部)

 ただし、制度が整備される一方で、現場で生じている実害には依然として解消されない部分がある。その一つが、信号待ちで停止している自転車運転者のスマホ操作である。法令上、停止中の操作は罰則対象外であり、今回の改正でもこの扱いは変わらない。
 
青切符による検挙と反則金の納付までの流れ

 しかし実際には、信号が変わってもスマホに気を取られて動かないケースは少なくない。左折や右折をしようとする車は発進のタイミングを計れず、交差点全体の流れが乱れる。車は自転車や歩行者の動静を確認する義務があるため、動かない自転車が優先される構造になり、車側は不用意に前に出ることができない。安全上の理由として当然だが、現場での自動車運転者の負担は大きい。

 この問題は「危険行為」ではなくとも「進行の妨げ」という実害が確実に存在するにもかかわらず、制度上は拾われない領域である。事故の直接原因ではないため罰則の対象にしにくいという事情は理解できるが、交差点という最も事故が起こりやすい場所で発生する実害である以上、看過できる問題ではない。

 こういった実害部分の扱いをどのように整理するかが、今後避けて通れない課題として残されている。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)


■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
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