• ホーム
  • トレンド
  • 「フリーランス法」が成立! 発注事業者に「報酬の明示」と「60日以内の報酬支払期日」

「フリーランス法」が成立! 発注事業者に「報酬の明示」と「60日以内の報酬支払期日」

時事ネタ

2023/05/13 18:00

 【家電コンサルのお得な話・126】 ゴールデンウィーク直前の4月28日、参院本会議で「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法:以下、フリーランス法)」が可決、成立した。施行期日は公布日から起算して1年6カ月を超えない範囲内において政令で定める日となり、2024年秋までに施行される予定である。フリーランスに対する保護で前進した中身を見ていこう。

図1 「フリーランス法」のポイント

命令違反や検査拒否には「50万円以下の罰金」

 フリーランスという呼称に明確な定義はないが、内閣府の「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によると、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」となっている。

 今回成立したフリーランス法は、「働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備すること」を目的としている。

 特定業務委託事業者(発注事業者)及び特定受託事業者(フリーランス)の取り引きについて、特定業務委託事業者(発注事業者)における書面などでの契約内容の明示、報酬の60日以内の支払い、募集情報の的確な表示、ハラスメント対策などの措置を講じることが定められている(図1参照)。

 現在、フリーランス保護の法律としては「独禁法」や「下請法」があるが、今回の「フリーランス法」では、公正取引委員会、中小企業庁長官または厚生労働大臣が、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができる。命令違反や検査拒否等に対しては、50万円以下の罰金に処されるという罰則も規定されている。
 
図2 弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」

 また、冒頭で紹介した通り、施行は「24年秋までの予定」となっているが、「フリーランス・トラブル110番」(図2参照)という、フリーランス・個人事業主の方が、契約・仕事上のトラブルについて弁護士に無料で相談できる窓口が設けられている。この窓口は第二東京弁護士会が運営している厚生労働省委託事業であるため、今現在、何か相談したいことがあれば、この窓口を利用するといいだろう。

 フリーランスにとって一番いいのは、「取引先企業が不備を改善し、その上で取り引きを継続してもらうこと」である。対決姿勢を前面に押し出したり、一人で悩んだりせず、まずは相談することから始められてはいかがだろうか。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
ギャラリーページ