• ホーム
  • トレンド
  • 電気代高騰要因の「再エネ賦課金」は2012年比で15倍超に 家計を圧迫しつづける!?

電気代高騰要因の「再エネ賦課金」は2012年比で15倍超に 家計を圧迫しつづける!?

時事ネタ

2023/02/14 15:00

【家電コンサルのお得な話・114】 以前のコラムで家庭の電気代高騰を受け、「電力プランの規制料金」について説明したが、もう一つ、消費者にとって無視できない電気料金が「再生可能エネルギー発電促進賦課金」である。単価は2012年比で実に15倍超に上昇。筆者の試算では年間約1万3800円の負担になっている。なぜこんなことになっているのか。家計を圧迫しつづける「再エネ賦課金」について考えよう。

2012年比で「再エネ賦課金」の単価は15倍超に!

試算すると「再エネ賦課金」だけで年間1万3800円の負担に

 周知のことだが「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(再エネ賦課金)とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(図2の囲み参照)」により、再生可能エネルギーで発電した電気を買い取るために電力会社などが要した費用を、電気の使用量に応じて、電気料金の一部として、電気を使用する消費者が負担する仕組みである。

 「再エネの賦課金」と言えば聞こえはいいが、実質的には税金のようなものと変わらない上、知らぬ間に増税されているようなものだ。

 この再エネ賦課金の単価は、毎年度、経済産業大臣によって定められ、毎年5月分から翌年の4月分の電気料金に適用される。この単価の上昇率が高く、2012年8月に1kWh当たり0.22円だったのが、23年2月現在は15倍超の3.45円まで高騰しているのだ。

 図1は、一般家庭の1年当たりの電気使用量を4000kWhと仮定して年間の再エネ賦課金の負担額を試算したもの。図2はシミュレーションによる年間の再エネ賦課金の推移をグラフ化したものである。いつの間にか年間1万3800円の負担になっている。これだけでも相当な負担額だが、恐ろしいのは基本的に「再生可能エネルギーが増えれば増えるほど、勝手に単価が上がっていく仕組み」であることだ。
 
1年当たり電気使用量4000kWhとしてシミュレーション

 筆者も子や孫の世代のことを思うと将来の気候変動や環境について非常に気に掛かっている。そのため、再生可能エネルギーについても完全否定するような意見は持っておらず、エネルギーのベストミックスを望んでいる。とはいえ、「賦課金が目的通り、純粋に再エネの導入を支え、普及の促進に役立てられる」ならまだしも、制度の穴をついた一部事業者等の投資や利権とされるのは本意ではない。

気になる「東京都太陽光パネル設置義務化条例」や「GX実現に向けた基本方針」

 また、現在の仕組みでは「東京都太陽光パネル設置義務化条例」によって増える負担を、全国の再エネ賦課金で支えなければならないという仕組みにも、違和感を覚えてしまう。

 こうした中、改正再エネ特措法成立に向けた審議が2月8日の関連部会で承認され、安易にメガソーラーや風力発電施設などを建設することができなくなったり、既施設に対しても法令違反は認定取り消しになるという朗報もある。これを機に、ぜひ再エネ発電促進賦課金も見直しを検討してもらいたい。

 また、嫌な予感がするのが2月10日に閣議決定された「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」である。

 概要には「GXに先行して取り組む事業者にインセンティブが付与される仕組みが創設される」や「企業にCO2賦課金を課す」という記載にあり、再エネ賦課金と同じような仕組みになるのかが気に掛かる。

 こうしたものが消費者に転嫁されないよう、まずは消費者一人一人が現状を再確認し、意識していくことが大切だと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
ギャラリーページ