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サウジアラビア外相のファルハーン王子が来日、産油国ロシアとの関係は維持

時事ネタ

2022/07/22 18:30

 来日していたサウジアラビアの外務大臣、ファイサル・ビン・ファルハーン王子は7月19日、日本外国特派員協会でアラブニュース・ジャパンが開いた記者会見に出席、各国記者の質問に答えた。ファルハーン王子は冒頭、安倍晋三 元首相の銃殺事件について「早すぎる安倍元首相の死は悲劇だった。安倍氏はサウジアラビア、日本の両国の戦略的な関係強化に大いに貢献した人物だ。サウジアラビアの指導者たちを代表し哀悼の意を表す」と、その死を悼んだ。

安倍元首相の死に接しサウジアラビアの指導者たちを代表し哀悼の意を表す
サウジアラビアの外務大臣、ファイサル・ビン・ファルハーン王子

 およそ2年の間、新型コロナウイルス感染症が及ぼした影響については「今回のパンデミックは、我々全員に大きな影響を与えた。しかし、サウジアラビアでは、非常に早期から有効な対策を取ってきたことで、パンデミックを克服できた。事実、G20の中でもGDP成長率は1、2位を争う状況だ。しかし、世界規模でのコミュニケーション不足は、国際協調関係にいくばくかの影響を与えた。今回の訪日は、サウジアラビアと日本の関係をパンデミック前と同様、しっかりと継続する目的もあった」と話した。

 ロシアのウクライナ侵略に端を発する世界情勢の変化に伴う原油政策については「原油市場の安定維持には注力している。OPEC+でも市場の要求に応じて対応している。サウジアラビアには3000万バレルの生産能力があるとされているが、これは上限。短期的には600万バレルの余剰生産能力がある。他方、現在取り組んでいるカーボンニュートラルに向けた投資も行っている。こうした中で、必要なエネルギーを確保し経済が継続的に機能し経済ショックに直面することのないよう、短期、中期、長期の投資バランスを取っていく必要がある」と語った。さらにロシアとの関係では、「ロシアは安定的な原油市場を維持するために重要なパートナーであり、OPEC+にとっても不可欠な存在」と述べ、「ロシアとの関係を維持することに重点を置く」と話した。

 同国は2019年、49カ国に対し観光ビザを解禁したが、その後については「2018年の観光客数は600万人だったのに対し、2019年は1617万人に拡大。しかしパンデミックの発生で2020年はゼロになった。サウジアラビアが歩み始めた観光立国としての道は少し中断してしまった。しかし徐々に渡航条件の緩和を行い、現在では数百万人もの観光客を受け入れている。サウジアラビアの本当の姿を理解するには、自分の目で見るのが一番だ」と話した。(BCN・道越一郎)