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コロナ禍3年目の新卒採用はどうなる? FCCLの人事担当者に聞いた

 コロナ禍3年目の今春は、街中や電車でスーツ姿の就活生をちらほら見かけるようになり、面接はリモートとリアルのハイブリッドが広がりつつあるようだ。IT業界でも学生と採用側の手探り状況に変わりはない。実際に、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)では、どのようなリクルーティング活動が行われているのか。人事・人材開発部の担当者に話を聞いた。

富士通クライアントコンピューティング(FCCL) 人事・総務統括部 人事・人材開発部の
堀憲弘シニアアネージャー(左)と石黒素子氏(右奥)、小出久美子氏(右手前)

社名に「コンピューティング」を入れた理由

 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、全国の主要家電量販店やネットショップからPOSデータを収集・集計している「BCNランキング」のデスクトップPC部門で、年間販売台数トップの「BCN AWARD 2020」(2021年1~12月の集計値)を獲得した日本を代表するPCベンダーだ。同部門での年間シェアトップは、5年連続、7回目という常連である。

 BCN AWARDの受賞に代表されるように、FCCLはPCの開発・設計、企画、製造、販売、保守・修理まで一気通貫で事業を展開するが、その枠だけでは収まらないさまざまな領域もカバーしている。
 
国内における製販「一貫体制」がFCCLの強み
(FCCLの資料より、以下同じ)

 FCCLの人事・総務統括部 人事・人材開発部の小出久美子氏は「社名のコンピューティングには、ハードだけでなくソフトウェアやシステム、情報処理など、お客様に必要なコミュニケーションをコンピューティングの力でサポートしていきたいという理念が込められています。また、台湾やドイツに拠点があることや海外のレノボグループとの連携もあり、グローバルで活躍できる会社という側面もあります」と語る。

 FCCLの会社設立自体は2016年2月と比較的新しいが、富士通のPCブランドでおなじみのFMVは今年で40周年となる。PCメーカーという消費者に慣れ親しんだ顔がある一方で、ソフトウェア開発やAI環境、ファームウェア開発など幅広いコンピューティング領域も展開する。
 
ハードウェアからソフトウェアまで幅広いコンピューティング領域をカバーする

 また営業職は、家電量販企業と連携した売り場づくりや商談、自社のウェブ直販サイトの運営、キャンペーン企画、国内外の部品ベンダーとの交渉、SCM(サプライチェーン・マネジメント)など、こちらも分野は多様だ。

 このように、理系や文系問わずに活躍できる場が用意されており、多種多様な職種の人材を募集している。

 モノづくり一つを例に挙げても、島根にある製造拠点と、川崎の設計・開発部、販売、保守・修理が密接に連携しているからこそ、顧客のニーズや困りごとをスピーディーに製造現場や品質に反映することができる。製造から販売・サポートまで一気通貫で連携しているからこそ経験できる醍醐味があるのだ。
 
グローバルで活躍できる場も用意されている

 FCCLに幅広い職種があることがわかったところで、どのような人物像やキャラクターが求められるのだろうか。現在進行形の2023年卒の募集活動を統括する人事・人材開発部の堀憲弘シニアマネージャーは「リーダーシップを発揮する方、愚直に取り組むのが得意な方、突出したスキルがある方、メンタルの強い方など、さまざまなタイプの方をバランスよく採れるように意識しています」と語る。それぞれの個性や得意なことが引き出せる企業文化のようだ。

オンライン就活のメリットとデメリット

 さて、コロナ禍3年目となるが、FCCLでもこの2年間はエントリーから一次、二次、最終面接、内定式までフルオンラインで行われたという。リモート面接が中心の人材採用は、企業にどのような影響を与えたのだろうか。

 人事・総務統括部 人事・人材開発部の石黒素子氏は、「入社式の4月1日まで一度も来社したことがなかったのは、学生の方にとっても不安だったと思います。コロナ前のようにすべて対面という状況には戻らないと思いますが、リモートとリアルのハイブリッドでちょうどいいスタイルがとれるように試行錯誤しているところです」と語る。企業側も突然の完全リモート対応からハイブリッドの移行に、模索しながら進めている様子が伝わる。

 もちろん、オンライン採用になって「海外や地方から応募する方が増えた」などのメリットも生まれた。さらに、堀シニアマネージャーは「対面だと面接ルームに入った緊張感でがちがちになる学生の方でも、オンラインの方がリラックスして話ができるケースもあった感じがします」と語るように、そういうメリットもあったようだ。

 オンライン採用には一長一短があり、手探りなのは学生側だけでなく企業側も同じ。ただし、「オンラインだからといって失敗したということはなかった」と指摘するように、お互いミスマッチにならなかったのは安心だろう。

ダイバーシティに向けてチャレンジも

 FCCLの社員のうち、女性比率は約15%。ダイバーシティを進めるため、最近の新卒採用では、女性比率を高めるように取り組んでいる。また、新卒の約2割は外国籍のグローバル人材を採用するなど、意識してチャレンジしている様子が伝わる。22年卒の採用実績は大卒と高専を含めて22人。今後も毎年20人前後の新卒採用を目指す。

 FCCLの採用活動でユニークなのは、定員になるまで採用を受け付けていること。一次選考、二次選考と進むにつれて人数は絞られていくが、定員に満たなければ、その後もエントリーや説明会は開催しつづけるのだ。

 「3月や4月はピークですが、ここ数年、7~9月にも素晴らしい人材の応募があります。そのため定員に達するまで、エントリーや説明会を毎週や2週間に1回のペースで実施しています」(小出氏)という。

 FCCLのテレワーク率は約70%という。だが、R&Dなど設計開発チームは実機を触る必要があるため、事務所への出勤率が高い。一方で、一部の部署においては数カ月に一度事務所に出勤など部署により異なる。

 FCCLの職場は、コンピューティングという領域を軸に、理系や文系を問わず多種多様な人材が自分の能力を磨いたり引き出したりして活躍できる環境にありそうだ。