ソニーの分離から7年、VAIOの挑戦が「VAIO Z」に結実

経営戦略

2021/02/18 19:00

 VAIOは2月18日、世界初となる立体成型フルカーボンボディを実現したノートPCのグローバルフラッグシップモデルとして、14型ワイドの「VAIO Z」を日本、北米、中国、アジアで同時発表した。ソニーから分離7年目、VAIOの挑戦が一つの形として結実したことになる。

世界初の立体型フルカーボンボディを採用した「VAIO Z」

 VAIOは2020年11月にブランドミッションを「挑戦に火をともそう。デザインと技術で世界中のイノベーションを加速する」とした。

 会見で山本和弘社長は「(7年前にソニーから)VAIOとして独立する直前、世界で年間500万台以上を販売していた。独立に当たり海外市場から撤退。15年から再開し、海外販売台数比率は50%に迫るところまで成長させることができた」と振り返りながら、VAIO Zが世界でさらなる成長を遂げるためのグローバルフラッグシップモデルであることをアピールした。
 
VAIOの山本和弘社長

 その挑戦の一つが、立体成型フルカーボンボディの採用だった。VAIOは、03年に世界で初めて連続繊維によるカーボンファイバーをモバイルPCに採用してきたが、量産加工の難しさから平面部を中心に部分的な採用にとどまっていた。

 今回、世界で初めてカーボンファイバーを立体成型し、PCのボディ全面で使用することに成功。VAIOの長年のノウハウと東レなど協力企業の技術結集により、米国防総省制定MIL規格(MIL-STD-810H)の落下試験を超える、高さ127センチからの衝撃に耐える剛性と、最軽量958gという1kgを切る軽量化を実現した。

スピードはMacのM1より速い

 VAIO Zの総責任者である取締役執行役員の林薫PC事業本部長は、「量産が困難だとされていた立体成型によるしなやかに美しく曲げられたカーボンボディが、並外れたスピードとスタミナ、強靭さを持ちながら、軽量と両立するモバイルコンピューターを生み出した」と語り、立体成型フルカーボンボディがノートPCの性能を新たなステージに引き上げたことを、AppleがMacのために設計した初チップ「M1」と比較しながら説明した。
 
VAIO 取締役執行役員の林薫PC事業本部長

 単位重量あたりのプロセッサースピードは、MacBook Pro(M1)よりもVAIO Zのほうが速い。林氏は「単にPCのスピードを追求することは実は簡単。重く大きなボディに高性能なプロセッサーを搭載すればいい。1kgを切るボディで実現させたことに、VAIO Zのイノベーションがある」と強調した。
 

 実はVAIO Zに搭載するプロセッサーは、デスクトップ級の高性能プロセッサーであるインテルの第11世代Coreプロセッサー H35シリーズだ。そのため、M1とアーキテクチャーが異なるため一概に比較できないという条件はつくものの、フルカーボンボディを採用したVAIO Zは、1kgを切るノートPCの生産性を飛躍的に加速させることに成功した。
 
「立体成型フルカーボンボディ」

 データ保存のストレージは、PCIe Gen.4接続の「第4世代 ハイスピードSSD」を採用。6GB/s超えの高速ストレージを搭載。連続約34時間駆動を可能とし、VAIO史上最大となる18時間連続の動画再生を実現した。

 なお、強靭さで前述した「高さ127センチ」は、長身ユーザーのわきの位置に相当するもので、実使用で想定される最も高い落下高度であるという。

 個人向けの量販店モデルとなる「VJZ14190111B」は3月5日から発売し、価格はオープン。税込想定価格は39万9800万円前後となる。

 ソニーから独立して7年。ソニー時代はVAIO事業に1000人を超えるスタッフが在籍していたが、14年7月のVAIO設立時は240人からのスタートだった。創業から単独で再構築してきたグローバル販売ネットワークの中、VAIOの挑戦を一つの形として結実させたVAIO Zはフラッグシップモデルの位置づけで、再び世界に打って出ていくこととなる。(BCN・細田 立圭志)

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