経理の新しい働き方を共創するプロジェクト「日本の経理をもっと自由に」は9月30日付で、経済産業相に向け「IT 導入補助金拡充と経理部門の働き方改善を実現する産官学連携の促進に関する嘆願書」を提出する。賛同する企業は100社。経理担当者の約9割(推計184万人)が求める「請求書の電子化」を推進することで、働き方改革を目指す。これが実現すれば、経済効果は1兆円以上にのぼるという。

「日本の経理をもっと自由に」プロジェクト発表会

 プロジェクトの主催者であるROBOT PAYMENTの清久健也代表取締役は、「コロナ禍で多くの企業が在宅勤務にシフトしたが、経理担当者は請求書の捺印や発送のために7割以上が出社していた」と現在の課題を説明し、「阻害要因となっている紙の請求書業務を電子化することで、経理の働き方改革を目指す」と意気込む。
 
ROBOT PAYMENTの清久健也代表取締役

 ただ、投資は企業の売り上げに関わりの深いところが対象になる場合が多い。IT導入における課題として、「コストの負担が大きい」と回答する企業は7割以上あり、経理業務への投資が難しい状況だ。こうした環境を変えるため、ITツールを導入しようとする事業者に対して、一部費用の補助を推進している経済産業相へ対応を進言することに決めたという。

 嘆願の内容は二つ。一つは、間接部門の業務変革を多くの企業が利用できるよう、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けたIT補助金の拡充。もう一つは、経理部門におけるDX推進のための産官学連携を求めるというものだ。

 同プロジェクトでは、この他に四つの取り組みを実施する。(1)請求書管理の自動化クラウドサービスの提供、(2)課題に合わせて適したサービスを提案することによる自治体の経理業務のデジタル化支援、(3)社内稟議に向けた提案書の代理作成、(4)電子化への機運向上を目的としたカンファレンスの開催。
 
同プロジェクトは100社から賛同を得ている

1兆円以上の経済効果

 関西大学の宮本勝浩名誉教授による試算では、請求書の電子化による経済効果は、約1兆1424億2182万円。この結果は、日本の企業全体を大企業・中規模、小規模企業に分け、それぞれの請求書を電子化することによる発送費用(郵送費)のコスト削減や請求書の作成、発送業務の省略化によって削減できる人件費を合算した後、請求書の電子化が行われていないと推定される企業の割合を掛け合わせて算出したという。
 
関西大学の宮本勝浩名誉教授による試算

 アナログな作業が残る経理業務の電子化移行は、無駄なコストを省くだけでなく、他の業務に集中できるようになることで、企業にとってのさらなる利益につながる可能性もあるという。電子化による生産性向上の事例などは、「日本の経理をもっと自由にカンファレンス 2020」で紹介する。IT導入ツール導入の決定権限がある経営者層向けに、10月22日に開催するとしている。