東京商工リサーチは、2020年1~8月の累計で「飲食業」の倒産件数が583件(前年同期比13.2%増)に達したと発表した。これまで、通年で最多だった11年の800件を抜き、年間最多を更新する可能性が高まっている。9月中旬に始まる「Go To Eatキャンペーン事業」は、飲食業の救世主になれるのだろうか。

倒産が相次いでいる飲食業

窮地に立たされる飲食業

 飲食業はもともと、19年後半~20年2月にかけて人手不足に伴う人件費上昇で倒産の勢いが増していた。そこに2月以降、新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の消失や、外出自粛、休業・時短営業の要請が重なり、経営を圧迫。3月が75件(前年同月は59件)、4月が80件(同62件)と急増し、6月以降、月間100件に迫る勢いで推移している。
 
飲食業の過去最多件数を更新しそうな勢い

 コロナ禍の危機を乗り越えようと、業態を変更し、テイクアウトなどを実施する店舗も増えてきたが、飲食業に多い小・零細企業にとっては厳しい状況が続いている。

 甚大な影響を受けている飲食業を立て直すため、9月中旬には「Go To Eatキャンペーン事業」が始まる予定だ。期間を限定して官民一体で需要喚起を図る取り組みで、お得な食事券やオンライン飲食予約によるポイント還元などを実施する。

Go To Eatキャンペーンで需要喚起

 共同通信の報道によると、同事業のプレミアム付き食事券は47都道府県で実施できる見通しになっているという。食事券は、購入額の25%分を上乗せする施策。1回当たり2万円分まで購入可能で、回数制限はないが、おつりは出ないという。販売が21年1月末まで、有効期限が3月末までとしている。
 
(農林水産省の「Go To Eatキャンペーン事業」についてより)

 もう一方のオンライン飲食予約は、対象のオンライン飲食予約サイト経由で予約した場合に適用されるポイント還元施策。時間帯によって付与ポイントが異なり、昼食時間帯で500円分、15時以降の夕食時間帯で1000円分のポイントに設定されている。付与上限は、1回の予約当たり10人分(最大1万円分)。付与が21年1月末まで、利用が同年3月までとしている。
 
(農林水産省の「Go To Eatキャンペーン事業」についてより)

 登録事業者は、ぐるなび、カカクコム、ヤフー、EPARK グルメ、リクルート、フードテックパートナー(favy・トレタ・ポケットチェンジ)、スターツ出版、Retty、auコマース&ライフ、USEN Media、USEN Media、Fesbase、表示灯の13社。各社とも、順次Go To Eatキャンペーンページをオープンし、準備に入っている。

 なお、参加する飲食店は業界ガイドラインに基づき、感染予防対策に取り組んでいることを条件とし、取り組み内容を掲示する。利用する消費者は、食事前の手洗い・消毒や咳エチケットの徹底、会話を控える、三密の回避、換気への協力などを心掛けたい。

準備進むも利用意向は低く

 ただ、日本トレンドリサーチの調査によると、Go To Eatキャンペーンを利用して飲食店での食事をしようと思う人は37.5%にとどまっている。調査は、9月7~8日にかけて男女600人(各300人)を対象にインターネット上で行われたアンケート。同時にGo To Eatに対する理解について尋ねたところ、理解している(「どちらかと言えば理解している」を含む)と答えたのは43.7%だった。
 
37.5%が「Go To Eatキャンペーン」を利用して飲食店で食事をする意向
(日本トレンドリサーチ調査)

 Go To Eatは、コロナ禍でも普段から外食をしている人以外に飲食店を使ってもらうための施策。徐々に詳細が明かされ、調査時よりも理解は広がっているはずだ。キャンペーンの利用をきっかけに、外食の機会を増やそうという人もいるかもしれない。そのためには、飲食店・消費者の双方に向けた引き続きの“周知活動”と“使いやすさ”の追求は欠かせないだろう。

 消費者にとっては、お得に食事が楽しめるだけでなく、なじみの飲食店や窮地に立たされている飲食店を応援することにもつながるGo To Eatキャンペーン。開始時期や場所は明確になっていないが、油断ならない状況に置かれている飲食店の“カンフル剤”になるか否かは、政府の迅速な対応と参加のしやすさ、窓口の広さがカギになりそうだ。(BCN・南雲 亮平)