公正取引員会(公取委)は9月2日、コンビニエンスストアの実態調査報告書を発表した。その中で、コンビニの年中無休や24時間営業について、独占禁止法(独禁法)の「優越的地位の濫用に該当し得る」との見解を示した。

年中無休・24時間営業について公取委は「優越的地位の濫用に該当し得る」との見解を示した

 報告書は「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」。大手8チェーンの全国の加盟店全店にあたる5万7524店を対象に、1月17日~2月14日に実施したウェブアンケートによるもの。回答率は、店舗数ベースで21.0%(1万2093店)、オーナー数ベースで27.1%(8423人)の過去最大規模の調査だという。

 アンケートのほか、加盟店オーナーやコンビニ本部、業界団体の日本フランチャイズチェーン協会、コンビニ以外の小売や外食の本部などへの聞き取り調査も実施している。
 

 コンビニの年中無休・24時間営業について公取委は従来、顧客ニーズがある場合もあり、これを条件にフランチャイズ契約を締結する際、ユーザーに対するチェーンブランドの統一したイメージを確保する目的から、加盟者募集時に十分に説明している場合は、「直ちに独禁法上問題となるものではない」としていた。

 だたし、この場合でも契約締結後に本部が加盟店に対して一方的に営業日や営業時間を変更し、加盟者に不当に不利益を与える場合は独禁法上の問題になる恐れがあるとしていた。

 今回の調査結果を踏まえて、公取委の見解は次のように変わった。本部と加盟店との間で合意すれば時短営業への移行が認められているにもかかわらず、本部がその地位を利用して協議を一方的に拒絶し、加盟者に正常な商習慣に照らして不当に不利益を与える場合は「優先的地位の濫用に該当し得る」としたのだ。

 さらに、年中無休・24時間営業に対して、独禁法の「ぎまん的顧客誘引に該当し得る」との見解も示した。それは、本部が加盟者を募集する際、年中無休・24時間営業の重要な事項について十分に開示せず、または虚偽や誇大な開示をして、実際のフランチャイズシステムの内容よりも著しく優良または有利であると誤認させて、ライバル店の顧客を不当に誘引する場合に該当するとした。

8割弱の店舗が「深夜帯は赤字」

 報告書では、24時間営業の店舗数が2018年度末の5万183店舗から20年7月に4万8015店と2000店以上減少しており、本部が時短営業を容認する姿勢をとるようになったとしている。

 しかし、オーナーが時短営業を希望する背景には、77.1%の店舗の深夜帯が赤字で、93.5%の店舗が人手不足を感じており、62.7%のオーナーが現在の業務時間について「どちらかといえばつらい」「非常につらい」と回答している厳しい実態がある。

 また、加盟店募集用のパンフレットでは、深夜帯の採算性の悪さや人手不足の実態を積極的に開示している例はなく、「従業員を育成すればオーナーは休暇をとることができる」などと記載しているものがあった。

 オーナーヘルプ制度も「緊急時に使えない」など、オーナーの不満は多く、「24時間営業をやめることができると最初に説明があったが、2年後申込みしようとしたらそれは絶対にできないと拒否された。」との報告も寄せられた。

 これらを踏まえて公取委では、加盟店募集時に本部は人手不足の実態の情報開示を行う必要があるとした。

 24時間営業に対するオーナーの今後の意向を聞いた調査では、「引き続き24時間営業を続けたい」と回答したのは33.2%にとどまり、66.8%は「人手不足などにより一時的に時短営業に切り替えたい」「一度実験してみたい」「時短営業に完全に切り替えたい」などの回答があったという。

 時短営業の交渉状況は、本部が「交渉に応じていない(交渉自体を拒絶している)」との回答が8.7%あった。

 公取委は、新型コロナウイルス感染防止の対応も含めて、24時間営業の事業環境が大きく変わっていることから、加盟店から時短営業の協議要請があった場合、本部が加盟店の立場に配慮して丁寧に対応する必要があることを特に留意すべきとした。(BCN・細田 立圭志)