【なぐもんGO・41】 「Pepper(ペッパー)」がしっかりと接客をしている──。はま寿司を訪れた際、失礼にもそう思ってしまった。これまでPepperと正面から目を合わせたことはなかったが、はま寿司に入店してから席を案内されるまでのスムーズな流れを体験したら、感動の余りPepperを撫でてしまった。記者が帰る頃には、一緒に写真を撮影する子どもいた。なぜ、ここまでうまくPepperと仕事できているのか。はま寿司を運営するゼンショーホールディングスに聞いてみた。

はま寿司に入店すると最初に目に入るPepper

 はま寿司の店舗管理部 池ノ上達也次長は「来店されるお客様が必ず通る工程でPepper君だけに任せることがポイント」と説明する。Pepperが担当する仕事は、「いらっしゃいませ」と呼びかけて、人数や席のタイプを聞いて、空いている席を案内することだ。信頼して任せられることから、ロボットを導入する最大のメリットであるスタッフの業務負担の軽減につながる。
 
はま寿司の店舗管理部 池ノ上達也次長

 ただ、ロボットは機械であることから不具合で動かなくなったり、店舗システムとの接続が不安定になったりと、トラブルを起こすリスクを抱える。はま寿司でも、約3年前に導入した当初はわずか1時間も動かずに、結局、スタッフがPepperの仕事を肩代わりするケースが後を絶たなかったそうだ。

 池ノ上次長は、「開発チームと密に連携し、できることとできないことの検証、安定性の確保、稼働時間の伸長を図った。1時間から2時間半、8時間、そして営業時間いっぱいまでと、少しづつPepper君が働けるよう試行錯誤を重ねながら改善してきた」と、Pepperの仕事が安定するまでを振り返る。今も不具合が起きてしまうこともあるが、「初期に比べれば軽いもの」と明るく語る。

 元気に温かく迎えるために、本来は手を挙げて「いらっしゃいませ!」と言って欲しかったとのことだが、システムに無理が生じるため、今は両手を少し広げるだけにとどめているという。池ノ上次長が、いつか実現したいと思っていることの一つだ。

 しかし、手を挙げなくても、はま寿司のPepperは温かい。機械だから発熱するというわけではなく、「人の接客による温かみとは異なるが、人型ロボットには独特な温かさがあり、帽子や制服を着せることで、さらにお客様に親しみをも持ってもらえる」(池ノ上次長)からだ。

 はま寿司とPepperの契約は、2020年に更新時期を迎える。スタッフの業務負担が減るとはいえ、Pepperにも契約料金や電気代などの運用コストがかかっているので、更新するかどうかは「検討中」だとしている。はま寿司でPepperが見られなくなったら、さみしく感じるのは記者だけではないだろう。(BCN・南雲 亮平)