携帯端末と通信料金の完全分離が導入されたことで、スマートフォン(スマホ)などの値引きが2万円に抑えられ、購入のハードルが高まった。そこで注目されるのは中古スマホ(リユースモバイル)だが、携帯キャリアが下取りした端末を海外でさばいたり、ユーザー宅に埋蔵されたりして7.7%しか流通していない。中古スマホ事業者で構成するリユースモバイル・ジャパン(RMJ)など関連団体が、ボトルネックを取り除くために動き出した。

中古スマホに注目が高まる(携帯市場 神田本店)

 MM総研の調べによると2018年(1~12月)の国内携帯端末の総出荷台数は約3500万台(前年比6.3%減)で頭打ちになっている。そのうちスマホも3116万台(2.6%減)で前年割れだ。

 一方で、MM総研が17年10月にまとめた20年度の中古携帯電話の市場予測は245万台。内訳はスマホが231万台、ガラケーのフィーチャーフォンが14万台である。これにタブレット端末の63万台を加えると、リユースモバイル市場全体で308万台と予測する。
 

 単純に新品スマホの3116万台と中古スマホの245万台を比較すると、中古スマホは7.8%程度しかない。この数字は、総務省が18年度の年次レポートで示した「7.7%」にほぼ匹敵する。

 ユーザーは中古スマホをどうとらえているのだろうか。総務省の資料を基にRMJが11月28日の記者会見で発表した資料「リユースモバイル端末流通に関する調査」によると、中古端末を利用した経験のあるユーザーは8.7%、今後利用したい意向を示すユーザーは19.9%で合計28.6%だった。前回調査から10ポイント近く上昇しており、約3割のユーザーが中古スマホを求めているという。
 

 では、3人に1人が中古スマホを利用したい(既に使っている)としながらも、国内流通は7.7%にとどまっているのはなぜか。どこに問題があるのだろか。

 RMJでは、携帯キャリアの下取りなどが30.8%、そして廃棄・保管(退蔵)しているユーザーが56.9%に上ることを課題として挙げる。前者は携帯キャリアに、後者は中古スマホ事業者に問題があるといえるだろう。

 現状の流通構造では、携帯キャリアがユーザーから下取りしたスマホは仲介事業者を通じて多くが海外市場に流れているとされる。仲介事業者にとっては、中古スマホの品質を格付けする統一した基準がないため中古スマホ事業者などに販売しにくい。
 
中古スマホの流通構造

「赤ロム」問題にも対処

 一方でユーザーは安価で拘束のない契約のスマホを買いたいが、中古スマホに対してはバッテリの持ちが悪そう、きちんと動作するか分からない、故障時の保証がなさそう、といった漠然とした不安を抱いている。

 そこでRMJや携帯修理事業者で構成される携帯端末登録修理協議会(MRR)は、「RMJ認証」という認証制度を開始した。バッテリ状態の評価結果の表示、リファービッシュ品のメーカー保証の有無、ネットワーク利用制限の保証などを決めたガイドラインを順守し、運用状況を確認する仕組みを取り入れる。制度として整えることで、消費者に分かりやすさや安心感を与えることができる。

 特に「赤ロム」問題を例外なく保証することを、動作保証とは別につけている。赤ロムとは、前利用者の分割払いが債務不履行になってしまった場合、中古スマホを購入したユーザーが突然、端末自体に制限がかかり使えなくるなく問題だ。消費者にとっては不信感でしかない事態だ。

 RMJ認証は、赤ロム問題が起きても例外なく対処するという保証をつけることで、ユーザーの不安を払拭するのが狙いだ。

 仲介事業者については、ガイドラインの適用範囲に仲介事業者を加えたり、事業者間で大量に取引できるように11段階に細分化した数値基準を設けたりすることで、海外市場に流れる中古スマホの国内市場への取り込みを狙う。

 RMJ認証は19年12月16日から、まずはRMJ会員から申請受付を開始し、20年2月に認証を付与する予定だ。スマホ端末を分割ではなく一括で安く買いたいというユーザーニーズに応えるには、事業者同士が緊密に連携してボトルネックを取り払い、スムーズで効率的な流通システムの構築が欠かせない。当面は7.7%しか流通していない中古スマホの流通量を引き上げることが急務だ。(BCN・細田 立圭志)